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最終更新:2024/07/04

実績のない二重価格表記は違法!

実績のない二重価格表記は違法!

商品の安さを強調する際などによく二重価格表記が用いられます。この二重価格表記について、規制に関する知識がないと、知らないうちに法律に違反してしまう可能性があります。

二重価格の表示については消費者庁の「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」(価格表示のガイドライン)で公表されています。また、消費者に誤認を与える場合は「景表法」に違反するおそれがあります。違反のリスクがある二重価格表示についてのポイントを解説していきます。

景表法とは

景表法とは、正式名は「不正景品類及び不当表示防止法」です。

不当表示の中でも商品やサービスの品質、規格などにあたるのは「優良誤認表示」です。 ①「著しく優良であると一般消費者に誤認される表示」 ②「事実に相違して競争関係にある事業者に係るものより著しく優良であると示すこと」

実際の商品より優れていると偽ったり、競合相手よりあたかも優れているような誇大広告をした場合、優良誤認表示となります。 また、合理的根拠がない効能、効果を表示した場合も優良誤認表示となります。この根拠については、資料の提出が求められる場合があります。

二重価格表記は違法?

価格表示ガイドラインでは、以下のように記載されています。

次のような二重価格表示は不当表示に該当するおそれがあります。

  • 同一ではない商品の価格を比較して記載する
  • 比較する商品に用いる価格について実際と異なる表示やあいまいな表示を行う
  • 根拠のない将来の販売価格を比較する二重価格表示
  • 製造業者等が設定したものと異なる希望小売価格と比較する二重価格表示
  • 競争事業者の性格ではない価格と比較した二重価格表示 等

実績や根拠のない表示は認められません。

実際に大手のオンラインショップや通販番組サイトが景表法に違反し、措置命令が下った事例が多く存在します。スーパーのチラシや店頭のPOPでも多くの二重価格の不当表示が見つかっています。景表法に関する知識や、リスクが認識されていないと、違反する可能性はとても高いので注意が必要です。

二重価格表示に必要な販売実績

比較する商品の価格は「最近相当期間にわたって販売された実績」があるものでなければいけません。8週間ルールとも呼ばれます。

必要になる実績は以下の通りです。

  • 比較する商品の価格が、二重価格表示を行う時点からさかのぼった8週間において、その商品の価格で販売された期間の過半を占めていること。
  • 比較商品の価格が、販売された期間が通算で2週間以上あること
  • 比較商品の価格が、販売された最後の日から2週間経過していないこと

簡単に言うと、二重価格表示で比較する価格は、最近の情報で販売された期間が一定数なければいけないということです。

二重価格表示する際の表示される価格が本来のものではなく、偽ったものや調査されていないものである場合は、景表法に違反します。

違反例

  • 「通常販売価格5000円、セール期間中3000円」

「通常価格」で販売されている実績がなかったり、最近相当期間にわたって販売された価格ではない場合は景表法の有利誤認表示となる可能性があります。

  • 「発売記念特価3990円、9月1日以降5000円」

9月1日以降も5000円ではなく、39990円で販売する予定だった場合は有利誤認表示となります。

  • 「最近相当期間にわたって販売された価格」に当てはまらない例

「通常販売価格」として記載されている価格で販売されたのがセール開始期間から遡る8週間のうち最初の3週間のみで、その後の5週間は「セール期間中価格」と記載されている安価な価格で販売されていた場合は、有利誤認表示となる可能性があります。8週間のうちの4週間以上は販売された実績がなければいけません。

具体例として

  • 店頭価格について、競合の平均価格から値引きすると表示し、実際は平均価格を高く設定し、その価格から値引きを行っていた
  • 「メーカー希望価格の半額」と表示し、実際はメーカー希望価格は設定されていなかった

商品を安く見せるために、お店側が行った表示ですが、偽った内容、事実に基づかない内容は違反となるので注意しましょう。

不当表示にならないためには

  • 二重価格に、同一の商品の価格を用い、最近相当期間にわたって販売されていた価格を表示する、8週間ルールに注意する
  • メーカー希望価格を併記する場合は、その価格が実際に製造業者などが設定・公表したものか注意して確認する
  • 競合他社の販売価格を併記する際は、事前にしっかりリサーチを行い、同一の商品、最近の一定期間の販売があったか確認する

ポイントは、事実と異なる表示やあいまいな表現をしないことです。消費者に誤認を与える表示は不当表示になるので、気をつけましょう。

化粧品は薬機法でも規制される

薬機法では、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品が対象となっています。

そのため化粧品は、景表法だけでなく薬機法も関わります。化粧品は薬機法の規制対象となり、薬機法の対象ではない健康食品なども医薬品的な効果の表現を用いた場合は薬機法に抵触します。

薬機法の広告に関する規制

(誇大広告等) 第六十六条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。 2 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。 3 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品に関して堕胎を暗示し、又はわいせつにわたる文書又は図画を用いてはならない。

出典:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000145

その他にも、

第六十七条 特定疾病用の医薬品及び再生医療等製品の広告の制限 第六十七条 承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止

これらが薬機法で広告について規制しています。虚偽又は誇大な記事を広告等してはならないとされています。

不当表示に違反した場合の罰則

二重価格表示が不当表示にあたる場合、事業者は消費者庁から違反行為の停止や再発防止するための「措置命令」を受けます。措置命令に従わなかった場合、最大2年の懲役、最大300万円の罰金が科せられる可能性があります。

また、課徴金納付命令が下ることもあり、有利誤認表示に係る商品やサービスの売上額に3%を乗じた額を納付しなければいけません。

消費者庁から、措置命令や課徴金納付命令を受けた事業者は、消費者庁のWebサイトで、内容を公表されるので、ブランド力や信用を落とすことにつながります。

まとめ

二重価格表示自体に問題があるわけではありませんが、明確な実績がなければ違法となります。二重価格表示は商品の重要な表示のため、景表法が深く関わってきます。景表法を理解することで、表示する際にどんなリスクがあるのか把握することができるので、とても重要です。消費者に誤認を与えるような不当表示には注意しましょう。

※違反事例、言い換え表現についてはあくまで参考として捉えてください。表現の違反等の判断については最新の情報を常にアップデートして頂くことが大切です。また、各都道府県の薬務課によって見解が異なりますので、ご理解頂きますよう宜しくお願い致します。

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株式会社Cogane studio

Beaker media 編集部

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