最終更新:2024/07/17
広告の「お客様の声」は薬機法・景品表示法に抵触する?
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近年、国民の健康志向の高まりもあり、健康食品が多く販売されています。 健康食品が広く普及する中、インターネットを含めさまざまな広告がありますが、その中には健康増進法や景品表示法により不適当とされるような内容も見受けられます。 本記事では、健康食品の広告において、お客様の声や体験談を掲載することができるのかということについて解説していきます。
健康食品とは
健康食品とは、法律で定義されているわけではありません。消費者庁ホームページでは、一般的に、健康に良いことをうたった食品全般のことをいうとされています。 また、健康食品のうち、特定保健用食品、機能性表示食品、栄養機能食品の3つを「保健機能食品」といいます。 それぞれの保健機能食品について厚生労働省e-ヘルスネットでは下記のように説明されています。
特定保健用食品(特保)
生理学的機能などに影響を与える食品です。消費者庁長官の許可を得ることにより、特定保健用食品である旨の記載ができるようになります。表示例として「血糖・血圧・血中のコレステロールなどを正常に保つことを助ける」、「おなかの調子を整える」などの保険機能表示があります。
機能性表示食品
特定保健用食品と同様に保健機能を表示することのできる食品です。特保と異なるのは、消費者庁長官の許可ではなく、事業者の責任で表示し、消費者庁に届出します。機能性の評価は、製品の臨床試験または製品や成分の文献調査によりことが決められています。
栄養機能食品
人の生命・健康維持に必要な特定の栄養素の補給のために利用されることを目的とした食品です。科学的根拠が十分にある栄養機能について表示することができます。国の定めた基準に沿えば、許可や届出がなくとも栄養機能を表示することができます。
健康食品の広告を規制している法律
健康食品に関する誇大広告などについての規制は、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)と健康増進法により行われています。 また、健康食品では医薬品的な効能効果の表示は認められていないので、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法、薬機法)」にも注意する必要があります。 景品表示法と健康増進法では、不当表示について以下のように規制を設けています。
第五条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。 一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの 二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの 三 前二号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認めて内閣総理大臣が指定するもの
第六十五条 何人も、食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をするときは、健康の保持増進の効果その他内閣府令で定める事項(次条第三項において「健康保持増進効果等」という。)について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。 2 内閣総理大臣は、前項の内閣府令を制定し、又は改廃しようとするときは、あらかじめ、厚生労働大臣に協議しなければならない。
出典:健康増進法
食品の表示について、消費者の選択に相当な影響を及ぼしたり、誤認させたりするような不当なものは認められません。
健康食品の広告表示にお客様の声を掲載できる?
消費者庁は、健康食品の効能効果その他の表示についてどのようなものが虚偽誇大表示等として問題となるおそれがあるかを明らかにするため、「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」を発出しています。 健康増進法における「健康保持増進効果等」は、「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」において定義されていますので、その一部を抜粋します。
「健康保持増進効果等」の定義 ①健康の保持増進の効果 ②内閣府令で定める事項 ③暗示的又は間接的に健康保持増進効果等を表示する場合 健康保持増進効果等の表示については、①及び②に掲げる効果を明示的又は直接的に表示しているものだけではなく、広告等全体でみた場合に、間接的に健康保持増進効果等を表示していると一般消費者が認識し得るものも含まれる。このため、例えば、次のような広告等も健康保持増進効果等の表示に該当する。 ア 名称又はキャッチフレーズにより表示するもの イ 含有成分の表示及び説明により表示するもの ウ 起源、由来等の説明により表示するもの エ 新聞、雑誌等の記事、医師、学者等の談話、学説、体験談などを引用又は掲載することにより表示するもの オ 医療・薬事・栄養等、国民の健康の増進に関連する事務を所掌する行政機関(外国政府機関を含む。)や研究機関等により、効果等に関して認められている旨を表示するもの
参考:健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について
上記エについては次のような例が挙げられています。
例:○○ ○○(××県、△△歳) 「×××を3か月間毎朝続けて食べたら、9kg痩せました。」
出典:健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について
このように、消費者の体験談・お客様の声は、暗示的にまたは間接的に健康保持増進効果を表すものであれば認められています。 しかし、その内容が著しく事実と異なっていたり、人に誤認させたりするものであると、健康増進法における誇大表示、景品表示法における不当表示に当たる可能性があります。
また、疾病の治療や予防を目的とする効果の表示は、その表示が事実と相違があったり消費者を誤認させる恐れがあったりすることに関わらず、医薬品としての承認を受けない限り表示することはできず、薬機法に抵触する恐れがあります。
景品表示法及び健康増進法上問題となる表示例
法律上問題となる表示例について「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」で挙げられています。 特に体験談やお客様の声に関する部分を抜粋します。
1.保健機能食品において問題となる表示例 (1)特定保健用食品 ウ アンケートやモニター調査等の使用方法が不適切な表示 広告や容器包装等においてアンケートやモニター調査等の結果を使用することが、直ちに虚偽誇大表示等に当たるものではない。しかし、アンケートやモニター調査等の結果を不適切に使用することにより、消費者に誤認される表示をする場合には、その表示は虚偽誇大表示等に当たるおそれがある。 なお、「個人の感想です」、「効果を保証するものではありません」等の表示をしたとしても、虚偽誇大表示等に当たるか否かの判断に影響を与えるものではなく、アンケート結果等 を含む表示内容全体から当該商品に健康保持増進効果等があるものと一般消費者に認識されるにもかかわらず、実際にはそのような効果がない場合には、その表示は虚偽誇大表示等に当たる。
2.保健機能食品以外の健康食品(いわゆる健康食品)において問題となる表示例 (2)健康食品を摂取するだけで、特段の運動や食事制限をすることなく、短期間で容易に著しい痩身効果が得られるかのような表示 健康食品の中には、痩身効果を標ぼうするものが多く見受けられる。しかし、消費エネルギ ーが摂取エネルギーを上回らない限り、人は痩せないのであって、特定の健康食品を摂取する だけで、特段の運動や食事制限をすることなく、短期間で容易に痩身効果が得られることはない。適切な運動や食事制限をしながら、人が痩せることができるのは、6か月間で4kg から5 kg 程度までである。したがって、このような表示は、虚偽誇大表示等に当たるおそれがある。
(4)体験談の使用方法が不適切な表示 実際に商品を摂取した者の体験談を広告等において使用することが、直ちに虚偽誇大表示等に当たるものではない。しかし、体験談を不適切に使用することにより、消費者に誤認される表示をする場合には、その表示は虚偽誇大表示等に当たるおそれがある。 なお、「個人の感想です」、「効果を保証するものではありません」等の表示をしたとしても、 虚偽誇大表示等に当たるか否かの判断に影響を与えるものではなく、体験談等を含む表示内容全体から、当該商品に健康保持増進効果等があるものと一般消費者に認識されるにもかかわらず、実際にはそのような効果がない場合には、その表示は虚偽誇大表示等に当たる。
出典:健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について
上記のように、体験談やお客様の声、アンケートやモニター調査の結果などを健康食品の広告に掲載することは、直ちに虚偽誇大表示等に該当するわけではないが、体験談等を不適切に使用して消費者に誤認される表示をすることは虚偽誇大表示になる恐れがあります。 また、「個人の感想です」、「効果を保証するものではありません」等のいわゆる打ち消し表示を共に掲載したとしても、それ自体は虚偽誇大表示であるかの判断には関係がなく、あくまで消費者が広告から受け取る印象は、体験談そのものであるとされています。 体験談に用いる場合の打ち消し表示については、消費者庁から発出されている「打ち消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点」で記載されています。
打消し表示の実態調査結果から、実際に商品を摂取した者の体験談を見た一般消費者は「『大体の人』が効果、性能を得られる」という認識を抱き、 「個人の感想です。効果には個人差があります」、「個人の感想です。効果を保証するものではありません」といった打消し表示に気付いたとしても、 体験談から受ける「『大体の人』が効果、性能を得られる」という認識が変容することはほとんどないと考えられる。また、広告物は一般に商品の効果、性能等を訴求することを目的として用いられており、広告物で商品の効果、性能等を標ぼうしているにもかかわらず、「効果、効能を表すもので はありません」等と、あたかも体験談が効果、性能等を示すものではないかのように記載する表示は、商品の効果、性能等を標ぼうしていることと矛盾しており、意味をなしていないと考えられる。 このため、例えば、実際には、商品を使用しても効果、性能等を全く得られない者が相当数存在するにもかかわらず、商品の効果、性能等があったという体験談を表示した場合、打消し表示が明瞭に記載されていたとしても、一般消費者は大体の人が何らかの効果、性能等を得られるという認識を抱くと考えられるので、商品・サービスの内容について実際のもの等よりも著しく優良であると一般消費者に誤認されるときは、景品表示法上問題となるおそれがある。
まとめ
健康食品の広告表示に体験談やお客様の声を掲載することは可能です。 しかし、お客様の声を不適切に使用し、消費者に誤認させるような広告表示は虚偽誇大表示に該当し、景品表示法や健康増進法に抵触する可能性があります。 また、「個人の感想です」等の表示をしたとしても、虚偽誇大表示であることが覆ることはありませんので、注意が必要です。
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