最終更新:2024/07/04
ヘアアイロンやコテに関する薬機法・景表法
髪型のアレンジや寝癖直しに使われる美容家電として、ヘアアイロンやコテ(カールアイロン)を使う人は少なくありません。
こうしたヘアケア用品を始めとした美容機器は、法律上「雑貨」に分類されます。美容機器や雑貨に認められた範囲を超えた広告表現は、薬機法や景表法に違反するため十分気を付けましょう。
本記事では、ヘアアイロンやコテの広告について、薬機法と景表法の観点で注意すべきポイントについてご紹介します。
ヘアアイロンやコテの種類
ヘアアイロンは、髪型のアレンジや寝癖直しに使うための美容家電です。 ヘアアイロンには様々な種類があるため、なりたい髪型や状況によって使い分けることが重要です。
- ストレートアイロン(髪をサラサラのストレートヘアにするタイプ)
- ブラシ型アイロン(ブラシ感覚でスタイリングができるタイプ)
- カールアイロン(髪をカールさせる、巻き髪を作れるタイプ)
コテ(カールアイロン)は、髪を巻いてヘアアレンジをするための美容家電です。 コテは、使用方法や目的別に大きく3種類に分類することができます。
- パイプ(パイプに髪を巻きつけてしっかりカールを作れるタイプ)
- ロールブラシ(ブラシで髪をとかし、自然なカールを作れるタイプ)
- 2WAY(コテとヘアアイロン両方の機能が使えるタイプ)
分類は雑貨に該当
ヘアアイロンやコテどのヘアケア用品は、法律上「雑貨」に分類されます。
ヘアケア用品の他にも、美容目的で使われる器具や美容機器は全て雑貨扱いとなります。なお、美容機器には電動式・非電動式の物が存在しますが、両方とも雑貨の範囲に含まれます。
したがって、美容機器や雑貨を取り扱う機会はとても多いことが分かります。これらの製品や広告に関する薬機法や景表法の規制について、十分理解しておきましょう。
ヘアアイロンやコテに関する薬機法、景表法
薬機法(医薬品医療機器等法)とは、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器の品質や有効性・安全性を確保し、消費者を健康被害から守るための法律です。
こうした薬機法では、ヘアアイロンやコテを含めた美容機器・雑貨の広告に標榜できる効能効果は化粧品と同じ範囲までと定めています。この範囲を超える広告表現は「虚偽・誇大広告」として薬機法違反と判断されるため、十分注意しましょう。
(誇大広告等) 第六十六条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。
(薬機法第66条より引用)
また、化粧品の範囲を超えた効能効果表現を標榜すると、薬機法によって「未承認の医薬品広告」とも判断されてしまいます。
(承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止) 第六十八条 何人も、医薬品若しくは医療機器又は再生医療等製品であつて、まだ承認又は認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。
(薬機法第68条より引用)
景表法(景品表示法)は、商品やサービスについての不当な広告表示から消費者を守るための法律です。
ヘアアイロンやコテを始めとした美容機器について、事実よりも過剰に良い物であるといった広告表示を行うと、優良誤認表示として景表法違反となるため注意しましょう。
(不当な表示の禁止) 第五条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。 一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
(景表法第5条より引用)
「髪のダメージを修復」は標榜できる?
ヘアアイロンやコテの広告には「髪のダメージを補修」といった表現が使われることがあります。
しかし、こうした髪のダメージケアについて標榜する際には、薬機法によって使用できるワードが限られているので注意しましょう。
美容機器の広告において、髪のダメージを物理的に「補修」するといったワードは事実であれば標榜が認められています。ただし、髪のダメージを「修復」するといったワードは治療や回復を表現しているとされて標榜がNGとなっているのです。
髪のダメージケアについて広告に記載するときは、「修復」ではなく「補修」を使うことが大切です。
広告における違反例
ヘアアイロンやコテの広告において使用がNGとなるワードには次のようなものがあります。
- 医療機器と同じような効能効果表現(治療、再生、改善)
- 身体の変化についての表現(髪質改善、枝毛を修復、髪を修復)
- 用法用量の指定(毎晩必ず使ってください、就寝前に)
- その製品を使うだけで良いといった表現(使うたびに、これだけで)
- 不安を煽る表現(放っておいていいの?、異性に嫌われる)
- 最大級表現(最大、最小、最高峰、世界一)
- 安全性の保証(安心安全、トラブルなく、大丈夫)
- 有名人や専門家が推薦しているとした表現(美容師ががおすすめ、大学教授も認めた)
- 他社を誹謗中傷するような内容(従来型とは違って、○○社製品にはない)
化粧品の広告で使用が認められる表現
美容機器や雑貨の広告に使用がOKとなる効能効果は、原則として「化粧品等の適正広告ガイドライン」で定められた56項目に限られています。ヘアアイロンやコテなど、ヘアケア商品に関係している効能効果としては、次のようなものがあります。
- 頭皮、毛髪をすこやかに保つ
- 毛髪にはり、こしを与える
- 毛髪をしなやかにする
- クシどおりをよくする
- 毛髪のつやを保つ
- 毛髪につやを与える
- 裂毛、切毛、枝毛を防ぐ
- 髪型を整え、保持する
- 毛髪の帯電を防止する
(化粧品等の適正広告ガイドラインより引用)
また、使用感の表現(使いやすい、持ち運びに便利)は使用OKです。
言い換え表現(参考)
ヘアアイロンやコテの広告表現に使用が認められている言い換え表現をまとめました。広告制作の際は、ぜひ参考にしてみてください。
NG:傷んだ髪を修復
OK:傷んだ髪にも
NG:ダメージヘアを再生
OK:ダメージケア(潤い補給)
まとめ
ヘアアイロンやコテの広告に「髪のダメージを修復」といったワードを標榜すると、医療機器と同じような効能効果を表現しているとして薬機法違反にあたります。また、優良誤認表示として景表法違反にも該当するため注意が必要です。
また、ヘアケア用品について「美容師がおすすめ」といったワードを標榜することも禁止されています。こうした専門家の推薦表現はつい使ってしまいたくなりますが、薬機法や景表法、各ガイドラインに違反する広告は商品や企業のイメージダウンや措置命令に繋がります。
法律で認められた範囲に沿った適切な広告表現を使いつつ、商品の魅力を伝えるよう心がけましょう。
※違反事例、言い換え表現についてはあくまで参考として捉えてください。表現の違反等の判断については最新の情報を常にアップデートして頂くことが大切です。また、各都道府県の薬務課によって見解が異なりますので、ご理解頂きますよう宜しくお願い致します。
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「美容師がおすすめ」表現はNG
ヘアアイロンやコテの広告に対して、「美容師がおすすめしています」などの推薦表現は禁止されています。
10 医薬関係者等の推せん
医薬関係者、理容師、美容師、病院、診療所、薬局、その他医薬品等の効能効果等に関し、世人の認識に相当の影響を与える公務所、学校又は学会を含む団体が指定し、公認し、推せんし、指導し、又は選用している等の広告を行ってはならない。
ただし、公衆衛生の維持増進のため公務所又はこれに準ずるものが指定等をしている事実を広告することが必要な場合等特別の場合はこの限りでない。
(医薬品等適正広告基準より引用)
ヘアケア用品で美容師や理容師が推薦しているような広告表現は、消費者にその製品の効果や安全性を保証しているような内容と判断されます。こうした理由から、薬機法では美容師や理容師、医師などの国家資格者や専門家が推薦するような広告表現を禁止しているのです。
なお、美容師がその製品を推薦していることが事実であっても広告表現として不適切とされるため注意しましょう。もちろん、推薦表現が事実でない場合も、虚偽・誇大広告として薬機法に抵触します。
(1)医薬関係者の推せんについて
本項は、医薬品等の推せん広告等は、一般消費者の医薬品等に係る認識に与える影響が大きいことに鑑み、一定の場合を除き、例え事実であったとしても不適当とする趣旨である。「公認」には、法による承認及び許可等も含まれる。
また、「特別の場合」とは、市町村がそ族昆虫駆除事業を行うに際して特定の殺虫剤等の使用を住民に推せんする場合である。なお、本項は美容師等が店頭販売において化粧品の使用方法の実演を行う場合等を禁止する趣旨ではない。
(2)推せん等の行為が事実でない場合について
推せん等の行為が事実でない場合は、法第 66 条第2項に抵触する。
(医薬品等適正広告基準より引用)
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