最終更新:2024/07/17
「活性酸素」を広告で謳える?言い換え表現は?薬機法•景表法を解説
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広告制作をするにあたって、「活性酸素」「抗酸化力」は表現できるでしょうか。
活性酸素には様々な種類があります。身体の中が「さびる」とは、人間が体内に持っている「抗酸化力」だけでは足りなくなり、活性酸素が活発に働いている状態のことです。健康や美容を維持するためには、活性酸素の働きを抑える「抗酸化力」を高めたいと考える方が多いでしょう。
今回の記事では、「活性酸素」「抗酸化力」は広告表現において、薬機法上表現できるのか、化粧品、健康食品、美容機器に分けて考え進めていきます。
お客様により届きやすい広告制作のために、言い換え表現なども紹介しています。 どう表現すればいいのか迷った時の参考にしてみてください。
薬機法とは
正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といいます。 間違った情報や認識により、身体に与える影響が大きいため法律で厳しく定められています。 医薬品や医薬部外品、化粧品や医療機器に関する品質・有効性・安全性を確保するための法律です。
- 医薬品(風邪薬、鼻炎薬など)
- 医薬部外品(うがい薬、日焼け止めなど)
- 化粧品(コスメ、シャンプーなど)
- 医療機器(家庭用マッサージ器など)
- 再生医療等製品
景品表示法とは
正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」といいます。 商品やサービスの取引に関連する不当な表示を禁止しています。一般消費者の利益を保護することを目的としています。
実際のものよりも「すごくいい!」と思わせてしまう「優良誤認」、実際よりも「すごくお買い得!」と思わせてしまう「有利誤認」などが不当表示にあたります。商品やサービスの品質、価格等を偽って表示することを厳しく規制しており、消費者がより良い商品やサービスを選ぶための法律です。
化粧品の広告表現で「活性酸素」言える?言えない?
薬機法の観点から見て、化粧品の広告で、「活性酸素」は表現できません。 化粧品は、「化粧品等の適正広告ガイドライン」で定められている56の効能効果の範囲内でないと言うことができないからです。 薬機法で化粧品は下記のように定義されています。
この法律で「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌ぼうを変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。ただし、これらの使用目的のほかに、第一項第二号又は第三号に規定する用途に使用されることも併せて目的とされている物及び医薬部外品を除く。
出典:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
活性酸素とは
大気中の酸素よりも活性化された酸素およびその関連分子で、酸素原子を含む反応性の高い化合物の総称。活性酸素とは、私たちが呼吸している大気中の酸素よりも活性化された酸素およびその関連分子の総称で、不安定で色々な物質と反応しやすい性質をもっています。
生物が生きていく上で酸素は必要です。活性酸素とは、体内にとりこんだ酸素の一部が、活性化された状態のことをいいます。
取り込んだ酸素の数%は活性酸素に変化するといわれています。体内で様々な成分と反応することで、過剰になると細胞に傷を負わせることがあると考えられています。 切ったリンゴが変色したり、金属がさびたりする「酸化」の原因は「活性酸素」の働きによるものです。人間の身体の中でも同じことがおこり、「さびる」と病気の原因となることもあるのです。
化粧品での違反事例
「活性酸素」「抗酸化力」などに関する化粧品広告での使用がNGとなる内容には、次のようなものがあります。
- 医薬品的な効果効能があるような表現(活性酸素に、抗酸化作用、アンチエイジング効果、ターンオーバーを整える、細胞に作用する、若返る、肌荒れを治す)
- 身体の変化についての表現(抗酸化力、さびない、肌の奥深くまで浸透)
- 最大級表現(最大、デラックス処方、最高の、日本一、最高峰)
- 安全性の保証(安心安全、無害、赤ちゃんでも使える)
- 有名人や専門家が推薦しているとした表現(医師推薦、厚生労働省が認める、美容師推薦)
- 他社を誹謗中傷するような内容(これまでのコラーゲンの10倍の効果、○○社製品より優れた、肌によくないとされている〇〇成分無添加)
化粧品広告での使用が認められる表現
化粧品広告では、「化粧品等の適正広告ガイドライン」で定められている56の効能効果の範囲内に収める必要があります。逆に言うと事実であっても、効能効果範囲外のことは言えないので注意が必要です。
代表的なものには、
- 肌を整える
- 肌荒れを防ぐ
- 皮膚にうるおいを与える
- 肌にハリを与える
- 肌にツヤを与える
などがあげられます。また「補い保つ」「補う」「保つ」など、効果の範囲であれば言い換えをすることは可能です。
化粧品広告での言い換え表現(参考)
化粧品広告で「活性酸素」「抗酸化」に関連する表現で認められている言い換え表現をまとめました。 これらの言い換えの例を化粧品広告を作成する際の参考にしてみてください。
活性酸素に関する表現を言い換えたい時の具体例
NG:肌の抗酸化作用 OK:肌を保護する
NG:肌のサビを消去 OK:肌のキメを整える
NG:アンチエイジング OK:エイジングケア※年齢に応じたお手入れのこと
お客様の体験談で表現できる?
お客様の体験談で効能効果を言い表していることがありますが、体験談で述べることができるのは、使用感のみです。なぜなら、効能効果の保証にあたる可能性があるからです。
化粧品等の効能効果又は安全性についての愛用者の感謝状、感謝の言葉の例示等、使用経験又は体験談(タレントや自他者を問わない。)広告は、客観的裏付けとはなりえない。従って、消費者に対し化粧品等の効能効果又は安全性について誤解を与えるおそれがあるので行わないこと。
お客様のリアルな声に「肌のサビにこれがよいと聞いたので」「抗酸化作用があるものを取り入れて肌がきれいになった」などと書いてあってもそのまま使用することはできませんので注意が必要です。 「※あくまでも個人の感想です」と打ち消し表示をしても違反になります。
表現可能な例は以下のとおりです。
- 使用方法が簡単なので不器用な私の味方。
- 使いやすいので忙しい私にピッタリ、助かっています。
- しっとりした使い心地が私の好みに合っています。
健康食品は薬機法の範囲外?
健康食品については、実は薬機法の対象ではありません。ですが、広告で表現する際にその効果が医薬品的な効果を示していると、無承認無許可医薬品という扱いとなって薬機法違反となりますので注意が必要です。 つまり「医薬品」と誤解されるような表現が薬機法違法になります。 あくまでも、健康食品は、健康を維持するための食品であるということを念頭において広告制作をすると良いと思います。
健康食品での違反事例
健康食品でも「活性酸素を除去」「抗酸化力」は表現できません。健康食品は、体内の変化を表現すると薬機法違反となります。
第六十六条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。
出典:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
健康食品の広告で、使用がNGとなる内容には次のようなものがあります。
- 医薬品的な効果効能があるような表現(抗酸化作用、サビをとる)
- 身体の変化についての表現(デトックス、毒出し、美肌効果、美白効果、抗酸化力を発揮)
- 特定部位を表す表現(肌、腕、おなか、腸)
- 症状や病名の記載(ニキビ、アトピー、便秘)
- 用法用量の指定(夕食後にお召し上がりください、1回1粒でOK)
- 行政機関が認めたような表現(厚生労働省が認めた、〇〇研究所推薦)
健康食品広告での使用が認められる表現
健康食品の広告での使用がOKとなっている表現には次のようなものがあります。
- サポート表現(美容のために、体の中から美しく)
- 使用感の表現(飲みやすい、続けられる、香りがいい)
健康食品広告での言い換え表現例(参考)
健康食品の広告で、活性酸素や抗酸化力の表現についてまとめました。広告制作の際の参考にしてみてください。
活性酸素や抗酸化力に関する表現を言い換えたい時の具体例
NG:活性酸素を除去 OK:身体の中から元気に
NG:抗酸化作用 OK:健康を維持するために
美容機器、雑貨での違反事例
美容機器、雑貨に関しては、化粧品と同様に考える必要があります。つまり、化粧品の効能効果の56種の範囲内であればよいということです。 「活性酸素を除去する」「抗酸化力」などは、効能効果の範囲に含まれていないので、美容機器でも表現することができません。
- 当社の浄水器で得られた水には抗酸化作用がある
- とっておきの抗酸化作用で活性酸素を除去し美肌へと導きます
- 肌のシワ構造を改善する
- 医療機器の機能を応用して設計。効果は抜群、安全です
- 細胞内部に温熱効果を与えて血行を良くして新陳代謝を高めます
美容機器広告での使用が認められる表現
美容機器や雑貨の広告での使用がOKとなっている表現には次のようなものがあります。
- サポート表現(美容のために、運動をサポート)
- 使用感の表現(使いやすい、操作性が良い、コンパクトで持ち運びしやすい)
美容機器については、身体の構造、機能に影響を与えないもので、単に美容を目的とする場合は医療機器に該当しないとされています。化粧品と同程度の範囲内で、事実に基づくのであれば美容機器の効果として述べても良いということになっています。
- 「肌のキメを整える」
- 「肌をなめらかに保つ」
- 「肌をひきしめる」
- 「皮膚の水分、油分を補い保つ」
- 「皮膚の柔軟性を保つ」
- 「皮膚を保護する」
- 「皮膚の乾燥を防ぐ」
- 「肌をやわらげる」
- 「肌にハリを与える」
- 「肌にツヤを与える」
- 「肌荒れを防ぐ」
など化粧品と同等の効能効果の範囲内で表現することが可能です。
美容機器、雑貨の広告での言い換え表現(参考)
美容機器の広告制作で、美肌に関連する表現についてまとめました。広告制作の際の参考にしてみてください。
活性酸素や抗酸化作用に関する表現を言い換えたい時の具体例
NG:活性酸素を除去します OK:美容と健康をサポート
NG:抗酸化作用があります OK:身体の健康を維持します
まとめ
活性酸素によって、身体の酸化を防ぐことが美容や健康につながることから、広告制作では上手に訴求することが大切です。しかし、「活性酸素を除去する」「抗酸化力がある」「抗酸化作用」というような表現は体内の変化を示し、薬機法に違反する可能性が高いです。 また、景品表示法の観点からも、客観的な根拠を示す必要がありますので、注意が必要です。
言い換え表現などをうまく使って、訴求力のある広告制作の参考にしてみてください。
※違反事例、言い換え表現についてはあくまで参考として捉えてください。表現の違反等の判断については各都道府県の薬務課によって見解が異なりますので、ご理解頂きますようお願いいたします。
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