最終更新:2024/07/04
化粧品・医薬部外品に関する薬機法 洗顔料の広告で「透明感」「白く」は使える?
洗顔料の効果を広告する際には、注意したい点がいくつかあります。
例えば、医薬部外品(薬用洗顔料)であれば「透明感」や「肌を白くする」は使っていいのでしょうか?疑問に思う方もいらっしゃるはずです。
この記事では、洗顔料についてどのような表現までなら可能で、不可となる表現はどのようなものか解説します。
洗顔料の薬機法上の違い
化粧品の洗顔料と医薬部外品との洗顔料(薬用洗顔料)は、薬機法によって明確に分かれています。 洗顔料は洗浄成分が主体で、洗浄以外の効能効果はありません。薬用洗顔料は殺菌成分や保湿成分を含み、ニキビ予防などの効能効果を持ちます。
「有効成分」の効能効果を謳える?
薬用化粧品で有効成分が規定量処方されていても、医薬品ほどの効果は持たないため、あくまで「予防の範囲内」で、効果はそれほど謳えないのが実情です。 特に洗顔料は、「肌の表面の汚れを落とし、皮膚を清潔に保つ」ことが目的のため、同じ薬用化粧品の化粧水や美容液などに比べると、差別化に使える表現は少なくなります。
薬用洗顔料が標ぼうできる効能効果
薬用洗顔料を含む薬用石けんで認められている効能効果は、化粧品に認められる効能に加え以下のものがあります。
殺菌剤主剤(消炎剤主剤を併せて配合しているものを含む)
皮膚の清浄・殺菌・消毒 体臭・汗臭及びニキビを防ぐ
消炎剤主剤のもの
皮膚の清浄、ニキビ・かみそりまけ及び肌あれを防ぐ
美白や保湿に関しては、化粧品としての効能効果しか謳うことができません。
洗顔料で謳える効能効果
医薬品等適正広告基準で定められている化粧品の56の効能のうち、洗顔料で使用できるものをあげます。
- (17)(汚れをおとすことにより)皮膚を洗浄する
- (18)(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)
- (19)肌を整える
- (20)肌のキメを整える
- (21)皮膚をすこやかに保つ
- (22)肌荒れを防ぐ
- (23)肌をひきしめる
- (24)皮膚にうるおいを与える
- (26)皮膚の柔軟性を保つ
- (29)肌を柔らげる
- (30)肌にはりを与える
- (32)肌を滑らかにする
これらは洗顔料に共通して使えるため、販売用のコピーとしてはインパクトが弱いことは否めません。
表現の可否の判断基準
薬機法違反にならない範囲で表現する場合は、誤認や過剰な期待を与えないよう、化粧品の効能効果の範囲内に留めることを優先しましょう。 効果については、洗浄によってもたらされた効果であるとはっきり分かる表現を選びます。肌のトーンの変化については主観的な表現に留めるようにすることも有効です。
洗顔料で「透明感」は使用できる
「透明感」を表現指定医化粧品は、以下の基準で制限されています。
- 洗顔
- 物理的な汚れ落ち(ただちに不可としない)
- メーキャップによる印象
- 薬用化粧品で「美白」の承認を受けている
のいずれかに該当しなければなりませんが、洗顔によるものであれば問題なく使うことができます。 ただし、透明感のみが強調されると効能効果の逸脱になる可能性があるため、「洗顔による物理的な汚れ落ち」によって得られる効果であることを表現する程度にしましょう。 例えば打ち消し表現などを使い、「透明感とは、汚れが落ちキメの整った肌印象のこと」と明記する必要があります。
洗顔料で「白く」は使用できない
「肌が白く」や「白い肌に」などについては、いくら汚れを落としたからといっても、洗顔で肌の色が白くなることはありえないという見解があるため、使用できません。 同じような表現に「美白」がありますが、こちらも使用できないと考えてください。
洗顔料での美白は、あくまでも洗浄により皮脂汚れや古い角質が落ちたことによる「くすみ」が取り除かれた効果です。肌自体が白くなっていない(洗顔によって肌内部のメラニン量が減ったり、シミが落ちたりしているわけではない)から、薬機法でいうところの美白には当てはまらないのです。
安全な表現をするなら「美白」は使用せず「美肌」と表現するのが良いでしょう。
洗顔料で使える広告表現の例
「透明感」のように洗顔料に使える言葉には、どのようなものがあるのでしょうか。
「くすみ」 「くすみとは古い角層や汚れなどのこと」の定義を注釈などで明記すれば可能です。
- 古い角質によるくすみを落とす
- くすみのない肌に※ ※くすみとは古い角層や肌に付着した汚れなどです。
くすみは、あくまで表面に付着した汚れや角層であるため、「くすみを予防する」というような表現はできません。
「酸化」
メイクや皮脂などの酸化した汚れを落とす(洗い流す)は使用できますので、洗浄によって酸化汚れを落として肌を健やかに保つといった表現にしましょう。「肌の酸化を予防」といった表は、洗顔に皮脂の酸化予防効果はないため、不適切です。
洗顔料で使えない広告表現の例
「白く」の他にも使ってはいけない表現があります。
「メラニン」
「メラニン」という言葉は、シミ予防の暗示となり、これだけでは使用することができません。 トラネキサム酸といった有効成分を規定量配合した、承認を受けた効能効果に基づく表現のみが可能です。「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」と決められていて、読みかえもできないようになっています。 洗顔料の表現では過去に「メラニンを含む古い角層を落とす( 洗い流す)」は、「合理的な根拠の認められない不当表示」と判断された事例があります。 従って、「メラニン」を含む言葉は使用できないと考えたほうが良さそうです。
注意が必要な表現の例
完全に駄目というわけではないけれど、使い方によっては表現の逸脱となってしまう、注意が必要な表現もあります。
「肌が明るく」
「トーンアップ」「肌を明るく」は化粧品の標ぼう可能な効能効果を逸脱すると判断される可能性があります。 しかし、洗浄によってくすみや汚れが落ちた結果として、肌の印象が明るくなることは事実であり、完全に間違っているともいえません。この場合は、主観的な表現を使うことで表現しましょう。
- 肌色が明るくなる:肌色の改善は明らかな不適切表現
- 肌印象が明るくなる:印象という主観的なものはOK
このような言い換えをすることで消費者へアピールできます。
「毛穴への効果」
化粧品の効能効果で、「肌をひきしめる」「洗浄によりニキビを防ぐ」があるため、必ずしも不可とはならない表現です。 洗浄で汚れが落ちたことを表す「毛穴がすっきり」「毛穴(の汚れ)がクリア」も可能になります。 ただし、「広がった毛穴を引き締める」「毛穴を小さくする」など「毛穴の形状変化」を想起させる表現になると、洗顔料の効能効果からの逸脱となるので注意しましょう。 「毛穴汚れを洗浄する」的な意味であれば、毛穴への効果をうたうことは何も問題ありません。
「リセット」
洗顔料であれば「汚れを落とす」効果の範囲内と考えられるので、「洗顔で汚れをリセット」などであれば使える範囲の言葉です。 肌の好ましくない状態(肌荒れやニキビなど)をリセットするという表現は不適切と判断されます。あくまでも洗浄による効果が認められる範囲で表現します。
まとめ
洗顔料に使用できる広告表現は、薬機法で細かく定められています。
もっと自由にアピールできないのかと思うかもしれませんが、消費者に誤解を与えないようにする大切な基準ですので、きちんと理解して遵守する必要があります。
広告表現について不安がある場合は、プロフェッショナルの力を借りることも考えましょう。
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