最終更新:2024/08/22
病院の医療広告規制 薬機法解説

医療広告を規制する法律として、医療法や薬機法などがあります。 医療広告とは医療を提供する施設に関する広告のことを言い、チラシやポスターに留まらず、病院のホームページやメールアドレスが該当することも。 もし、違反した場合は、課徴金や懲罰が課せられることもあるため、知らなかったでは済まされないものです。 今回は、病院の医療広告の規制に該当するものや、薬機法に関して解説していきます。
薬機法とは
「薬機法(やっきほう)」とは簡単に言うと、医薬品や化粧品の質を確保するための法律です。 この薬機法の中に、「虚偽・誇大な記事や記述をしてはならない」という規制があります。 例えばですが、「このサプリを飲めば必ず痩せる」という表記も違法となります。 サプリは医薬成分が含まれない限り、健康食品という分類になるからですね。 健康食品は効能が認められないため、効果がでるような広告表記をしてしまうと違法となってしまうのです。 行政からの指導や、罰金が課せられる場合もあるため、医薬品・化粧品を扱うのであれば、知っておかないといけません。
病院が医療広告をうつのは規制される?
医薬品・化粧品では一部規制があり、病院が医療広告を謳うときも、全てではありませんが規制があります。 そもそも、ここで言う医療広告とは、どのようなものを言うのでしょうか。
医療広告の考え方
医療広告の定義として、「誘因性」と「特定性」の両方に該当する場合は規制されている広告と見なされます。 誘因性とは、患者の受診を強くお勧めするような意図がある場合を言います。 特定性は、医師・歯科医業を提供する者の氏名や病院の名前、診療所の名称が特定可能な場合です。
医療広告とみなされるもの
利益を見込んで患者を引き込むような広告の場合は医療広告とみなされます。 誘因法や特定性を免れようとしても、記載内容によっては広告に該当する場合があります。 具体的な例を3つ紹介します。
- 「広告ではない」という表記があっても、病院名や電話番号、Webサイトのアドレスが記載されていることで、病院名を特定できる場合。
- 治療法を紹介する書籍・冊子に特定の病院名や電話番号、Webサイトのアドレスが記載されていることで容易に特定できる場合や、問い合わせ先が特定の医療機関の場合。(特定の医療機関の斡旋がみとめられる場合)
- 患者等に広告と気づかれないよう行われる、ステルスマーケティング等で、医療機関が広告料などの費用負担の便宜を図って掲載を依頼している場合。 このように、患者が医療機関を自由に選択する環境が損なう恐れがあることは禁止されているので、病院が特定できる情報を記載するさいは十分に注意する必要があります。
病院の医療広告をうつ際の注意点 Webサイトの場合
病院や診療所のホームページも記載方法に注意が必要な点があるので、代用例を3つ紹介します。
- 集客を目的とした自院の実績をWebサイトの前面に押し出した記載をしている。
- 自院に通う患者さんの体験談をWebサイトで紹介している。
- 治療前と治療後の比較写真や記事を載せて、治療効果のアピールをする。 これらは虚偽に当たると言えるわけではありません。 しかし、患者さんに誤解を与える恐れがあるため、認められていない表現となります。
化粧品での違反例
ここまで病院に関する医療広告について解説しましたが、化粧品の広告ではどうでしょうか。 化粧品の場合の、具体的な違反例を交えて紹介します。
効果効能が確実であるような表現はしてはならない
「誰でもシミがなくなります」「確実にそばかすが消えます」という表現はNG。 これらは誇大広告の扱いとなります。 薬機法では化粧品に使える表現は56個に限定しています。 この56個以外の言葉を広告で使用することは違反となるのです。
言い換え表現(参考)
先ほどの、「シミ」「そばかす」を気にされる方を対象とした化粧品の広告を作成したいときは以下のような言いまわしが好ましいです。 「日焼けによるシミ・そばかすを防ぐ」「明るい肌を演出」などになります。 「シミが消える」としてしまうと、化粧品の効能効果を超えてしまうので、焼き法に抵触する恐れがあるのです。
その他化粧品広告では使えない表現
効果効能以外にも競合他社を誹謗するような広告もNGです。 「(効果効能が)ナンバーワン」「最高・最速」などのような最大級の表現も禁止。 どちらも消費者に誤解を与える表現であるため、薬機法違反となります。
健康食品での違反例
健康食品は化粧品と同様に、効能効果があるような表記は違反です。 健康食品での実際にあった違反例を紹介します。
医薬品であるかのような表現
「このサプリメントには〇〇という成分が含まれており、生活習慣病を予防する効果があります」 これは、病気の予防効果が記載されており、医薬品の効能効果の記載に該当するためNG。 また、「乳酸菌がたっぷり含まれたこのドリンクを飲めば、便秘がすぐに解消されます」 こちらも医薬品的な効能効果を暗示する表現のためNGです。
言い換え表現(参考)
さきほどの一つ目のサプリメントの言い換えとして 「健康的な毎日を目指すあなたをサポート」であればOK 二つ目の乳酸菌の場合は 「乳酸菌は健康維持のために摂取したい善玉菌です」という表現であれば問題ありません。
美容機器、雑貨での違反例
美容機器の中でも医療器具として扱われる場合は薬機法が適用され、雑貨の場合は薬機法が適用外となります。 美容機器の違反例、雑貨の違反例をそれぞれ紹介します。
美容機器違反例
わざわざエステサロンに行かなくてもお家で気軽にお手入れできる「美顔器」。 美顔器は「美容を目的とする」場合は薬機法には触れません。 しかし、「お肌の新陳代謝が良くなる」「毛穴の開きに効果的」などのような、肌の機能に影響を与えるような表現は薬機法違反となります。
雑貨での違反例
私たちがよく使うもので雑貨と言われるものの身近なところとして「石鹸」があります。 石鹸は表記によって、「雑貨」「化粧品」「医薬部外品」の3つに分かれるため注意が必要です。 雑貨として販売予定なのに、「皮膚にうるおい」という表記だと化粧品扱いとなるので違反に。 「皮膚の洗浄、雑菌・ニキビを防ぐ」という場合は薬用化粧品(医薬部外品)に該当します。 このように雑貨に分類される商品の広告での表示には、非常に限定的なのです。
言い換え表現(参考)
美容機器の違反例として美顔器を紹介しましたが、言い換える場合は「肌のきめを整える」「気になる肌をキュッと引き締める」などの表現であればOKです。 雑貨の違反例では石鹸を例に挙げましたが、もし石鹸を雑貨として販売するのであれば、「肌」「顔」「からだ」という表現がNGなので「洗浄力がすごい」などのような、言いまわしになります。 しかし、雑貨としての石鹸は「洗濯洗剤」と同じ部類に属するため「家庭用品品質表示法」という規制に従う必要があるため、また違う表記方法が求められるのです。
まとめ
医療広告規制や、薬機法に関して解説しました。 とても細かく決められており、特例や違法例などまで掘り下げる必要があることが分かりました。 表記の単語に関しては、見直しが随時されているので、広告を出す際には毎回チェックが重要と言えます。 誤解を与えるような表現とは何かを今後もしっかり学んで発信していく事が大切ですね。
※違反事例、言い換え表現についてはあくまで参考として捉えてください。表現の違反等の判断については最新の情報を常にアップデートして頂くことが大切です。また、各都道府県の薬務課によって見解が異なりますので、ご理解頂きますよう宜しくお願い致します。
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