最終更新:2024/08/22
男性ホルモンを広告で謳える?言い換え表現は?薬機法•景表法を解説

「男性ホルモン」は化粧品や健康食品の広告で謳えるのでしょうか。
化粧品や健康食品の広告では、薬機法や景表法で使用できる表現が決められています。
薬機法では、身体機能に影響を与える効果効能の表現について、医薬品以外の広告では使用が認められていません。
この記事では、「男性ホルモン」の表現に関する薬機法や景表法上の注意点についてまとめています。
違反事例や言い換え表現も合わせて紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。
「男性ホルモン」とは?
男性ホルモンは、体内で分泌されるホルモンの一種です。男性ホルモンには、以下のような働きがあります。
- 筋肉量を増やす
- 骨格を太くする
- ヒゲや体毛を生やす
- 集中力ややる気が出る
- 精神が安定する
- 性欲を高める
- 内臓脂肪の減少
「男性ホルモンを増やすことで、これらの効果を実感できます」と広告でアピールしたいところですが、化粧品や健康食品の広告はいくつかの法律で規制されています。
化粧品や健康食品の広告表現で「男性ホルモン」は謳えない
化粧品や健康食品の広告表現で、「男性ホルモン」は謳えません。
「男性ホルモンの分泌を促す」など、身体機能に影響を与える効果効能は、医薬品的な表現です。
「薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)」の第66条で、誇大広告は禁止されています。
第六十六条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。
出典:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
化粧品や健康食品の広告で医薬品的な効果効能を謳うことは、虚偽・誇大広告となり薬機法違反なので、「男性ホルモン」は使用不可です。
薬機法の規制対象となる化粧品の効果効能については、限られた56の表現のみを用いるよう「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」で定められています。
他の効果効能については、化粧品の広告で表現できません。
健康食品は薬機法の規制対象ではないので、化粧品の広告で使用可能な効果効能だけでなく、効果効能自体を謳うことはできません。
健康食品の広告については、身体の特定部位や、病名・症状を表示することも禁止されています。
そのため、筋肉・骨格・ヒゲ・髪の毛等に対する効果を表現することはできません。
化粧品広告で使用が認められる表現
化粧品の広告では、「髪の毛を増やす」「ホルモンの調節」などの表現は不可能です。
男性ホルモンは薄毛や脱毛に影響を与えると言われていますが、はっきりした原因とはされていません。
薄毛の原因の1つとして皮脂の分泌過剰が考えられるので、毛髪に関する効果効能の表現の中から、頭皮への効果効能の表現を利用することは可能でしょう。
化粧品の広告で認められている56の表現の中で、毛髪に関する効果効能の表現は以下のとおりです。
(1)頭皮、毛髪を清浄にする。
(2)香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える。
(3)頭皮、毛髪をすこやかに保つ。
(4)毛髪にはり、こしを与える。
(5)頭皮、毛髪にうるおいを与える。
(6)頭皮、毛髪のうるおいを保つ。
(7)毛髪をしなやかにする。
(8)クシどおりをよくする。
(9)毛髪のつやを保つ。
(10)毛髪につやを与える。
(11)フケ、カユミがとれる。
(12)フケ、カユミを抑える。
(13)毛髪の水分、油分を補い保つ。
(14)裂毛、切毛、枝毛を防ぐ。
(15)髪型を整え、保持する。
(16)毛髪の帯電を防止する。
すこやかに保つ、うるおいを与える・保つ、水分・油分などの表現を用いて、頭皮に関する効果効能を謳うことができます。
また、医薬部外品の薬用シャンプーや育毛剤などの広告で認められる表現は、56の表現とは異なります。
育毛剤で認められている効果効能の表現は、以下のとおりです。
育毛、薄毛、かゆみ、 脱毛の予防、毛生促進、 発毛促進、ふけ、病後・ 産後の脱毛、養毛。
男性ホルモンに関する表現はできませんが、育毛や薄毛などの表現は使用できます。
薬用シャンプーは、薬用化粧品として以下のような表現が可能です。
ふけ、かゆみを防ぐ。
毛髪・頭皮の汗臭を防ぐ。
毛髪・頭皮を清浄にする。
毛髪・頭皮をすこやかに保つ。
毛髪をしなやかにする。
化粧品での違反例、言い換え表現(参考)
「男性ホルモンの減少による抜け毛を改善」→「毛髪・頭皮をすこやかに」
健康食品で使用が認められる表現
男性更年期や妊活などの男性ホルモンが関与するサプリメントの広告では、男性ホルモンの分泌を促す特徴をアピールしたいところです。
ところが、健康食品の広告では、効果効能を表現すると薬機法上の医薬品とみなされ、薬機法違反となります。
「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」では、景表法と健康増進法について次のように記載されていました。
健康増進法第 31 条第1項は、「何人も、食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をするときは、健康の保持増進の効果その他内閣府令で定める事項((中略)「健康保持増進効果等」という。)について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない」と定めている。 (中略) イ 「疲労回復」、「強精(強性)強壮」、「体力増強」、「食欲増進」、「老化防止」、「免疫機能の向上」、 「疾病に対する自然治癒力を増強します」、「集中力を高める」、「脂肪燃焼を促進!」 身体の組織機能の一般的増強、増進を主たる目的とする効果
出典:健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について
広告として表示しないほうがよい健康保持増進効果には、「強精(強性)強壮」「老化防止」などの男性ホルモンに関わる効果も挙げられています。
直接的な効果は表現できませんが、男性ホルモンが増加したことによって起こる未来をイメージさせる表現や、使用感の表現は可能です。
景表法や健康増進法の観点からも、身体の特定部位の表現、病名・症状を表示することは避け、具体的な部位の変化や病気の回復について言及しないように広告を制作しましょう。
健康食品での違反例、言い換え表現(参考)
「男性ホルモンを高める」→「若々しさを保つ」
「男性更年期に効きます!」→「活力あふれる毎日をサポート」
美容機器、雑貨で使用が認められる表現
美容機器や雑貨は、健康食品と同様に薬機法の規制対象ではありません。
医薬機器的な効果効能を表現すれば、薬機法上の違反となります。
健康食品の広告と同様に、男性ホルモンが増加したことによって起こる未来をイメージさせる表現や、使用感の表現は可能です。
美容機器、雑貨での違反例、言い換え表現(参考)
「男性ホルモンを減らし、ヒゲを薄くします」→「若々しさを保つ」
「〇〇で筋トレすれば、男性ホルモンが増えます」→「鍛える男に」
まとめ
「男性ホルモン」という表現は、化粧品や健康食品などの広告で使用することができません。
ホルモン分泌などの身体機能に影響を与える効果効能は、医薬品的な効果効能の表現にあたるので、化粧品や健康食品の広告で「男性ホルモン」を謳うと薬機法違反となります。
化粧品の広告で「男性ホルモン」に関係する効果効能を謳う場合は、認められている表現を使用しましょう。
健康食品や美容機器などの広告では、「男性ホルモン」が増えた・減ったあとの未来のイメージや使用感を伝えることは問題になりません。
関係する法律の内容を把握し、適切な表現方法を用いながら広告制作をしましょう。
※違反事例、言い換え表現についてはあくまで参考として捉えてください。表現の違反等の判断については最新の情報を常にアップデートして頂くことが大切です。また、各都道府県の薬務課によって見解が異なりますので、ご理解頂きますよう宜しくお願い致します。
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