最終更新:2024/08/07
ラベルの素材 トレーシングペーパーとは?
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半透明で薄い紙、トレーシングペーパーを、学生時代の美術の授業で使ったことのある人もいるかもしれません。トレーシングペーパーを文字や図案の上に重ねると、それが透けて見えますから、そのまま写し取ることができます。
この使い方が一般的でしたが、現在トレーシングペーパーは印刷物の素材として使われることが増えています。トレーシングペーパーの持つ透明感が、今までの印刷物にはない印象を与えてくれるのです。ラベルやシールを作りたいけれど、今までとは少し印象を変えたいと思っているなら、ぜひトレーシングペーパーに注目してください。
今回はトレーシングペーパーの特徴やメリット、デメリットについて解説します。
トレーシングペーパーとは
トレーシングペーパーは半透明で薄い紙の総称です。文字や図案の上に重ねて、それを写し取るために使われていました。そのため、書き込みがしやすいのが特徴です。トレース(複写)するための紙なので、トレーシングペーパーと呼ばれるようになりました。 トレーシングペーパーには、現在文具店でトレース用に売られているものの他、いくつかの種類があります。
トレーシングペーパーの仲間
グラシン紙 グラシン紙は透明度が高く、なめらかな紙です。耐水性、耐油性ともにありますが、紙を作るときに酸性の薬剤を使う酸性紙であるため、年数を経るうちに劣化をする可能性はあります。 現在販売されているトレーシングペーパーには、中性紙と明記してあるものもあります。この場合は長期保管ができますから、より安心して使うことができます。
硫酸紙 硫酸紙は、原料の化学パルプを濃硫酸で処理しています。耐水性・耐油性があります。現在では硫酸紙という名前をあまり聞きませんが、かつてはバターやチーズの包装用として使われていました。現在は日本国内で硫酸紙は製造されていないということです。
パラフィン紙 パラフィン紙は、模造紙やクラフト紙にパラフィンという蝋の1種を染み込ませてあります。パラフィンを染み込ませる紙として、グラシン紙が使われることもあります。パラフィンの効果で、グラシン紙よりも耐水性・耐油性が高まりますが、その分価格も高くなります。
トレーシングペーパーが半透明なわけ
紙は植物の繊維から作られるパルプが原材料です。この植物繊維はもともと透明ですが、紙になると白く見えるようになります。 植物繊維は紙の内部にたくさんの空気を含んだ隙間を作ります。この隙間がジャマをして、光があたったときにまっすぐに進まなくなるため、どの波長の光も吸収されずに混ざった状態になり、紙は白く見えるのです。 紙に透明感を出すためには、この隙間を少なくして、光の通り方を変える必要があります。何らかの方法で植物繊維の隙間を少なくして、透明感が出た紙がトレーシングペーパーというわけです。
半透明にするための方法
植物繊維の間の隙間を少なくするためには、いくつかの方法があります。
- 高密度化 原料をよく叩いて、紙を漉き、表面が平らでなめらかな紙にします。物理的に植物繊維の隙間を少なくするわけです。
- 化学変性 硫酸などを使って、植物繊維の表面を膨らませて隙間を少なくします。表面はよく洗い流されるため、硫酸が紙に残る心配はありません。
- 含浸 油脂や樹脂を使って、植物繊維の隙間を埋める方法です。
この方法の違いから、トレーシングペーパーには先程紹介したグラシン紙、硫酸紙、パラフィン紙など違う個性を持った紙が生まれました。ただし、このような製造方法のため、トレーシングペーパーはリサイクルできません。紙の繊維を再び取り出して再生することができないのです。
トレーシングペーパーの用途
文字や図案の上に重ねてなぞり、それを他の紙などに写すことを転写と言いますが、トレーシングペーパーの用途としてはこれがもっとも一般的でした。 また耐水性、耐油性があることを生かして、クッキングシートやブックカバー、薬包紙などには昔から使われてきました。
トレーシングペーパーの新しい使い方
現在ではこれに加えて、ラッピングペーパーや封筒に使う人が出てきました。このため、以前はなかった柄付きや色付きのトレーシングペーパーも販売されるようになっています。また、ウェディングのメニューや席次表に使ったり、お酒のラベルなどの印刷物に利用する例もあります。
半透明で光を透すトレーシングペーパーは、どんな紙を重ねるかによって表情が変わり、デザインに面白い効果を出します。自分のアイディア通りに使うために、家庭用プリンターで印刷ができるトレーシングペーパーも販売されています。
トレーシングペーパーのラベルの魅力
ラベルとして使うとき、トレーシングペーパーは、半透明でマットな質感のため、ギラギラしすぎることはなく、落ち着いた印象になります。すりガラスとも相性が良く、日本酒のラベルなどに最適です。もちろん、カラー印刷に対応しているため、光だけでなく色も十分に楽しめます。
ただし、カラー印刷の場合は若干色が沈みがちになります。事前によく打ち合わせをして、イメージのすり合わせをすることが大切です。
トレーシングペーパーは、印刷後の加工もできます。箔押しや型抜きをすると通常の紙に施したときとは違った表情が楽しめます。
また、マットな質感のものにテープを貼る必要があるときは透明テープを使うと、そこだけツヤが出て悪目立ちをしてしまいます。そのようなときに、トレーシングペーパーを使うと、目立たずになじませることができます。
トレーシングペーパーの厚み
トレーシングペーパーを使うときには、厚みについても検討してください。トレーシングペーパーは厚くなるほど、透け感がなくなります。
下に重ねた紙を生かしたいときには薄いものを使う必要があります。この場合、厚手のものを使ってしまい、思ったほど下の紙が透けないとがっかりする場合もあります。
反対に字を印刷する場合、あまり薄いものだと字が読みにくくなりますし、家庭で印刷をするときも失敗する恐れがあります。ですから、トレーシングペーパーを使うときは、用途によって最適な厚みを選ぶ必要があります。
トレーシングペーパーのパッケージには薄口、中厚口、厚口と厚みについての表示がしてあります。同時に40g/㎡のような表示もありますが、これは紙の厚みを表す坪量と言います。1㎡あたりの紙の重さを表していて、数値が低いほど紙が薄いということになります。このどちらかを目安にして用途に合った厚みのトレーシングペーパーを選んでください。
厚みの感じはメーカーによっても、微妙に違うことがあります。たくさんの印刷物を作るような場合は、ぜひ一度は自分の目で確かめることをお勧めします。
- 薄口 40g/㎡ 紙が薄いため、下の文字や図案が見えやすく転写に最適。しかし、耐久性が低く破れやすいことも
- 中厚口 50g/㎡ 厚すぎず、薄すぎないため扱いやすく、使いやすい
- 厚口 75g/㎡ 厚いため、耐久性が高く、ラッピングや封筒として使うのに最適。印刷にも良いが、透け感は少ない
まとめ
紙は白いものと思っている人にとって、半透明のトレーシングペーパーは面白い素材です。普通の紙と同じようにカラー印刷ができ、その後の加工までできますから、今までにない印刷物を作るのに役立つはずです。
現在日本で販売されているトレーシングペーパーは、高品質で丈夫です。使いみちの可能性はこれからますます広がるのではないでしょうか。
トレーシングペーパーの半透明は、何事もあからさまにせず、そっとカバーする日本人の特性に通じるものがあります。トレーシングペーパーを印刷物に使うことで、多くの人に好かれるものを作ってみてください。
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