最終更新:2024/08/09
容器包装に関する知的財産権・特許

今回の記事では知的財産権が包装容器でどのように使われているかを実例を交えてご紹介します。 特に商標や特許は作成した容器を保護する上で重要な権利となりますので、ぜひ当記事で理解を深めていただけたら嬉しいです。
知的財産権とは
特許庁によると、「知的財産権制度とは、知的創造活動によって生み出されたものを、創作した人の財産として保護するための制度」とされています。 保護する対象としては、音楽や絵などの著作物に加え、デザインや商品・サービスなど多岐に渡ります。権利の内容は知的財産基本法によって定められており、法的な保護を受けることができます。
知的財産権の種類
知的財産権の種類には、大きく分けて2種類あります。 1つが”営業上の標識についての権利等”で、もう一つが”知的創造物についての権利等”になります。 この2つに分けて、代表的な権利をご説明します。
営業上の標識についての権利等
- 商標権
商品やサービスに使用するマークを保護します。具体的には会社・ブランド・商品などについているロゴを保護します。保護期間は登録から10年となっています。 - 商号
商号を保護します。商号とは個人や会社が自身を表現するために使う名称で、会社名や屋号などが保護の対象に該当します。 - 商品等表示
著名性・周知性があるものを保護します。氏名・商号・看板・容器などが該当します。 - 地理的表示
品質などの特徴が産地と結びつくものについて、産地の名称を保護します。伝統工芸や特産品などで使われることがあります。
知的創造物についての権利等
- 特許権
発明と呼ばれる技術的なアイディアを保護します。技術が必要とされる業界で広く使われています。期間は原則20年ですが、一部医薬品などで25年まで延長できるものもあります。 - 実用新案権
特許ほどの大きな技術革新ではないものの新しいものが考案された場合に使われます。具体的には物の形状・構造・組み合わせなどに使われます。保護の期間は10年となっています。 - 意匠権
物品・建築・画像のデザインを保護します。保護期間は25年とされています。 - 著作権
思想や感情が表現されたものを保護します。具体的には、文学・学術・芸術・音楽などの分野で使われます。保護期間は創作者の死後70年とされています。 - 回路配置利用権
開発された半導体回路を保護します。期間は登録から10年とされています。 - 育成者権
植物の新品種を保護します。期間は登録から25年、樹木については30年とされています。 - 営業秘密
営業秘密も保護の対象とされます。顧客リストやノウハウの盗用を規制しています。
商標権とは
商標権は、上述”営業上の標識についての権利”の中でも代表的なものです。 特許庁のホームページ「初めてだったらここを読む~商標出願のいろは~」を参考に、商標権の概要をご説明します。
保護する対象
商標権を取得することで商標を保護することができます。 商標とは、事業者が自己の商品・サービスを示すために使うマークのことを示します。事業者はこの商標を使って他社との区別を図ります。 商標には絵のマークだけでなく、文字・図形・記号・立体的形状なども含まれます。
下記のようなものは商標として使用できません。
- 公共機関のマークと紛らわしいもの
- 他社のマークと区別するものとして機能していないもの
- 他社のマークと紛らわしいもの
取得するメリット
取得するメリットとしては主に以下2点があります。
- 商標権を取得することで自身のマークとして使い続けることができる
- 自分の商標権を真似されないよう権利を主張できる
存続期間
存続期間は設定登録の日から10年とされます。ただし存続期間に更新の申請をすることで10年の存続期間を何度でも更新することができるとされています。
申請方法
申請方法としては商標登録願を作成して特許庁に提出し、登録出願料を納めることで審査が開始されます。 その後特許庁の審査を経て合格の場合登録料を納付することで登録することができます。
申請のポイント
出願前に、申請しようとしている商標が既に登録されていないかを調べるとスムーズです。 情報サイト「特許情報プラットフォーム」で商標を検索し、既に他に使っている人がいないかを確認しておくと良いでしょう。
また通常の審査には通常約12ヶ月かかりますが、ファストトラック審査を使うことで約6ヶ月・早期審査を使うことで約2ヶ月で審査を終えることができます。急いでいる場合にはこちらの審査を使うことができないかも検討すると良いでしょう。
特許権とは
特許権は、上述”知的創造物についての権利”の中でも代表的なものとなります。 特許庁のホームページ「初めてだったらここを読む~商標出願のいろは~」を参考に、商標権の概要をご説明します。
保護する対象
技術的アイディアである「発明」が保護の対象となります。
取得するメリット
特許を取得するメリットは下記2点があります。
- 特許権を取得することで自身の技術として使い続けることができる
- 自身の技術を真似されないよう権利を主張できる
存続期間
権利の存続期間は出願から20年です。ただし医薬品や農薬の場合、場合によっては最大5年延長ができます。
申請方法
出願方法としては、特許願を作成して特許庁に提出し、手数料を支払うことで審査が開始されます。 その後特許庁での審査を経て、合格の場合登録料を納付することで登録することができます。
申請のポイント
出願前に、申請しようとしている特許が既に登録されていないかを調べるとスムーズです。 情報サイト「特許情報プラットフォーム」で特許を検索し、既に他に使っている人がいないかを確認しておくと良いでしょう。
また下記は早期審査の対象となるため、急ぐ場合下記に該当しないか確認すると良いでしょう。
- 実施関連出願
- 外国関連出願
- 中小企業、個人、大学、公的研究機関等の出願
- グリーン関連出願
- 震災復興支援関連出願
- アジア拠点化推進法関連出願
容器包装における商標権の例
容器包装における商標権の例として、Yakult(ヤクルト)の例をご紹介します。
ヤクルトのトレードマークである容器は1968年にそれまで使用されてきたガラス容器に変わって使われ始めました。 プラスチック容器は衛生面や扱いやすさから消費者の評価を得て、現在まで使われています。海外でも多く販売され、米国や欧州などでは既に立体商標登録が認められていました。 ヤクルトの形状は、日本では2010年以前は立体商標としての登録が却下されていました。しかし、2010年に立体商標としての登録が認められました。 理由としては、”長年の使用の中で容器の形状だけでも十分にYakultとして認識されている”という主張が認められたためです。
容器包装における特許権の例
包装容器における特許権の例として、FANCL(ファンケル)の例をご紹介します。
参考:無添加化粧品の鮮度を守る密封容器には、こだわりが満載!
FANCLは無添加にこだわっており、中身に防腐剤を入れていません。そのため、消費者が使用するまで品質が劣化しないよう容器にも工夫が求められています。 容器にはこだわりが詰まっていますが、中でも密閉性には高い工夫がされています。 密閉するため、容器には密閉テープが貼られ中栓がついています。初回使用時にテープを剥がし、キャップを締め込むことでキャップの裏部分についているカッターで中栓をくり抜く仕組みとなっています。 この密閉機構の仕組みは特許を取得しており、発明として法律で保護されています。
まとめ
当記事では商標権や特許権についてご説明し、実際に容器包装に使われている例をご紹介しました。 素敵な容器を開発した際には、知的財産権として登録しその保護を行われてはいかがでしょうか。
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