最終更新:2024/07/17
「最大級」「No.1」を広告で謳える?言い換え表現は?薬機法•景表法を解説
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広告表現において「最大級」「No.1」といったワードを最大級表現(最上級表現)といいます。最大級表現はインパクトがあるため広告として有効に見えますが、むやみに使用すると法律やガイドラインに違反するため注意が必要です。
根拠がない最大級表現の掲載は薬機法や景表法に違反する不当な広告表現とされるため、最大級表現を使用するときは客観的裏付けとなる根拠を一緒に掲載しましょう。
本記事では、化粧品や健康食品、美容機器などの商品や医療広告において最大級表現にあたる事例や言い換え表現について解説していきます。広告作成の際に参考にしていただければと思います。
最大級表現の種類
最大級表現は次の3種類に分けられます。
- 最上系(最大級など、最上のものであるといった表現)
- 比較系(No1など、他と比較した表現)
- 保証系(絶対など、効能効果や安全性を保証するといった表現)
化粧品や健康食品、美容機器の広告については比較系のワードは事実に基づくものであれば使用OKとなる場合があります。その際は、最大級表現の裏付けとなる根拠も一緒に分かりやすく記載することが必要です。
また、医療広告については最大級表現は事実であっても原則使わないようにしましょう。
最大級表現は虚偽・誇大広告に該当する
虚偽・誇大広告を行うことは薬機法第66条によって禁止されています。
第六十六条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。
出典:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
最大級表現は比較対象がはっきりとしておらず、一般の消費者に誤った認識を与える恐れがあることから虚偽・誇大広告となる可能性があるため注意が必要です。
「新発売」表示は発売後12ヶ月までならOK
「新発売」「新しい」といった広告表現は製品販売後12ヶ月までなら使用が認められています。 以前は製品販売後6ヶ月間が目安でしたが、2017年に医薬品等適正広告基準が改正され、製品販売後12ヶ月間となりました。
不当な最大級表現は優良誤認表示として景表法違反に
景表法(景品表示法)とは、商品やサービスに対して不当な表示を行うことを規制する法律です。
この法律は、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護することを目的とする。
また、商品広告や医療広告に根拠のない最大級表現を使用すると、優良誤認表示として景表法違反となる可能性があります。
第五条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。 一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
優良誤認表示は措置命令や課徴金の対象にもなるため、不当な最大級表現は使わないようにしましょう。
医療広告での最大級表現は比較優良広告に該当
医療広告において、最大級表現は他の医療機関よりも優れていることを示す「比較優良広告」や誇大広告とされるため広告表現に使用することはできません。
第六条の五 何人も、医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して、文書その他いかなる方法によるを問わず、広告その他の医療を受ける者を誘引するための手段としての表示(以下この節において単に「広告」という。)をする場合には、虚偽の広告をしてはならない。 2 前項に規定する場合には、医療を受ける者による医療に関する適切な選択を阻害することがないよう、広告の内容及び方法が、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。 一 他の病院又は診療所と比較して優良である旨の広告をしないこと。 二 誇大な広告をしないこと。 三 公の秩序又は善良の風俗に反する内容の広告をしないこと。 四 その他医療に関する適切な選択に関し必要な基準として厚生労働省令で定める基準
出典:医療法
また、「最新の治療法」「最新の医療機器」といった表現は客観的な根拠が示されていれば使用がOKとなる場合がありますが。常識の範囲内で不適切な表現とされた場合は誇大広告とされる可能性があります。
Q2-1「最新の治療法」や「最新の医療機器」などの表現は、広告可能でしょうか。 A2-1「最新の治療法」や「最新の医療機器」であることが、医学的、社会的な常識の範囲で、事実と認められるものであれば、必ずしも禁止される表現ではありません。ただし、求められれば内容に係る裏付けとなる根拠を示し、客観的に実証できる必要があります。 登場してから何年までを最新と認めるか等の基準を示すことは困難ですが、より新しい治療法や医療機器が定着したと認められる時点においても、「最新」との表現を使用することは、虚偽広告や誇大広告に該当するおそれがあります。 また、より新しい治療法や医療機器が存在しない場合でも、十数年前のものである場合等、常識的な判断から「最新」との表現が不適切な場合があり、誇大広告等に該当するおそれがあります。
化粧品での違反事例
化粧品の広告において最大級表現となる表現方法やワードを紹介します。
- 最上系(最大級、最高の、最高品質)
- 比較系(No1、第1位、日本初、世界初) ※客観的事実に基づく根拠がある場合はOKとなる事例もあります。
- 保証系(絶対、完璧、全く)
化粧品広告での使用が認められる表現
化粧品広告に使用がOKとなる効能効果は、原則として「化粧品等の適正広告ガイドライン」で定められた56項目に限られているため、広告作成の際にはしっかり確認しておきましょう。 また、使用感の表現(気持ちが引き締まる、肌触りの良い)についても使用が認められています。
化粧品広告での言い換え表現(参考)
化粧品の広告表現において認められている言い換え表現をまとめました。これらの表現例を化粧品の広告を作成する際に参考にしてみてください。
最大級表現を言い換えたい時の具体例
NG:○○コンクール第1位受賞 OK:○○コンクール第1位受賞(※△△年受賞)
NG:売上日本一 OK:今売れに売れている
健康食品での違反事例
健康食品広告において最大級表現となる表現方法やワードには次のようなものがあります。
- 最上系(最大、最高の、無類)
- 比較系(第1位、日本初、世界初)(客観的事実に基づく根拠がある場合はOKとなる事例もあります。)
- 保証系(絶対、100%、完璧)
健康食品広告での使用が認められる表現
健康食品の広告での使用がOKとなっている表現には次のようなものがあります。
- サポート表現(健康維持のために、運動をサポート)
- 使用感の表現(飲み心地がいい、香りがいい)
使用には注意が必要となる表現
次の表現は、身体の部位を表すワードに合わせての使用はNGとなるため注意が必要です。
- 脂肪分の多い食事に
- スッキリ
健康食品広告での言い換え表現例(参考)
健康食品の広告表現において認められている言い換え表現をまとめました。広告作成の際に参考にしていただければと思います。
最大級表現を言い換えたい時の具体例
NG:○○コンクール第1位受賞 OK:○○コンクール第1位受賞(※△△年受賞)
NG:売上日本一 OK:今売れに売れている
美容機器、雑貨での違反事例
美容機器や雑貨の広告において最大級表現となる表現方法やワードには次のようなものがあります。
- 最上系(最高、最大、抜群、画期的)
- 比較系(第1位、日本初、世界初)(客観的事実に基づく根拠がある場合はOKとなる事例もあります。)
- 保証系(絶対、必ず、100%)
美容機器広告での使用が認められる表現
美容機器や雑貨の広告での使用がOKとなっている表現には次のようなものがあります。
- サポート表現(健康維持のために、美容のために)
- 使用感の表現(着心地がいい、フィット感がある)
使用には注意が必要となる表現
次の表現は、身体の部位を表すワードに合わせての使用はNGとなるため注意が必要です。
- 甘いものが好きな方に
- きれいな毎日を
美容機器、雑貨の広告での言い換え表現(参考)
美容機器や雑貨の広告表現において認められている言い換え表現をまとめました。これらの表現例を美容機器や雑貨の広告を作成する際に参考にしてみてください。
最大級表現を言い換えたい時の具体例
NG:抜群の着け心地です OK:着け心地がいいです
NG:売上日本一 OK:今売れに売れている
医療広告での違反事例
医療広告において最大級表現となる表現方法には次のようなものがあります。
- 最上系(最高、最大、最強)
- 比較系(第1位、日本初、世界初)
- 保証系(絶対、100%、完璧)
医療広告での使用が認められる表現
医療広告での使用がOKとなっている表現には次のようなものがあります。
医療法が定めるもの
- 医師又は歯科医師である旨
- 診療科名
- 当該病院又は診療所の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項並びに当該病院又は診療所の管理者の氏名
- 診療日若しくは診療時間又は予約による診療の実施の有無
- 一定の医療を担うものとして指定を受けた病院若しくは診療所又は医師若しくは歯科医師である場合には、その旨
- 認定を受けた医師である場合には、その旨
- 地域医療連携推進法人の参加病院等である場合には、その旨
- 入院設備の有無、病床の種別ごとの数、医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の従業者の員数その他の当該病院又は診療所における施設、設備又は従業者に関する事項
- 当該病院又は診療所において診療に従事する医療従事者の氏名、年齢、性別、役職、略歴その他の当該医療従事者に関する事項であつて医療を受ける者による医療に関する適切な選択に資するものとして厚生労働大臣が定めるもの
- 患者又はその家族からの医療に関する相談に応ずるための措置、医療の安全を確保するための措置、個人情報の適正な取扱いを確保するための措置その他の当該病院又は診療所の管理又は運営に関する事項
- 紹介をすることができる他の病院若しくは診療所又はその他の保健医療サービス若しくは福祉サービスを提供する者の名称、これらの者と当該病院又は診療所との間における施設、設備又は器具の共同利用の状況その他の当該病院又は診療所と保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との連携に関する事項
- 診療録その他の診療に関する諸記録に係る情報の提供、書面の交付その他の当該病院又は診療所における医療に関する情報の提供に関する事項
- 当該病院又は診療所において提供される医療の内容に関する事項(検査、手術その他の治療の方法については、医療を受ける者による医療に関する適切な選択に資するものとし て厚生労働大臣が定めるものに限る。)
- 当該病院又は診療所における患者の平均的な入院日数、平均的な外来患者又は入院患者の数その他の医療の提供の結果に関する事項であつて医療を受ける者による医療に関する適切な選択に資するものとして厚生労働大臣が定めるもの
出典:医療法
厚生労働省が定めたもの
- 保険診療
- 評価療養及び選定療養
- 分娩
- 自由診療のうち、保険診療又は評価療養若しくは選定療養と同一の検査、手術その他の治療の方法
- 自由診療のうち、薬事法の承認又は認証を得た医薬品又は医療機器を用いる検査、手術その他の治療の方法
その他、使用が認められている表現
他にも、成功率、治療率に触れない治療の方針表現であれば医療広告での使用がOKとなります。
医療広告での言い換え表現(参考)
医療広告において認められている言い換え表現をまとめました。これらの表現例を美容機器や雑貨の広告を作成する際に参考にしてみてください。
最大級表現を言い換えたい時の具体例
NG:当院は手術件数1位です OK:当院の手術件数は○○県内で10位以内に入ります(※△△誌2021年調べ)
NG:絶対に痛くない治療を行います OK:痛みの少ない治療を目指します
まとめ
薬機法や医薬品等適正広告基準において、医薬品や化粧品、美容機器の効能効果や安全性に対して「最高」「No1」といった広告表現は認められていません。
化粧品や健康食品、美容機器については事実に基づく「第1位」であれば裏付けとなる根拠を一緒に記載することで使用が認められる場合があります。ただし、その場合であっても医療広告への使用は原則禁止されているため注意しましょう。
最大級表現はインパクトがあるため不適切に使用すると一般の消費者や患者さんに誤った認識を与える恐れがあるため法律やガイドラインによって規制が設けられています。客観的な根拠のある表現を使用し、適切な広告作成を心がけましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
※違反事例、言い換え表現についてはあくまで参考として捉えてください。表現の違反等の判断については各都道府県の薬務課によって見解が異なりますので、ご理解頂きますようお願いいたします。
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