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最終更新:2024/07/16

薬機法・景品表示法に関わる化粧品モニターの注意点

薬機法・景品表示法に関わる化粧品モニターの注意点

化粧品のモニターはどのように活用されるでしょうか。 お客様に商品の良さを実感してもらうため、モニターアンケートを実施して集計結果を商品企画・製品開発・品質保証に活かすためなど用途はさまざまです。

化粧品モニターアンケートの対象者

既に発売している商品について知っていただきたい、試していただきたいという意図で行われるモニターの対象はお客様ですが、発売前の商品についてモニターアンケートを実施する場合の対象は、多くの場合その製品のメーカーの社員を対象に内々に行われています。

上市前調査としてのモニターアンケート 薬機法に違反しないためには

例えば、新しくベースコートを発売するとします。お気に入りのネイルカラーの下地として使用することで、「物理的に爪の凹凸を補正」し「上に重ねるネイルカラーが剥がれ落ちるの防ぎ持ちをよくする」という機能を打ち出して、商品の販売促進を図りたいと商品企画担当者が考えたとします。

実際に商品パッケージに「物理的に爪の凹凸を補正」「上に重ねるネイルカラーが剥がれ落ちるの防ぎ持ちをよくする」と表示を行うには、化粧品の製造販売業者としてその製品が標榜する機能を有すると確認できるデータを収集しておく義務があります。モニターアンケートの集計結果はそうしたエビデンスの一要素になるのです。

品質保証担当者が発売するベースコートで標ぼうしたい機能(効能・効果)が化粧品の効能・効果の範囲を逸脱するものでないかを判断するのは言うまでもないことですが、当然、標榜する内容が事実と第三者にも示すことができるよう準備しておく必要があります。(薬機法・景品表示法違反が疑われた場合などは、然るべき機関にそのデータや資料を提出し判断を仰ぐことになるのです。)

今回の例で言うなら、実際にベースコートを使用した人が「物理的に爪の凹凸を補正」される、「上に重ねるネイルカラーが剥がれ落ちるの防ぎ持ちをよくする」機能があると感じられるものでなくてはならないということです。

集計結果の解釈

モニターアンケートを100人に実施して仮に40人しか上記の項目について肯定的な意見を持たないという集計結果が出たならば、製品設計を見直すか商品PRの内容を検討しなおす必要があります。

しかしながら、一つの機能(効能・効果)を標ぼうするにあたり、その質問項目で肯定的な意見を回答する人の割合について法令などで数値が設けられているわけではありません。

モニターアンケートの実施そのものが義務ではないため、集計結果をいかに判断するかも事業者ごとの社内的な基準になります。肯定的な意見の回答が全体の8割以上でないと商品に表示は行わない事業者もあれば、6割以上で商品の表示を行う事業者もあります。企業姿勢が垣間見える部分でしょう。

商品の認知度を高める目的のモニターアンケート 景表法に違反しないためには

商品発売後、その存在をより多くの人に認知してもらうため、あるいは価格の高い商品の購買のきっかけを作るために行うモニターアンケートもあると思います。モニターアンケートの対象者に謝礼として物品や金銭を渡す場合は、景品表示法の「過大な景品類の提供の禁止」に該当しないか注意が必要です。

景品類の定義(景品表示法第二条第3項)

【目  的】顧客を誘引する手段として 【提供方法】取引に付随して提供する 【内  容】物品、金銭などの経済上の利益

上記の3点を満たすと景品の扱いになります。発売後、実際に商品を購入してくれた人にモニターアンケートを依頼し、回答してくれた人にノベルティを付与するという場合、このノベルティが「景品」に該当する可能性がでてきます。

このようにくじや抽選などによらず、もれなく顧客に景品を付与することを「総付景品」と言い、取引価格によって「景品」として付与できる物品、金銭の最高額が変わるので気をつけましょう。

総付け景品の最高額

[取引価額]1,000円未満[景品類の最高額]200円 [取引価額]1,000円以上[景品類の最高額]取引価額の2/10

顧客が景品類に商品以上の価値を見出すことがないよう、景品類の最高額は上記の通り定められています。

参考:よくわかる景品表示法と公正競争規約

二重価格表示

よく見落とされがちな点が「二重価格表示」についてです。 販売促進のために期間限定で定価から値引きをして商品を販売することはよくあるでしょう。しかしながら、定価で販売した実績が規定の期間に満たないうちに、値引きして商品を販売すると景表法違反となります。

価格表示は商品の表示の中でも、消費者の購買の意思決定を左右する重要な情報の一つです。価格表示が不適切な場合は消費者に誤認をあたえ、消費者が実際に望んでいた内容とは異なる商品や取引きで不当な不利益を被る可能性が高くなります。

そのような状況を未然に防ぐため定められいる規定が下記の内容です。

二重価格表示を行う最近時(最近時については、セール開始時点からさかのぼる8週間について検討されるものとするが、当該商品が販売されていた期間が8週間未満の場合には、当該期間について検討されるものとする。)において、当該価格で販売されていた期間が当該商品が販売されていた期間の過半を占めているときには、「最近相当期間にわたって販売されていた価格」とみてよいものと考えられる。ただし、前記の要件を満たす場合であっても、当該価格で販売されていた期間が通算して2週間未満の場合、又は当該価格で販売された最後の日から2週間以上経過している場合においては、「最近相当期間にわたって販売されていた価格」とはいえないものと考えられる。

出典:不当な価格表示についての景品表示法上の考え方 - 消費者庁

景表法違反の可能性が高い!気を付けるべきモニターアンケート

『発売記念価格として定価の△%引き実施¥○○○○-、購入者がモニターアンケートにご協力いただけた場合は✕✕✕をプレゼント』

例えば、発売後間もない商品を定価より値引きして販売し、且つ購入者を対象にモニターアンケート実施してその回答に対して対価(物品、金銭など)を支払うケースについて考えてみましょう。

商品の購入という取引に付随してモニターアンケートをおなっているので、そこで消費者に付与する物品もしくは金銭は「景品」に該当する可能性が高く、前述の「総付け景品」の規定(取引価額に応じた最高景品額の範囲)のうちに収める必要があります。

それから、発売後2週間未満で定価から値引きをしようとすることについては、景表法上、もともと定価として決めていた価格は販売実績が認められないため「定価」と呼べず、偽りの値引き価格で不当に顧客を誘引したことになり、景表法違反に該当すると判断される可能性が高いです。

まとめ

化粧品の販売にともないモニターアンケートを検討している事業者の参考となるよう最低限知っておきたい景表法の重要な内容について解説しました。

せっかく誠意をもって事業を行う事業者も、たった一度の法令違反で消費者からよくない印象を持たれてしまうかもしれません。法令に基づくさまざま規定を把握して誤って違反行為を行ってしまうことを未然に防ぎましょう。

この記事を書いた人
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株式会社Cogane studio

Beaker media 編集部

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