最終更新:2024/09/05
化粧品に関する薬機法 肌構造の知識「角質層」「真皮」って何?
化粧品の広告表現において、その製品や成分が肌の奥まで浸透するような広告表現を使って、高い効果があることをアピールしたいと思うことは多いでしょう。
しかし、薬機法では化粧品が「角質層よりも奥まで浸透する」「成分が真皮まで届く」といった広告表現は虚偽・誇大広告として禁止されているため注意が必要です。
本記事では、肌の構造について解説しながら、それぞれの肌構造の名称を使った広告表現と薬機法の関わりについてご紹介します。
肌の構造はどうなっている?
まずは、肌の構造について知っておきましょう。
私たちの肌は、外側から表皮と真皮、皮下組織の3つに分類されており、日常的に目にする部分である表皮は肌表面の厚さ0.2mmしかありません。肌の美しさは、これら3つの層がそれぞれの役割を果たしていることで成り立ちます。さらに化粧品によってケアできるのは、表皮の一部分である角質層までです。
そのため、化粧水やクリームを使った外側からのケアだけでなく、食生活の見直しやストレスの解消など、身体の内側からのケアも必要です。
表皮と角質層
表皮は、肌の最も外側の部分です。表皮による水分と油分のバランスによって、肌のみずみずしさ、滑らかさが左右されています。
表皮は、外側から順に次の4つの層に分類されています。
- 角質層(最も外側:厚さ0.01~0.03mm)
- 顆粒層
- 有棘層
- 基底層
「角質層」は最も外側にあり、基底層が細胞分裂を繰り返して押し上げた古い細胞でできています。
つまり、角質層の細胞は生きている細胞ではないのです。そのため、角質層は時間が経つと垢として自然に剥がれていきます。
美容に関するワードとして知られている「ターンオーバー」は、新陳代謝によって角質層が生まれ変わることを指しています。
ターンオーバーの周期は健康な状態であれば約28日周期と言われていますが、生活習慣の乱れや紫外線、加齢などによって周期が乱れる場合があります。 ターンオーバーの周期が長くなると、古い角質がなかなか失われず、肌のトラブルや乾燥を引き起こすため注意が必要です。
真皮
表皮の下にある真皮は、コラーゲンやエラスチンなどでできた繊維で構成されており、肌の本体にあたる部分です。私たちの肌のハリや弾力は、この真皮が大きく関わっています。
表皮と真皮の大きな違いとして、真皮には毛細血管が存在することが挙げられます。真皮の毛細血管は表皮へ栄養を送り、表皮部分の細胞分裂やターンオーバーをサポートします。
真皮の健康を保つためには、食生活のバランスを整える・睡眠不足をなくす・ストレスを解消するなど身体の内側からケアすることがとても大切です。
皮下組織
肌の構造の中で最も奥に位置しているのが、皮下組織です。皮下組織は多くの脂肪が含まれており、皮膚と筋肉・骨を繋ぐ役割を担っています。もし肌に強い衝撃が加わっても、ひ皮下組織がクッションとなることで筋肉や骨へのダメージから守っているのです。
また、皮下組織の重要な役割として保湿作用も挙げられます。
皮下組織は筋肉との関わりが非常に深い部分です。そのため、適度に運動して習慣的に筋肉を動かすことが皮下組織の健康を保つために重要とされています。
皮膚の機能
皮膚は私たちの身体の約3割を占めており、外部に直接触れる組織です。そのため、身体の健康を維持するための様々な役割を担っています。皮膚の主な役割としては、次の4つが挙げられます。これらの機能は、私たちの生命を守るために必要不可欠です。
- 過度な水分の喪失、侵入を防ぐ
- 体温の調節
- 微生物や物理化学的な刺激から身体を守る
- 感覚器(触覚)としての役割
また、皮膚の最表面である角質層は、身体の水分を保持する・異物の侵入を防ぐバリア機能を持っています。健康な状態の角質層には、同じ厚さのプラスチック膜に並ぶほど、水分を通しにくい性質があるのです。
もし、角質層のバリア機能が失われてしまうと、皮膚だけでなく全身に影響が及びます。皮膚のバリア機能が正常でなく、異物が皮膚から侵入したことで、アレルギー症状に繋がる可能性もあります。
「真皮まで届く」は薬機法NG?
化粧品の広告において、「真皮まで届く」といった表現は認められていません。
化粧水や美容液、クリームなどの成分が浸透するのは、あくまでも角質層までとされています。そのため、化粧品の成分が承認された範囲を超えて浸透するような広告表現は、薬機法における虚偽・誇大広告と判断される可能性があります。
何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。
出典:薬機法第66条
また、化粧品やその成分が皮膚に浸透する場面を画像やアニメーションで表現する場合も、その広告表現が虚偽・誇大広告と判断されないよう十分に注意しましょう。
化粧品等が身体に浸透する場面や作用機序等をアニメーション、模型などを用いて表現する場合は、特に効能効果等又は安全性に関する保証的表現や虚偽又は誇大な表現とならないよう十分注意し、消費者に誤認を与えないこと。
「※角質層まで」注意書きの理由
化粧品等の適正広告ガイドラインにおいて、「浸透」等の広告表現は、化粧品の効能効果が確実に起こる・化粧品に承認された範囲を超えるような効果を暗示する可能性があるとして、原則として使用しないこととされています。
ただし、化粧品の効果が作用する範囲が角質層までであることが明記されており、承認されている効能効果の範囲を超えていない場合は、「浸透」の広告表現が例外的に認められています。
浸透等の表現は、化粧品の効能効果の発現が確実であるかのような暗示、及び効能効果の範囲を逸脱した効果を暗示するおそれがあるため、原則として行わないこと。
ただし、作用部位が角質層であることを明記した場合であって、かつ、広告全体の印象から効能効果の保証や効能効果の範囲の逸脱に該当するものでない場合に限って表現することができる。
具体的な表現方法としては、次のようなワードであれば化粧品の効能効果が及ぶ範囲が角質層に限定されていることが明示されているため、使用OKとなります。
ただし、「※角質層」と表示しておけば、何でも記載してかまわないという訳ではありません。角質層の奥深くまで浸透することを暗示する広告表現は、薬機法やガイドラインに違反するため使用を避けましょう。
「肌への浸透」の表現は「角質層」の範囲内であること。
[表現できる例]「角質層へ浸透」、「角質層のすみずみへ」
[表現できない例]「肌へ浸透」(「角質層」の範囲内であることが明記されていない)、「肌内部のいくつもの層* *角質層」、「肌*の奥深く *角質層」 (注釈で「角質層」とあっても「肌内部」「肌の奥深く」という表現は、角質層の範囲を越えて浸透する印象を与えるため不適切) 「肌の内側(角質層)から・・・」(医薬品的)
細胞レベル等(角質層を除く表皮、基底層、真皮、皮下組織、遺伝子等を含む)の表現においては、化粧品等の定義や効能効果の範囲を逸脱することになるので行わないこと。
まとめ
実際に化粧水や美容液が浸透するのは、肌の古い細胞でできている角質層までです。そのため、角質層よりも奥まで化粧品やその成分が浸透するような広告表現は、虚偽・誇大広告として薬機法違反にあたるため注意が必要です。
ただし、化粧品の効能効果が角質層までの範囲であることをしっかり明記する場合は「浸透」等の広告表現が例外的に認められます
肌に使用する製品については、角質層より奥深く効果が影響することを暗示する表現を避けるようにしましょう。
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