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最終更新:2024/08/07

ラベルの素材 環境に配慮した紙の種類

ラベルの素材 環境に配慮した紙の種類

ずい分前から、地球温暖化を原因とする気候変動が問題になっていますし、石油などのエネルギー資源の枯渇などもあり、私たちはあらゆる面から環境について配慮を迫られるようになりました。それはラベルを作るときも例外ではありません。

ラベルを作るときも、使う紙、インク、粘着剤を厳選することで環境に配慮することができます。小さなラベルですが、枚数が多くなればその影響は無視できません。

今回は環境配慮をしたラベルを作るためにはどんな紙、インク、粘着剤を使えば良いのかを解説します。

環境配慮して作られた紙、「環境紙」とは

通常の紙を作るためには様々な工程を経なくてはなりません。その工程の1つひとつが環境に負荷をかけることが知られています。以下のような問題点をクリアすることで、環境に優しい紙「環境紙」を作ることができます。

  1. 森林の伐採
  2. CO2の排出
  3. 大量の排水からの水質・土壌汚染

1. 無計画な森林の伐採を防ぐために

紙の原材料・パルプは木材を粉砕したものから作られます。このため、行き過ぎた森林の伐採が問題になっています。

FSC®森林認証紙

この問題を踏まえて作られたのがFSC®森林認証紙です。FSC®とは、森林管理協議会という非営利団体の略称です。この団体は責任ある森林管理のあり方を世界に広げようとしています(つまり、いきあたりばったりに紙を作るために森林を伐採しすぎることがないように、管理しようと言うわけです)。 FSC®が認証して、ロゴマークをつけたFSC®森林認証紙は、環境破壊や社会問題ににつながっていません。ラベルを作るときに、意識してこれを使うことで、無計画な森林の伐採に歯止めをかけることができます。

https://pakexpo.jp/blog/bottle/fsc_environmental-protection_social-contributions/

再生紙の利用

一度流通して使われた紙を溶かしてパルプを取り出し、再び作った紙を再生紙と呼びます。一度使ったパルプを再び使えば、その分森林の伐採も抑えられます。 古紙からパルプだけを取り出した後には、別のパルプを混ぜ、薬品なども使うため、再生紙も作るときの工程は通常の紙とほとんど同じだと考えて良いでしょう。コストは通常よりも安くなることが多いですが、耐久性などの面では劣ることもあります。

2. CO2の排出

紙を製造するには、大量の燃料と電気が必要です。このため、紙の製造にはCO2の排出がつきものです。CO2は地球を温める効果があり、温暖化の原因だと言われています。

非木材紙

通常紙は木材を原料としたパルプから作られますが、実は木材以外の植物からもパルプを作ることができます。森林を守り、CO2の排出を抑えるために今、非木材紙が注目を集めているのです。

  • アフリカ原産のケナフ
  • サトウキビの絞りカスからできるバガス
  • 日本各地で放置されて問題になっている竹

これらが非木材紙の主な原料です。それぞれ、木材よりも成長が早く収穫が早い、高温で焼却しなくても良いため、環境に優しい、などのメリットがあります。

ストーンペーパー

非木材紙は木材以外の植物繊維を使っていますが、石を原材料にして作られるのがストーンペーパーです。これは台湾で開発された石灰石から作られています。 木材をまったく使わないため、木材を保護することにつながりますし、製造のために必要な水やCO2排出も少なくて済みます。その上、ストーンペーパーは通常の紙と合成紙の両方の特徴を併せ持っており、水に強いため、使いみちの可能性が大きく広がります。

3. 白い紙を作るための漂白

紙の原料は木材で、本来は茶色のため、薬品を使って漂白します。この薬品を洗い流すことから、大量の水が排出されます。これが地下水や土壌の汚染につながるとして問題にされています。

ECFパルプ紙

この問題を解決するために生まれたのがECFパルプ紙です。ECFとは無塩素漂白の略で、その名の通り、紙の漂白に塩素を使っていません。紙を作る過程での有害物質の排出が抑えられるのはもちろん、仮に焼却したときに不完全燃焼をしても、ダイオキシンの発生などが抑えられます。

環境紙を選ぶ以外の、環境に配慮する方法

紙の製造そのものが、環境に負荷を与えるわけですから、環境のことを考えるなら、紙の使用量を減らすのも良い方法です。紙の製造量が減れば、CO2の排出も自動的に減ります。枚数を減らすことが現実的に厳しい場合は、紙を薄くして重さを減らすのが望ましいです。

ラベルを作るのに使われる粘着剤付きの素材をタック紙と言いますが、環境に配慮した低米坪タック紙というものがあります。 米坪とは1平方メートル当りの紙の重さのことで、これを減らしているため、定米坪タック紙と言います。一般的なタック紙を使うよりも原材料の使用量とCO2排出量を10~20%ほど抑えることができます。

一見地味に思える紙の使用量を減らす方法ですが、枚数を多く使うラベルの場合は着実に効果があると思われます。

環境に優しいインキ

今まで印刷に使われていたインキは、インキの色を紙に移し、密着させるために石油系の溶剤を使っていました。この溶剤から大気汚染の原因になる成分が発生して、印刷をする人にとっても健康問題になっていました。

植物油インキ

そこで石油系の溶剤の代わりに植物油を使った植物油インキが登場したのです。大豆油・パーム油や廃食用油が使われていますが、すべてを植物油でまかなえるわけではありません。 全体の20%が植物油なら、残りは石油系溶剤が使われていても、植物油インキと呼ばれます。それでも植物油インキは人と地球に優しいインキとして、広く使われています。

ノンVOCインキ

VOCとは揮発性有機化合物のことで、石油系溶剤から発生し、大気汚染や健康被害の原因になります。ノンVOCインキは石油系溶剤の使用が1%未満と定められているため、VOCの発生を抑え、人と地球に優しいインキとなっています。

植物油インキには多くの石油系溶剤が必要なことを考えると、真に優しいインキだと思えますが、ノンVOCインキにはインキが乾きにくいという欠点があります。そのため、生産性が悪くなりますから、そこをどう乗り越えるかがこれからの課題になるでしょう。

バイオマス粘着剤

バイオマスとは植物やプランクトンの死骸などから生まれる資源のことです。太陽エネルギーを利用して、水とCO2で作ることができるため、バイオマスを利用することで、その他の資源が節約できますし、CO2の排出を抑えることができます。 現在はバイオマス原料を使った粘着剤が作られているため、これを使うことで、結果として地球環境に貢献することができます。

フィルム素材を選ぶとき

耐水性などの問題から、紙ではなくフィルム素材のラベルを作りたいときも、環境に配慮することができます。

生分解プラスチック

通常のプラスチックと同じ耐久性を持っていながら、使用後は最終的に水とCO2に分解されるのが、生分解プラスチックです。原料はバイオマス由来のものと、石油由来のものがあります。どちらにしても、日本では3カ月以内に6割以上分解するのが、生分解プラスチックとして認められる条件になっています。 生分解プラスチックをラベルとして使用することで、償却するときに排出されるCO2を減らすことができます。

リサイクルPET

使用済みのペットボトルが原料の再生PET樹脂をラベルの素材として使っています。現在再生PET樹脂を作る方法(メカニカルリサイクル)は従来のケミカルリサイクルに比べて、工程が大幅に短縮されているため、製造にかかるエネルギーを節約することができます。

まとめ

ラベルを作るときにも、多くの環境配慮をした素材が使えることがわかりました。ラベルは小さいものですが、私たちの地球を守るため、環境に配慮をしていくなら、まずは身近なところから小さな1歩を踏み出すのが良いのではないでしょうか。 小さなラベルに大きな願いがこもっていることがわかれば、一層商品を手に取る人に訴えることができると思います。

環境紙は今回紹介したものだけではなく、使用することで他の国の人の援助ができる紙もあります。小さなラベルには、大きな可能性も秘められているのです。ぜひ、今回の記事を参考にして、環境配慮をしたラベルを作ってみてください。

この記事を書いた人
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株式会社Cogane studio

Beaker media 編集部

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