最終更新:2024/07/04
ブースター・導入化粧品の広告で「浸透アップ」は謳える?
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ブースター化粧水や導入美容液といえば、「化粧水の前に使うと化粧水の浸透力がアップしそう」といったイメージを持つ人も少なくありません。しかし、薬機法における化粧品の定義を超えるような広告表現は、虚偽・誇大広告と判断される恐れがあるため注意が必要です。
また、化粧品における「浸透アップ」といった広告表示は、優良誤認表示として景表法違反とある場合があることも知っておきましょう。
本記事では、ブースター・導入化粧品広告で浸透アップを表現するときの注意点や言い換え表現の具体例についてご紹介します。
薬機法・景表法とは?
薬機法(医薬品医療機器等法)とは、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器の品質や有効性・安全性を確保し、消費者を健康被害から守るための法律です。
薬機法では化粧品の広告に標榜できる効能効果を56項目の範囲と定めており、この範囲を超える広告表現を「虚偽・誇大広告」として禁止しています。
(誇大広告等) 第六十六条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。
(薬機法第66条より引用)
また、化粧品の範囲を超えた効能効果表現を標榜すると、薬機法によって「未承認の医薬品広告」と判断されてしまいます。
(承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止) 第六十八条 何人も、医薬品若しくは医療機器又は再生医療等製品であつて、まだ承認又は認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。
(薬機法第68条より引用)
景表法(景品表示法)とは、商品やサービスの不当な広告表示によって消費者が不利益を被らないよう守るための法律です。
景表法において、商品やサービスについて事実よりも過剰に優良であるといった広告表示は「優良誤認表示」と呼ばれ、不適切な広告とみなされます。
(不当な表示の禁止) 第五条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。 一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
(景表法第5条より引用)
「浸透アップ」を広告で表現できる?
化粧水の前に使うブースター化粧品や導入化粧品と呼ばれる製品には、「化粧水の浸透をアップさせる」といったイメージが持たれています。
では、ブースター化粧品や導入化粧品の広告では、「浸透アップ」というワードは使用できるのでしょうか?
薬機法では、化粧品に配合された成分の浸透は「角質層まで」と定めています。そのため、「浸透力がアップする」「角質層の奥まで浸透」といったワードは虚偽・誇大広告として薬機法違反となります。
また、こうした内容は優良誤認表示として景表法違反にも該当するため注意が必要です。
E3 「肌・毛髪への浸透」等の作用部位の表現 浸透等の表現は、化粧品の効能効果の発現が確実であるかのような暗示、及び効能効果の範囲を逸脱した効果を暗示するおそれがあるため、原則として行わないこと。 ただし、作用部位が角質層であることを明記した場合であって、かつ、広告全体の印象から効能効果の保証や効能効果の範囲の逸脱に該当するものでない場合に限って表現することができる。 なお、医薬部外品の有効成分の浸透等の表現を行う場合は、事実に基づき、承認を受けた効能効果の範囲を逸脱しないこと。
(化粧品等の適正広告ガイドラインより引用)
角質層は、肌の最も表面にある厚さ0.01〜0.03mmの薄い層のことを指しています。
したがって、「肌の奥深くまで浸透」「肌の内部まで浸透」といったワードも、角質層を越えるような表現と判断される恐れがあるため注意しましょう。
ブースター化粧品・導入化粧品によって化粧水の浸透をサポートするといった内容を伝える際は、「浸透は角質層まで」であることをはっきり記載しましょう。
「肌への浸透」等の表現 「肌への浸透」の表現は「角質層」の範囲内であること。 [表現できる例] 「角質層へ浸透」、「角質層のすみずみへ」 [表現できない例] 「肌へ浸透」(「角質層」の範囲内であることが明記されていない) 「肌内部のいくつもの層* *角質層」、「肌*の奥深く *角質層」 (注釈で「角質層」とあっても「肌内部」「肌の奥深く」という表現は、角質層の範囲 を越えて浸透する印象を与えるため不適切) 「肌の内側(角質層)から・・・」(医薬品的)
(化粧品等の適正広告ガイドラインより引用)
また、化粧品の成分が浸透するシーンをアニメーションで表現する場合でも、成分が角質層を超えて浸透するような内容にならないよう十分気を付けましょう。
F7.4 身体への浸透シーンや作用機序等のアニメーション等による説明 化粧品等が身体に浸透する場面や作用機序等をアニメーション、模型などを用いて表現する場合は、特に効能効果等又は安全性に関する保証的表現や虚偽又は誇大な表現とならないよう十分注意し、消費者に誤認を与えないこと。
(化粧品等の適正広告ガイドラインより引用)
化粧品での違反例
ブースター化粧品、導入化粧品の広告において使用がNGとなるワードには次のようなものがあります。
- 承認されていない効能効果表現(浸透アップ、肌へ浸透、肌の奥まで浸透)
- 身体の変化についての表現(肌荒れを治す、肌を再生、皮膚を修復)
- 用法用量の指定(毎日必ずご使用ください、お出かけ前に)
- その製品を使うだけで良いといった表現(塗るだけで、何もしなくても)
- 不安を煽る表現(異性に嫌われる、このままでいいの?)
- 最大級表現(最大、最小、日本一、ナンバーワン)
- 安全性の保証(安心安全、副作用なく、問題ありません)
- 有名人や専門家が推薦しているとした表現(芸能人がおすすめ、医師の推薦)
- 他社を誹謗中傷するような内容(これまでにない、他社製品より優れた)
化粧品の広告で使用が認められる表現
化粧品広告に使用がOKとなる効能効果は、原則として「化粧品等の適正広告ガイドライン」で定められた56項目に限られています。肌や皮膚に関係している効能効果としては、次のようなものがあります。
肌を整える 肌のキメを整える 皮膚をすこやかに保つ。 肌荒れを防ぐ。 肌をひきしめる。 皮膚にうるおいを与える。 皮膚の水分、油分を補い保つ。 皮膚の柔軟性を保つ。 皮膚を保護する。 皮膚の乾燥を防ぐ。 肌を柔らげる。 肌にはりを与える。 肌にツヤを与える。 肌を滑らかにする。
(化粧品等の適正広告ガイドラインより引用)
また、使用感の表現(さらっとした、気持ちいい)はOKとなります。
言い換え表現(参考)
ブースター化粧品や導入化粧品の広告で「浸透アップ」について表現する際に認められている言い換え表現をまとめました。これらの表現例を化粧品の広告を作成する際に参考にしてみてください。
NG:浸透アップ OK:角質層のすみずみへ
NG:肌の奥深くへ OK:角質層へ浸透
※違反事例、言い換え表現についてはあくまで参考として捉えてください。表現の違反等の判断については最新の情報を常にアップデートして頂くことが大切です。また、各都道府県の薬務課によって見解が異なりますので、ご理解頂きますよう宜しくお願い致します。
まとめ
ブースター化粧品・導入化粧品の広告において「浸透」を表現できるのは「角層まで」と定められています。角質層を超えた浸透を標榜すると、薬機法や景表法に抵触するため十分注意しましょう。
「ブースター」や「導入」といったワードには「潤いが一層高まる」「浸透力を引き上げる」イメージがつきものです。しかし、商品の良さを伝えようと過剰な効能効果を標榜することはかえってトラブルを生んでしまいます。
各法律やガイドラインをしっかり確認し、適切な広告制作を心がけましょう。
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