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最終更新:2024/12/06

ステマ規制の「基本のキ」 ステマ規制の概要から対策案まで解説

ステマ規制

ついに!ステマが景品表示法の違反の対象に

ステルスマーケティング(ステマ)とは

「ステルスマーケティング」(ステマ)とは、実際は事業者の広告であるにも関わらず、それが広告であることを隠す表示であり、あたかも第三者の客観的な意見や感想であるかのように表示し、一般消費者を誤認させる行為のことです。

これまで日本でステマは景品表示法により直接規制される対象ではありませんでした。しかし、令和5年3月23日付内閣府告示によって、ステマを意味する「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」が指定されたことにより、ステマ自体が景品表示法に基づく規制対象となりました。この告示は令和5年10月1日より施行、運用が始まっています。

出典: [「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準PDF:336KB

近年勢いを増してしているSNSの投稿や口コミやレビューなどのWEBサイト上の表示は、事業者による広告や宣伝ではなく、消費者やインフルエンサーなどの第三者の表示に見えることがあります。 しかし、そのような表示の中に、実は商品やサービスを販売する事業者が投稿している広告もあります。

一般消費者が商品を選ぶ際には事業者の広告なのか、それとも誰か他の人が使ってみた感想であるかが明瞭になっていることが重要と言われています。なぜかというと、事業者による広告であれば、一般的に消費者は、広告にはある程度の誇張や誇大があるものと認識していて、それを含んだうえで商品を選択しているからです。

一方、広告だということが分からない状態だと、消費者は事業者でない第三者の感想であると誤認してしまい、その表示の内容を鵜呑みにしてしまうかもしれません。

このように、消費者が自主的かつ合理的に商品やサービスを選ぶことが出来なくなってしまうことから、消費者を保護するための法律が景品表示法となります。

景品表示法(正式名称:不当景品類及び不当表示防止法)は消費者が良い商品やサービスを自主的かつ合理的に選べる環境を守るための法律です。商品やサービスに関する不当な表示を規制しています。規制対象となるのは事業者(広告主体者)です。

景品表示法の概要

  • 規制される不当な表示 優良誤認表示:商品やサービスの品質、規格などの内容について、実際のものや事実に相違してライバルのものよりも著しく優良であると一般消費者に誤認される表示(景品表示法第5条第1号) 有利誤認表示:商品やサービスの価格などの取引条件について、実際のものや事実に相違してライバルのものよりも著しく有利であると一般消費者に誤認される表示(景品表示法第5条第2号) その他、誤認されるおそれのある表示:上記のほか、一般消費者に誤認されるおそれがある表示を特に指定して、禁止している(景品表示法第5条第3号)

💡 ステマを不当表示とするよう、景品表示法第5条第3号に基づく告示が指定されています。

これがステマ規制と呼ばれています。

ステマ規制に該当する内容と注意点

ステマ規制の内容

一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示(令和5年3月28日内閣府告示第19号)

事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示であって、一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの

この告示によって、事業者の表示であるにもかかわらず、一般消費者が事業者の表示であることを分からない場合は、不当表示となります。

つまり、ステマに該当するかの要素として以下の2点がポイントとなります。

  1. 事業者の表示であるのに、
  2. 一般消費者が見て、事業者の表示であることが分からない

1.事業者の表示とは

事業者の表示とは、一般消費者に対して自己の商品やサービスについて知らせる表示全般のことを指します。つまり広告のことです。

事業者の表示であると判断されるのは、事業者が表示内容の決定に関与していたと認められる場合です。すなわち、客観的にみて、第三者の自主的な意思で表示された内容と認められない場合です。

例えインフルエンサーの投稿であっても、インフルエンサーが自ら商品を選択するなど客観的な状況で、自主的な意思による投稿や表示であればステマ規制の対象外となります。

一方で、事業者自らが作って表示する場合や事業者が第三者に表示の作成を依頼‣指示をする場合であっても、事業者の表示とみなされるため注意が必要です。

2.一般消費者が事業者の表示であることを分からない場合とは

一般消費者が表示を見て、すぐに広告であることが分かるようになっているかが表示全体の内容から判断されます。明らかに広告や宣伝であることが誰が見ても分かるものについてはステマ規制の対象外となります。

ステマに該当する場合、大きく分けて2種類あります。

  • なりすまし型

事業者が一般消費者になりすまして口コミやレビュー・評価を書くタイプのものです。過去に「食べログ」において金銭を受け取って飲食店に好意的な口コミを投稿するなどし、ランキングを上げようとするやらせ業者が問題となった事例がありました。好意的なものに限らず、一般利用者になりすましてライバル企業の商品やサービスに低評価や悪いレビューを書きこむ行為もこのタイプとなります。

  • 利益提供(インフルエンサー)型

有名人や社会的な影響力のあるインフルエンサーなどに商品やサービスについて宣伝を依頼するタイプのものです。主にSNSなどで事業者から商品やサービスの提供を受けるなどしたうえで、宣伝活動であるにもかかわらず、愛用しているかのような投稿をする場合です。この場合、ステマに該当するかの判断において報酬の有無は問われません。事業者とインフルエンサーの関係性などから、事業者が表示内容の決定に関与していると認められればステマに該当する可能性が高くなります。

ステマ規制を回避するための対策とは?

ステマと見なされることを回避するためには、以下の対策が必要です。

  • 広告には必ず「広告」、「PR」、「プロモーション」、「○○社から商品を提供いただきました」**など広告であることがわかることを明瞭に表示する
  • 事業者の社員、取引先、インフルエンサーなど対し、ステマ行為を避ける研修などの教育を適宜行う

明らかに広告と分かる場合については「広告」など明示する必要はありません。例えば、事業者が自身のSNSのアカウントに自社商品について投稿する場合や、 事業者が自らのウェブサイト内で商品の紹介をする場合などです。その他判断に迷うケースにおいては、広告であることを明示しておくことがリスク回避となります。

また、社員や取引先、インフルエンサーなどがステマ規制について理解し、正しい判断ができる状態であることが望まれます。ステマ行為を避けるよう周知徹底を行うと同時に、法令順守の体制を構築するよう教育訓練する姿勢が事業主には求められています。

広告なら薬機法にも配慮が必要!

広告であると明示されたものが化粧品等に関する投稿(表示)であれば、薬機法(医薬品医療機器等法)の規制対象となります。虚偽誇大な表現や未承認医薬品等と受け取られるような表現になっていれば、表示内容の修正が必要となります。そのため、取引先やインフルエンサーに対してはステマ規制の知識に加え、薬機法に配慮した感想やコメントが投稿(表示)されるようにしなければなりません。

  • 薬機法の愛用者の声(使用体験談)ルール 使用感や香りのイメージに関するコメントに限り可能 効能効果に関する表現は不可(保湿、ハリ など) 安全性に関する表現は不可(敏感肌の私にも使えた、刺激がない など)

終わりに

ステマ規制のポイントをおさらい

ステマ規制の内容、ステマ行為を回避するための対策について解説いたしました。

ポイントをおさらいすると以下の要点にまとめられます。

  • ステマ規制の対象は事業者(広告主体者)
  • 事業者が表示内容の決定に関与すれば広告に該当
  • 広告と分かりにくいものは広告であることを明示する
  • 広告なら薬機法の配慮が必要

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この記事を書いた人
橋本 圭子's picture
京都薬事広告ラボ

橋本 圭子

人々の豊かな暮らしに欠かせない「美と健康」の健全な広告活動をサポート。表面的な薬事・法規チェックにとどまらず営業・広報の経験によるマーケティング・PR視点で、商品の持ち味を生かし自然と売れる広告へ導く。 業務内容:薬事広告コンサルティング、薬事セミナー・講座 強み: ◆スピーディーな広告展開にも即対応 ◆営業×広報×薬事 3つの経験をフルに活かしたアドバイス ◆守りと攻めのバランス感覚に自信

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