最終更新:2024/07/04
個人の感想や体験談を用いるときに薬機法で気をつける点
薬機法とは
1.医薬品等の品質・有効性・安全性の確保と、これらの使用による保健衛生上の危害の発生・拡大の防止 2.指定薬物の規制 3.医薬品・医療機器・再生医療等製品の研究開発の促進 の3点を目的とした法律です。 日本では、化粧品や医薬品を広告やホームページなどで紹介する際に必ず守らなくてはいけないのが、この薬機法です。 商品のカテゴリーによって使用してよい文言が異なり、その限られた文言の中から工夫をし、文章を作成しなくてはなりません。 過剰な説明をしていないか、できないことをできると表現していないかなど、厳しくチェックされます。 違反すると罰金を科せられたり、企業名を公表されてしまうため、どの企業も非常に慎重に対応しているのが、この薬機法です。 薬機法は日々更新されます。 新しいカテゴリーの商品が発売されたときには可能だった表現が、時間が経って禁止される表現になってしまうこともあります。 そのため、情報をこまめにアップデートすることをおすすめしていかなくては、ずっと同じ表現をしようすることで、いつの間にか薬機法に違反した表現を使用している、なんてことも起こってしまいますので、注意が必要です。
化粧品広告やHPで体験談を載せる場合
医薬品等適正広告基準で以下のように定められています。 3-6効能効果等又は安全性を保証する表現の禁止 医薬品等の効能効果又は安全性について、具体的効能効果等又は安全性を摘示して、それが確実である保証をするような表現はしないものとする。
では、どのように記載すれば法律違反にならないのでしょうか。
健康食品の広告やHPで体験談を載せる場合
効能効果、例えば ・痩せます! ・ハリが出ます! などと具体的には言及せずに表現することが求められます。
・私の好きな香りです。 ・自分の髪質に合ったトリートメントでした。
など、好み、個人の感想の範囲内であれば、表現が許容されます。
また、近年よく見かける ※あくまで個人の感想です。 という注釈は効果がありません。 この注釈をつけたからと言って、表現の範囲が広がったり、許容されることはありませんので、十分注意が必要です。
医療広告と体験談
2018年5月に通知され、規制が厳しくなっています。 ただし、依頼された口コミでない場合は、そのまま掲載することが可能です。 こちらはあくまで利用者が勝手に書き込んだものに該当するためです。 しかし、商品を提供されていたり、謝礼を受け取ったりしている場合には依頼されていると認識されるため、その旨を明示する必要があります。
レビューサイトで体験
レビューサイトは、管理者が削除できても文章を編集できないといった事例が多々あります。 お客様や患者様が自分の判断で、自分の言葉でレビューサイトで体験談を書くこと自体は問題ありません。 しかし、それが依頼されたものであった場合には、規制の対象となります。
化粧品での違反例
・シワがなくなる。
・ハリが出る。
・抜け毛が減る。
・髪が増える。
・細胞が活性化される。
・色が白くなる。
・シミがなくなる。
・肌荒れを治す。 などが違反の例となります。 また、注釈を記載せずに ・肌の奥まで届く。 と記載することも薬機法で違法とされています。 そもそも化粧品は、薬機法で 人体に対する作用が緩和なもので、皮膚、髪、爪の手入れや保護、着色、賦香を目的として用いられるもの。 と分類されており、治す、なくなる、などと断言することはできません。
言い換え表現(参考)
・シワがなくなる。 ↓ シワの原因は真皮にあります。 薬機法では、化粧品が浸透し、影響を与えることができるのは角質層までとされており、シワをなくす、といった表現はできません。 そのため、 ・シワを予防する。 ・なめらかな肌に導く。 などに言い替えが可能です。
・ハリが出る。 ↓ こちらもシワと同じく原因は真皮にあります。 薬機法では、化粧品が浸透し、影響を与えることができるのは角質層までとされており、ハリがでるという表現はできません。 ・みずみずしい肌に導く。 ・うるおいで満ちた肌に導く。 などに言い替えることで、読んだ方にハリのある肌をイメージしていただくことができます。 ・抜け毛が減る。 ↓ ・抜け毛を防ぐ。 ・頭皮を清潔に保つ。 などに言い替えが可能です。
・髪が増える。 ↓ こちらも ・抜け毛を防ぐ。 ・頭皮を清潔に保つ。 などに言い替えが可能です。
・細胞が活性化される。 ↓ 薬機法では、細胞について言及することは禁止されています。そこで、 ・浸透する※ ※角質層まで という表現ができるでしょう。 ・色が白くなる。 ↓ あくまで作用が緩和ということが前提にある化粧品ですから、色が白くなるという言い方はできません。 そこで、 ・シミを防ぐ。 ・ターンオーバーをサポートする。 といった表現をすることで美白を連想させることができます。 ・シミがなくなる。 ↓ こちらも色が白くなるという表現と同様、あくまで作用が緩和ということが前提にある化粧品ですから、シミがなくなるという表現は禁じられています。 そこで、 ・シミの生成を抑制する。 ・シミを防ぐ。 という表現が可能となります。 例外として、医薬部外品の認証を得ている場合、美白という表現を使用することができます。 ビタミンC誘導体やトラネキサム酸などで美白の有効成分として認証を得ている商品であれば可能な表現です。 ・肌荒れを治す。 ↓ 化粧品に治す、という表現は使用できません。 ・肌を健やかに保つ、という言い替えが適切ではないでしょうか。 こちらも例外として、医薬部外品の認証を得ている場合、炎症を抑えるという表現が可能となります。 グリチルリチン酸ジカリウムなどで抗炎症の認証を得ている場合は使用可能な表現です。
健康食品での違反例
薬機法で規制されていると思われている方も多い健康食品ですが、実は基本的には薬機法では制限されていません。 しかし、薬機法では医薬品でしか使用できない表現を定めています。 その表現を使用してしまうと、薬機法で違反したことになってしまい、未承認の医薬品・医療機器広告を禁止する第68条違反(2年以下の懲役または200万円以下の罰金)で罰せられてしまいます。
では、どのような表現が禁止されているのでしょうか。
基本的には、治る、変える、などといった表現が禁止されています。
ダイエット食品で使用したくなる、 ・脂肪の吸収をおだやかにします。
- 体重を減らす。
- 飲むだけで痩せる。
乳酸菌の入ったサプリメントなどで使用したくなる ・おなかの調子を整える
- 便秘を解消する。
美肌を目指すサプリメントで想像してしまう
- 毛穴がなくなる。
- 色が白くなる。
などは薬機法に抵触してしまうため、注意が必要となります。
言い換え表現(参考)
- 脂肪の吸収をおだやかにします
↓
吸収について言及することはできません。
- 食べ過ぎてしまう方におすすめの
- 遅い時間に食事を摂る方へ
など、実際の効果には触れない言い方を使用する必要があります。
- 体重を減らす。
↓
化粧品同様、効果の断言は禁じられています。
- 体重が気になる方へ。
のような曖昧な言い方がよいでしょう。
- 便秘を解消する。
↓
便秘を解消、という言い方も禁じられています。
しかし
- スッキリしたい方へ。
- 毎日どっさり!
- スッキリ感をサポート。
など、便秘に触れず、便秘が解消されたことをイメージさせる文言を使用することが好まれます。
- 毛穴がなくなる。
↓
こちらは化粧品でもよく見られる表現ですね。
- なめらかな肌へ導く。
- 毛穴の目立たない肌へ導く。※
※うるおいで満ちた肌のこと
など、注釈を使用して美しい肌をイメージしていただく表現も使用することができます。
- 色が白くなる。
↓
こちらも禁止された表現です。
- 透明感のある肌へ導く。
- ターンオーバーをサポートする。
といった言い替えが可能です。
健康食品ではなく、機能性表示食品の場合は使用できる表現が大幅に増えます。
そのため、その商品が機能性表示食品に認定されているのか、よく確認してから表現を決めるとよいでしょう。
美容機器、雑貨での違反例
美容機器、雑貨は医薬品や医療機器ではないため、以下のような表現は薬機法に抵触します。 ・顔が小さくなる。 ・シワをなくす。 ・たるみがなくなる。 ・輪郭が美しくなる。 ・美白ができる。 ・シミが消える。 ・目が大きくなる。 ・毛がなくなる。 ・毛穴がなくなる。 では、このような表現をしたいとき、どのような表現をすればよいのでしょうか。
言い換え表現(参考)
・顔が小さくなる。 ↓ こちらはすぐに違法と判定される表現かと思います。 ・引き締める。 ・スッキリとした印象に導く。 といった表現であれば使用可能ではないでしょうか。 ・シワをなくす。 ↓ 治す、なくす、といった表現は禁じられています。 ・なめらかな肌へ導く。 ・みずみずしい肌へ導く。 といった言い替えが必要になります。 ・たるみがなくなる。 ↓ こちらもすぐに違法と判定される表現かと思います。 ・なめらかな肌へ導く。 ・うるおいに満ちた肌へ導く。 ・肌を滑らかに保つ。 であれば許容範囲ではないでしょうか。 ・輪郭が美しくなる。 ↓ こちらも問題があります。 実際に美顔器を愛用している方の中には、輪郭が引き締まったことを実感できている方も多いのではないでしょうか。 しかしそれを表現することは禁じられています。 そこで ・引き締める。 ・スッキリとした印象に導く。 ・キメを整える。 といった言い替えを行うことができます。 ・美白ができる。 ↓ 美白も医薬部外品でなければ表現が禁じられています。当然、美容機器でも禁じられています。 ・透明感のある肌へ導く。 ・ターンオーバーのペースを整える。 などは使用可能です。 ・シミが消える。 ↓ 消える、という断言は禁じられています。 ・シミを防ぐ。 ・透明感のある肌へ導く。 という表現は使用できるのではないでしょうか。 ・目が大きくなる。 ↓ 医薬品でも許されない表現です。 ・肌を引き締める。 ・スッキリとした印象に導く。 といった言い方が良いのではないでしょうか。 ・毛がなくなる。 ↓ 脱毛器ではこのような表現を行いたくなりますが、美容機器では毛量に言及することが禁じられています。 ・なめらかな肌へ導く。 この他、 ・自宅で手軽に。 ・お風呂場でも使用できる。 ・手軽にしようできる。 ・いつでも使用できる。 といった美容機器そのものの使用しやすさの部分を強調したり、光の強さを具体的に記載したりする手法が多くみられます。 ・毛穴がなくなる。 ↓ 毛穴は小さくなることはあってもなくなることはありません。 このような表現は禁じられています。 ・なめらかな肌へ導く。 ・みずみずしい肌へ導く。 上記のような表現に言い換えることで表現ができるようになります。
まとめ
依頼された場合には、PRとの記載が必要となりますし、内容の確認も必要となります。 これは、近年ステルスマーケティングとして、芸能人の方のSNS投稿が問題になったことも記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。 医療行為というデリケートな部分の口コミには、十分注意しましょう。
※違反事例、言い換え表現についてはあくまで参考として捉えてください。表現の違反等の判断については最新の情報を常にアップデートして頂くことが大切です。また、各都道府県の薬務課によって見解が異なりますので、ご理解頂きますよう宜しくお願い致します。
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