最終更新:2024/08/09
食品表示 遺伝子組み換え食品のルール

食品の歴史の中では、新しい分野の遺伝子組換え食品ですが、登場当初は安全性に対する議論が激しく行われていました。 当然、表示に関しても長く議論され、色々な見方によって討議されていました。 ここでは、遺伝子組み換え食品の表示の歴史と表示方法のポイントについて、ご紹介します。
遺伝子組換え食品と食品表示の歴史
近年、遺伝子組換え技術により、作物の品質向上や生産性の向上が可能となりました。 これまで交配という技術により品種改良を行いましたが、「味が良い」「気候に強い」「収穫が高い」「病虫害に強い」といった事に優性な品種を掛け合わせて、同世代の栽培で均一性があり、また繰り返し栽培して特性の全部が変化しない事を確認しなければなりません。 その為、長い期間の検証が必要となります。 一方、遺伝子組換えされた植物は、元々のDNAに発現したい機能のDNAの断片を書き換える技術により、効率的な開発が可能となります。 このような背景により、平成3年 組換え 技術応用食品 食品添加物の安全性評価指針が作成されます。 そして、平成8年 遺伝子組換え食品の輸入が開始されました。 そこで、消費者を中心とした食の安全性に対して、不安が高まってきました。マスコミにも盛んに取り上げられ議論が巻き起こりました。 消費者は、過去の食品事故を思い出して、ちゃんとした検証と使用商品の表示について、その対応を求めていました。 そこで政府は、平成9~11年 農林水産省は食品表示問題懇談会遺伝子組換え食品部会、平成12年 厚生労働省は食品衛生調査会表示特別部会を設立して意見をまとめました。 そして、JAS法にて平成12年 遺伝子組換え食品に関する品質表示基準制定を、食品衛生法にて平成13年 厚生労働省令改正が行われ、平成13年に遺伝子茎替え食品の表示の義務化が施行されました。その後現在まで、対象作物が追加され今に至ります。
食品表示法における遺伝子組換え食品に関する用語の定義
ここで、食品表示法における遺伝子組換え食品に関する用語の定義を、食品表示基準から見ていきましょう。
- 組換えDNA技術 酵素等を用いた切断及び再結合の操作によって、DNAをつなぎ合わせた組換えDNAを作製し、それを生細胞に移入し、かつ、増殖させる技術をいう。
- 対象農産物 組換えDNA技術を用いて生産された農産物の属する作目であって別表第十六に掲げるものをいう。
- 遺伝子組換え農産物 対象農産物のうち組換えDNA技術を用いて生産されたものをいう。
- 非遺伝子組換え農産物 対象農産物のうち遺伝子組換え農産物でないものをいう。
- 特定遺伝子組換え農産物 対象農産物のうち組換えDNA技術を用いて生産されたことにより、組成、栄養価等が通常の農産物と著しく異なるものをいう。
- 非特定遺伝子組換え農産物 対象農産物のうち特定遺伝子組換え農産物でないものをいう。
- 分別生産流通管理 遺伝子組換え農産物及び非遺伝子組換え農産物を生産、流通及び加工の各段階で善良なる管理者の注意をもって分別管理すること(その旨が書類により証明されたものに限る。)をいう。
- 特定分別生産流通管理 特定遺伝子組換え農産物及び非特定遺伝子組換え農産物を生産、流通及び加工の各段階で善良なる管理者の注意をもって分別管理すること(その旨が書類により証明されたものに限る。)をいう。
遺伝子組換え商品の表示義務の対象は?
遺伝子組換え表示制度は、食品表示基準によって定められています。 対象農産物は、2022年1月現在 「大豆」「とうもろこし」「ばれいしょ」「なたね」「綿実」「アルファルファ」「てん菜」「パパイヤ」の8品目です。 これは、「従来のものと組成・栄養価値が同党のもの」に該当するものになります。 そして、これらの農産物を現r尿とした加工食品郡が33種あり、「組換えDNAが残存し、科学的検証が可能と判断された品目」がその対象となります。 つまりDNAが分解されず残っているものが対象です。ですので、しょうゆや植物油などは最新技術を用いても組換えDNAが検出できない為表示義務はありません。 しかし、この場合は任意で表示することは可能です。
遺伝子組換え食品ならではの表示ルールのポイント
食品表示の遺伝子組換え食品のルールは、食品表示基準に記載されています。 遺伝子組換え食品の表示ルールとして、「義務表示」「任意表示」「意図せざる混入」となります。
- 義務表示「大豆」「とうもろこし」「ばれいしょ」「なたね」「綿実」「アルファルファ」「てん菜」「パパイヤ」の農作物を原料としていること。生産、流通又は加工のいずれかの段階で遺伝子組換え農産物及び非遺伝子組換え農産物が分別されていない「大豆」「とうもろこし」「ばれいしょ」「なたね」「綿実」「アルファルファ」「てん菜」「パパイヤ」を原材料とする場合は、当該原材料名の次に括弧を付して「遺伝子組換え不分別」等遺伝子組換え農産物及び非遺伝子組換え農産物が分別されていない旨を表示すること。分別生産流通管理が行われたことを確認した非遺伝子組換え農産物である「大豆」「とうもろこし」「ばれいしょ」「なたね」「綿実」「アルファルファ」「てん菜」「パパイヤ」を原材料とする場合は、当該原材料名を表示するか、又は当該原材料名の次に括弧を付して「遺伝子組換えでないものを分別」、「遺伝子組換えでない」等分別生産流通管理が行われた非遺伝子組換え農産物である旨を表示すること。対象農産物又はこれを原材料とする加工食品であって主な原材料(原材料の重量に占める割合の高い原材料の上位三位までのもので、かつ、原材料及び添加物の重量に占める割合が五パーセント以上であるものをいう。以下同じ。)でないものについては、分別生産流通管理が行われた遺伝子組換え農産物若しくは非遺伝子組換え農産物である旨、遺伝子組換え農産物及び非遺伝子組換え農産物が分別されていない旨、特定分別生産流通管理が行われた特定遺伝子組換え農産物である旨又は特定遺伝子組換え農産物及び非特定遺伝子組換え農産物が意図的に混合された農産物である旨の表示(以下「遺伝子組換えに関する表示」という。)は不要とする。
- 4.について少し解説します。 その加工食品の原料で、遺伝子組換え農産物が、「原材料の上位3位までであること」と「その重量の割合が5%以上」であるときは遺伝子組換えである表示が必要という内容です。 ただし、義務表示としても良いので、その場合は義務表示のルールに従うように明記されています。
- 任意表示 油や醤油など、組み換えられた遺伝子が加工工程で除去・分解されており、広く認められた最新の検出技術によってもその検出が不可能とされる加工食品については、表示を表略することが出来ます。 また義務表示の④の「重量で上位3位までかつ5%以上でない場合」は表示を省略できますので、これも任意表示にあたります。
- 意図せざる混入について 分別生産流通管理、つまり生産上で遺伝子組換え農産物とそうでないものを区別して管理した上で、混入してしまう場合が「意図せざる混入」になります。 この分別生産流通管理が適切に行われていれば、このような「意図せざる混入」がある場合でも「遺伝子組換えではない」旨の表示をすることが出来ると、食品表示基準には定められています。
表示例
身近なもので「大豆」を使用した加工食品の「豆腐」があります。 手元にありましたので、書いてみます。 名称 もめん豆腐 原材料 丸大豆(国産)(遺伝子組換えでない)、凝固剤(塩化マグネシウム(にがり)) 調査したものでは、原材料欄に書ききれない場合は、その欄外に記載されているものがありました。 消費者庁では、「不分別」(つまり遺伝子組換え農作物を分別管理していないこと)が伝わりづらいとの事で、パッケージの余白に表示する事を勧めています。
まとめ
遺伝子組換え表示と原産地表示がほぼ同時に施行された事で、原材料の表示枠が足りなくなり、パッケージを改版するメーカーが多数あったようです。 また、遺伝子組換えで無い原料を調達するのは年々難しくなってきております。 有識者の中には、義務表示の「重量で上位3位までかつ5%以上でない場合」について基準が緩いと考えれている方も多いようです。 遺伝子組換え農作物の安全性はまだ疑問視されている部分もありますので、表示に関わる方は法律の改訂には注意したほうが良いでしょう。
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