最終更新:2024/08/08
フィルム加工とは?
紙パッケージや冊子など紙製品の強度を上げるためには、表面に加工を施す必要があります。強度や耐湿性を向上することのできる加工を「フィルム加工」と呼びます。
この記事では代表的なフィルム加工のうち、まずPP貼りについて解説します。PP貼りは強度を上げるだけでなく、耐湿性を付与したり、見た目に高級感を与えることができます。 つぎに、ラミネート加工について解説します。ラミネート加工は主にメニュー表やPOP、ポスターなどに用いる加工です。こちらは強度を上げると同時に、耐水性を付与することができます。
PP貼りとラミネート加工の違いについても説明していますので、利用用途に応じて使い分ける際の参考にしていただければと思います。
代表的なフィルム加工 PP貼りについて
PP貼りとは
PP貼りとは、印刷表面を透明フィルムによって保護する加工を指します。PPとはポリプロピレンの略です。ポリプロピレンのフィルムを熱によって表面に圧着させる加工法です。PP貼りのメリットは複数あります。
- 用紙自体の強度が上がる
- 耐湿性を付与できるので、湿度による変形などを予防できる
- 摩擦によるインクのかすれを予防できる
- 見た目に高級感が出る
湿度からパッケージを守りたい場合や、陳列や物流過程での摩擦が想定される場合は、PP貼りを施すのが望ましいと言えるでしょう。
PP貼りは紙パッケージのほかにも、冊子の表紙やカバー、名刺や招待状などに使われています。
PPフィルムを表面に貼り付けることにより、表面の色合いがデータ上や印刷時よりも多少違って見えますので注意が必要です。また、薄すぎる用紙にPP加工を施すことはできません。熱で圧着する方式のため、印刷会社によっては、ユポ紙などの石油合成紙にPP加工を行うと、紙が変形してしまう場合があります。そのため、印刷会社によってはユポ紙へのPP加工に対応していない場合がありますので、注意が必要です。
PP貼りの種類
PP貼りにはさまざまな種類があり、質感や見た目が異なります。PP貼りは大別するとクリアPPとマットPPに分けられますが、その他さまざまなPP貼りの加工法がありますのでご紹介します。
- クリアPP クリアPPはグロス加工とも呼ばれ、ツヤのある仕上がりが特徴の加工法です。手触りもツルツルとしています。印刷の発色が良くなり、印刷された写真や図柄が濃く鮮やかに見えます。繊細な色味にこだわりたい場合は注意が必要です。
- マットPP クリアPPは表面にツヤがありますが、マットPPはその逆で、艶消しの加工となります。しっとりとした手触りと高級感を演出するのに適しています。クリアPPに比べ傷が目立ちやすい加工になりますので、取り扱いには注意が必要です。
- 耐マットPP 前述の通り、マットPPは傷が目立ちやすいという特徴がありますが、耐マットPPは耐摩擦性があり、傷がつきにくいという利点があります。耐スクラッチ加工とも呼ばれ、表面に傷がつきにくいことから、梱包などの作業効率化にも役立てることができます。
- 易接着PP 易接着PPとは、表面に施したPP加工の上に、さらに箔押しやシルクスクリーン印刷を施す場合に用いられる加工法です。PP加工にコロナ処理という表面処理を行います。これによりポリプロピレンの質が変化し水をはじかなくなり、インクなどが接着しやすくなり後から加工がしやすくなります。
- ベルベットPP マットPPよりもさらにしっとりと、シルクやビロードの布のような質感をもたせたい場合には、ベルベットPPという加工法があります。
- ホログラムPP ホログラムPPはPP加工の一種です。光の加減によって虹色に光るホログラム柄でPP加工を施すことができます。
- エンボスPP エンボスPPはポリプロピレンフィルムを圧着させたのち、表面にレザーのような凹凸の質感を付与する加工法です。凸版と凹版で用紙を挟んで模様を浮かび上がらせる本来のエンボス加工とは方法が異なりますが、エンボスに似た見た目や質感を付与することができるPP加工です。
光沢とツヤのあるパッケージを制作したい場合はクリアPPを、マットな質感で高級感を演出したい場合はマットPPを施すのが望ましいでしょう。また、ベルベットPPやホログラムPP、エンボスPPといったPP加工がありますので、求める見た目や質感に応じてPP加工を選択することができます。
表面の耐久性を上げる加工としてニス加工もあります。ニス加工は印刷の過程でできるため、制作コストが低くなります。その他、プレスコートやビニール引きといった加工で光沢を付与することは可能です。が、いずれも耐久性はPP貼りに比べて劣るため、コーティング力を求めるのであればPP貼りをおすすめします。
PP貼りの注意点
PP貼りには注意点があります。耐湿性はありますが耐水性はなく、用紙の端や裏側から水分が浸透するため、水濡れによる破損や変形を防ぐ効果はありません。 また、PP貼り可能な紙の種類にも気をつける必要があります。PP貼りは熱で圧着する加工法のため、石油合成紙(ユポ紙など)に加工を施すと変形してしまう恐れがあります。
代表的なフィルム加工 ラミネート加工について
ラミネート加工とは
ラミネート加工とは、ラミネートフィルム(PETフィルム)で紙の両面を挟み、熱で圧着する加工法です。パウチ加工とも呼ばれます。 PP貼りとの違いはフィルムの厚さです。PP貼りに用いられるフィルムが通常0.024~0.027ミリ程度であるのに対し、ラミネートフィルムは薄いものでも0.032ミリ以上、一般的なものだと0.038~0.04ミリ、厚手のものだと0.15ミリほどです。PP貼りに比べて厚手のラミネートは5倍近くの厚さがあります。この厚さのラミネートフィルムで紙の両面を挟みますので、仕上がりはプラスチックの板のような硬さになります。
ラミネート加工は主にポスターやレストランのメニュー表、店内のPOPなどに使われます。会員証やポイントカード、病院の診察券などに使用されているケースもあります。
ラミネート加工の種類
- ツヤタイプとマットタイプラミネート加工にもPP貼りと同様、ツヤタイプとマットタイプがあります。ツヤタイプには光沢があり、マットタイプは艶消しされており光を反射しません。
- 両面粘着ラミネート 両面に粘着剤がついており、ガラスの内側などから貼ることのできるラミネートです。
- UVラミネート 屋外で使用するポスターなどに向いているラミネート方法です。紫外線をカットし、劣化を防ぐ効果があります。
- コールドラミネート 用紙の片面(表面)にのみラミネートを施す加工です。
- 不織布ラミネート 不織布ラミネートは、紙ではなく不織布にポリエチレンやポリピロピレンを貼り合わせる加工法です。不織布ラミネートは主に医療用や食品梱包用に用いられています。
PP貼りとラミネート加工の違い
前章で解説した通り、PP貼りとは紙の表面に施す加工、ラミネート加工は用紙を両面から挟むようにして熱で圧着する加工法です。ですが、ラベル・シール印刷の場合や、印刷会社によってはPP貼りまたはPP加工のことをラミネートと呼ぶ場合もあります。
代表的なフィルム加工であるPP貼りとラミネート加工について説明しました。紙箱にはPP貼り、ポスターやカードなどにはラミネート加工といった、用途による違いがあることがお分かりいただけたかと思います。また、PP加工にはさまざまな種類があり、見た目や質感を工夫することができます。
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