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最終更新:2024/07/17

薬機法と医療広告ガイドライン 「痩身」の注意点

薬機法と医療広告ガイドライン 「痩身」の注意点

クリニックが展開しているサービスの中に「痩身」があります。 エステサロンの痩身と違い、クリニックの痩身は医療広告ガイドラインと薬機法が関係しているのです。

クリニックの痩身において、薬機法と医療広告ガイドラインの注意点を紹介します。

美容医療でも薬機法に注意

脂肪吸引や注射などを医師が行う美容医療。美容医療でも、薬機法に注意しなければならないケースがあります。

それが、クリニックでサプリを販売している場合です。 サプリは健康食品の扱いとなり、直接は薬機法に関係ありませんが、サプリでも薬機法違反となることがあります。 医療広告ガイドラインでは、医療機関のホームページなどの広告における禁止事項などを定めているものになります。美容医療では、消費者とのトラブルや違反件数が多いため、しっかり医療広告ガイドラインを守る必要があるのです。

美容医療などの医療広告は違反件数が多い

美容医療のクリニックは、保険適応外となり、全て自由診療となります。

美容医療を含む医療広告において、令和2年度に違反とされた件数が3,474件(952サイト)でした。 3,474件のうち、約半数の1,799件が美容と歯科のジャンルでの違反となっています。 美容ジャンルの中で、注射に関する違反は1番目に多く24%を占めているのです。 GLP-1ダイエットに関しては、7%にもなり美容医療業界での違反が多いということがわかります。 令和元年度の違反件数は、5,884件(1137サイト)だったので減少傾向にありますが、未だに1サイトで平均3.6件の違反が見られるのです。

違反広告が多い医療広告ですが、通報されて違反が発覚する件数が多くしっかり違反とならないようにする必要があります。

サプリで薬機法違反となるのは医薬品的な使い方をしたとき

サプリは健康食品の扱いになります。 ダイエットサプリも同様で、健康食品の一つとなるので医薬品的な使い方を謳うことはできないのです。 以下の4つが医薬品的な使い方になります。

  • 医薬品の成分かどうか
  • 医薬品にしか使えない形状
  • 効能効果
  • 用法用量

サプリで医薬品的な使い方を謳うと、「無承認無許可医薬品」とみなされてしまい薬機法違反となるのです。 医薬品的な使い方について、詳しく解説します。

医薬品の成分かどうか

医薬品にしか使えない成分をサプリで使っている場合、サプリでも薬機法となります。「専ら医薬品として使用される成分本質」に載っている成分は、サプリでも使えないのです。 例えば、以下のような成分は医薬品にしか使えないとされています。

  • センナ(葉・葉軸)
  • セイヨウトチノキ(種子)
  • アロエ(葉の液汁)

医薬品にしか使えない形状

形状については、医薬品にしか使えない形状を使っている場合です。 サプリにおいて、以下のような形状のものは問題ありません。

  • カプセル
  • 粉末
  • 液体
  • 錠剤 しかし、舌下錠やスプレー式のものは医薬品にしか認められていないため薬機法違反となるのです。

効能効果

サプリにおいても、効能効果を謳うことはできません。 痩身関連の効能効果として、「効き目抜群」「楽してダイエット」「飲むだけでダイエット」のように謳いたい場合もあるかと思います。 しかし、サプリなどの健康食品で楽して痩せられると考えられていないため、上記のような表現はできないのです。

用法用量

用法用量は医薬品でしか謳えない表現となります。 用法用量とは、以下のように指定することです。

  • 食後に
  • 1日朝晩
  • 1日2回
  • ダイエットをしたい方に
  • 水でお飲みください

飲む時間・飲む量・飲み方・飲む対象をサプリでは指定することはできません。 これらを謳うと薬機法違反となるので気を付けましょう。

美容医療のクリニックにおいて、医師が処方するかのように謳っていて用法用量を指定しているケースも見受けられます。サプリでは、医師が処方をすることもできないので注意が必要です。

医療広告ガイドラインでの痩身の注意点

医療機関のホームページは、医療広告ガイドラインを元に作る必要があります。 痩身については、ガイドラインで禁止されている表現も多く、そのような表現にならないように注意しましょう。

患者の体験談について

患者の体験談を載せることはNGとなります。患者自身の感じたことであっても広告に体験談を載せるのは禁止されているのです。 医療機関から体験談を書いた見返りがある場合にもNGとなります。しかし、口コミサイトなどに見返りなく患者自ら個人的に書き込む口コミなどは例外となります。

ビフォーアフターの写真について

ビフォーアフターの写真だけを載せることは禁止されています。 しかし、絶対ビフォーアフターを使ってはいけないという訳ではありません。 以下のような情報を添えて掲載するのはOKとなるのです。

  • 治療内容
  • 費用
  • 治療にかかる主なリスク
  • 副作用など

ビフォーアフターの写真については美容外科でのビフォーアフターの影響が大きく、加工されたりなど違反広告が多いため、このように変わりました。

内容が虚偽のもの・誇大なものについて

医療広告ガイドラインでは、虚偽・誇大に当たる内容を禁止しています。 虚偽の具体例がガイドラインに載っています。

  • 絶対安全な手術です!
  • 「どんなに難しい症例でも必ず成功します」
  • 厚生労働省の認可した○○専門医
  • 加工・修正した術前術後の写真等の掲載
  • 「一日で全ての治療が終了します」(治療後の定期的な処置等が必要な場合)
  • 「○%の満足度」(根拠・調査方法の提示がないもの)

出典:医療広告ガイドライン

誇大な広告は以下のような表現をしたものです。

  • 知事の許可を取得した病院です!
  • 医師数○名(○年○月現在)
  • (美容外科の自由診療の際の費用として)顔面の○○術1カ所○○円
  • 「○○学会認定医」(活動実態のない団体による認定)
  • 「○○協会認定施設」(活動実態のない団体による認定)
  • 手術や処置等の効果又は有効性を強調するもの
  • 比較的安全な手術です。

出典:医療広告ガイドライン

上記でご紹介した例は虚偽・誇大広告となるので注意しましょう。

他の施設との比較について

他の医療機関との比較で、以下のように自分の医療機関の方がいいと見せることは禁止されています。

  • 当院は美容外科手術における脂肪吸引術の件数において日本一の実績を有しています
  • 当院は県内一の医師数を誇ります。
  • 本グループは全国に展開し、最高の医療を広く国民に提供しております。
  • 「芸能プロダクションと提携しています」
  • 「著名人も○○医師を推薦しています」
  • 著名人も当院で治療を受けております。

出典:医療広告ガイドライン

著名人の来院を紹介することも他の施設との比較となるので、広告では記載できない内容となります。

その他

その他にも、以下の内容を医療広告で謳うことは禁止されています。

  • 専門外来(例外あり)
  • 死亡率
  • 術後生存率
  • 未承認医薬品による治療の内容
  • 期間限定で〇〇%オフ
  • 無料相談をされた方へ〇〇のプレゼント

このように、医療広告ガイドラインでは細かく禁止事項や文言が決められているので、違反とならないように気をつけましょう。

医療広告ガイドラインの限定解除もポイント

美容医療の分野で消費者のトラブルが多かったため、2018年に改正されたガイドラインにおいて、ホームページも広告の対象となりました。 ホームページなどの広告において、患者が自らたどり着く広告で要件を満たしたものであれば、限定解除をすることができます。 限定解除は、通常NGとされるいくつかの表現を、要件を満たした場合のみOKにするというもので、表現できる内容が増えるのです。

限定解除の要件

医療広告ガイドラインには、要件を満たした場合にのみ「限定解除」が適応されます。 限定解除の要件は、以下の4つです。

① 医療に関する適切な選択に資する情報であって患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること ② 表示される情報の内容について、患者等が容易に照会ができるよう、問い合わせ先を記載する ことその他の方法により明示すること ③ 自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項について情報を提供すること ④ 自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用等に関する事項について情報を提供すること

出典:医療広告ガイドライン

保険診療の医療機関については、①と②のみが要件となります。 保険が適応とならない自由診療の医療機関においては、①〜④の要件全て満たす必要があるのです。

なお、問い合わせ先については、電話番号だけではなくメールアドレスでもOKとされています。 自由診療は、医療機関において価格が異なるため、費用についてもしっかり載せるようにしましょう。 また、メリットだけではなく副作用やリスクについても明記する必要があり、どちらも満たさないと自由診療のクリニックでは限定解除することはできないので注意が必要です。

限定解除の要件を満たすと以下の表現をすることができます。

  • 総合診療科
  • ○○専門医
  • 指定医
  • 認定医
  • 産業医
  • 手術件数(医師個人の件数も可)
  • 審美治療
  • 美容医療におけるプラセンタ注射
  • 再生医療等製品における医療技術
  • 糖尿病外来などの〇〇外来
  • 医薬品、医療機器の販売名を用いた治療
  • 治療の効果
  • 学会が認定している研修施設であること
  • 研修を受けていること
  • 特定行為研修を受けた看護師がいること
  • 未承認医薬品を使用している治療

限定解除の要件を満たすことで、上記のようにホームページに載せられる項目が多くなります。 患者が自らたどり着くホームページなどが対象であり、医療機関側がお金を払って出す有料広告は対象外となるので気を付けましょう。

限定解除における未承認医薬品

限定解除はなんでも表現できるようになるわけではなく、表現できる項目が決められているので注意が必要です。

通常、薬機法や医療広告ガイドラインでの未承認の医薬品の名称などを謳うことが禁止されていますが、限定解除の場合のみ未承認の医薬品を謳うことができます。 医療広告ガイドラインに関するQ&Aでは以下の内容を記載することで、未承認医薬品の限定解除ができるとしています。

国内で承認されていない未承認医薬品等を自由診療に使用する場合は、 医療広告ガイドラインに記載された限定解除の要件として、具体的には、以下のような内容を含む必要があります。 (未承認医薬品等であることの明示)

  • 用いる未承認医薬品等が、医薬品医療機器等法上の承認を得ていないものであることを明示すること。

(入手経路等の明示)

  • 医師等の個人輸入による未承認医薬品等を用いる場合は、その旨を明記する こと。また、同一の成分や性能を有する国内承認された医薬品等があり、その効能・効果で用いる場合であっても、入手経路について明示すること。個人輸入等 により入手した場合は、その旨を明示すること。

(国内の承認医薬品等の有無の明示)

  • 同一の成分や性能を有する他の国内承認医薬品等の有無を記載し、その国内承認医薬品等に流通管理等の承認条件が課されている場合には、その旨を記載す ること。

(諸外国における安全性等に係る情報の明示)

  • 当該未承認医薬品等が主要な欧米各国で承認されている場合は、各国の添付文書に記載された重大な副作用やその使用状況(承認年月日、使用者数、副作用 報告等)を含めた海外情報についても、日本語で分かりやすく説明すること。
  • 主要な欧米各国で承認されている国がないなど、情報が不足している場合は、 重大なリスクが明らかになっていない可能性があることを明示すること。

出典:医療広告ガイドラインに関するQ&A

未承認医薬品に関しては、未承認医薬品である旨や国内で承認されている薬があるかどうかなど、細かく決められています。 美容医療においては、未承認医薬品を扱うことも多く、表現できる範囲や内容をしっかり守るようにしましょう。

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株式会社Cogane studio

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