最終更新:2024/08/08
化粧品・健康食品の容器包装の現状
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化粧品、健康食品の容器包装のもつ特異性と、使用される素材とを絡め、取り巻く問題と市場に見られる動向を説明しています。
化粧品、健康食品の容器包装の特殊性
世の中に流通する商品のほぼすべて、何かに詰められているか包装されています。 容器包装は食品、非食品、工業材料問わず、製品を生産者から消費者へ届けるためのマストアイテムです。
しかし、消費者にとってはあって当然のアイテムであり、中身が無くなれば捨てられてしまう、さらには地球環境に害を及ぼす存在にまでされてしまいます。 そのような悲運のマストアイテムですが、化粧品、健康食品向けの容器包装は他と明らかに異なり、使用後も大切にされる幸運な一面も有しています。 思い出の品や、美しいガラス製の容器は捨てられることなく飾られ、希少なものであればコレクションされる場合もあります。このように大切に扱われる容器は他にないしょう。
化粧品、健康食品の容器包装に課せられた役割
意匠性や流通のための基本的な容器包装機能のほかに、消費者の持つ美しくなりたい、健康になりたいという夢や期待にコンタクトしてくる意匠性以上の特別な存在感が必要であると思います。 ラグジュアリーであればきらびやかに、ナチュラルであればシンプルに、パッケージデザインは製品の性質と消費者の要求をリンクさせる重要なファクターです。
プラスチックの利便性
昨今、新しい成分や素材、生活スタイルの変化により様々な化粧品、健康食品が販売されています。それに応じて容器包装も非常にバラエティー豊かになりました。 化粧品を例にとれば、ボトル、ジャー、チューブ、スティック、缶、フィルム包装など、内容物の性状(固形、粘体、液体)で容器包装の形態は決められていますし、素材もガラス、ポリエチレン、ポリプロピレン、PET、PMMA、金属など、これほど多くの形態と素材を使用する製品は他に類を見ません。 さらに、ポンプ、スプレーなどの機能が付与され、さらに複雑化します。 化粧品、健康食品は食品と異なり、パッケージコストも比較的高く設定できるため形態、素材の自由度が高く選択肢が多数存在するカテゴリです。
健康食品については高価な商品であるほど医薬品に近い扱いで、ガラス瓶が選択されている傾向がありますが、サプリメントなどの製品はプラスチック、ラミネートフィルムのチャック袋が使用されています。
今まで金属容器だった製品が、知らぬ間にプラスチック容器に置き換わっていることも多々あります。
容器の素材を考察すると、製造者の意図を形状として、低コストで容易に表現ができる最も適した素材がプラスチックであることは容易に理解できます。ガラス、金属では不可能なデザインを施すことも可能です。
容器包装の大規模な展示会を見学すると、回を重ねるたびに化粧品用の容器を扱うメーカーのブースには、ガラスと見まがうほど透明で、どのように作ったのか複雑な形状をした、芸術品といえるほど美しいプラスチック製ボトルなどがディスプレイされて異彩を放っています。素材、成型技術が向上し進歩し続けている証ではないでしょうか。
市場変化に対する容器包装
ドラックストア・コンビニエンスストアが流通に与える影響が大きくなった今、化粧品、健康食品は、商品によって直営店以外でも容易に購入することが可能となりました。 特にコンビニエンスストアでの化粧品、健康食品は、大容量ではなくポーションタイプか、小容量の商品が主流となります。
コンビニコスメと呼ばれる商品でも化粧品容器は妥協せず、メーカーの意匠を損なわない統一されたデザインでサイズダウンしていることに驚かされます。
また化粧品は女性だけの物ではなく、男性の美意識の高まりからメンズコスメ市場が増加しており、店舗を見ても変化は明らかです。ひと昔前であれば、固形石鹸で顔を洗い、ひげを剃ったらせいぜいクリームを塗るか塗らないかが、今や洗顔料、シェービングクリーム、乳液、ともすればパック、メイクなど当たり前の時代になりました。 パッケージデザインも単純なボトルにキャップを付けただけの武骨なイメージから、スタイリッシュなデザインの製品が増えたように思えます。
従来女性用だった化粧品を男性用に「for men」と一行加え、ブランドの統一感を持たせた戦略も伺えます。
パッケージにつきまとうもの
兎にも角にも、脱プラ、環境配慮です。
主たるものを挙げれば2015年パリ協定でのCO2削減、クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス「CLOMA」、日本では環境省が進めるプラスチック資源循環戦略「Plastics Smart」、そしてSDGs。
個々の目的、目標について説明するには膨大なため割愛しますが、乱暴な要約をすれば「プラスチックを使わなければクリアできる取り組み」と解釈してよいと思います。
このような環境配慮への取り組みが世界規模で、かつメジャー企業が参画し、マイルストーンも決められ推進しているため、国として企業として避けられない事態になっています。
先ほどから化粧品、健康食品にプラスチックが最も適している素材と記述していますが、化粧品、健康食品のパッケージデザインにおいて高い意匠性、質感を大幅に削ぐことはできません。
それゆえ化粧品、健康食品のパッケージデザインの環境配慮には高いハードルと限界が存在すると考えられます。 例えば、高級なクリームを購入するとします。クリームは美しいジャーの中に充填してあり、ジャーは何らかの装飾、コーティングされた高級紙器に納められ、お客様に渡す時専用のコート紙の手提げ袋に入れて渡されます。
消費者から見れば高級な製品を購入し、その製品に期待しているのだから、当たり前と思うはずです。もし、ジャーだけ手渡されたらたちまちクレームになるでしょう。 つまり、化粧品、健康食品は対価に見合った期待や価値観が障害となり、消費者の環境配慮に対する理解を得られにくいということです。
そしてこのような過剰包装は化粧品に限らず高級になればなるほど起こる現象です。
ここで問題になるのは単なる過剰包装だけではなく、異素材がふんだんに使用されている点です。この製品のパッケージを分解してみましょう。
- ジャー:PMMA(アクリル・容器本体)、ポリプロピレン(内部容器)、ポリエチレン(パッキン)、ウレタン(インキ)、金属(装飾、パッキン)
- 紙器:紙(本体)、ウレタン(インキ)、金属(装飾箔押し)
- 手提げ袋:紙(本体)、ウレタン(コート、インキ)、手提げヒモ(ポリエステル)
以上、おおまかに7つの素材が使用されていることになります。 使用後に廃棄する際、素材の専門家が本気で分別を試みると、非常に難解で首をかしげると思います。一般消費者であれば手提げ袋と紙器は紙として、ジャーはプラスチックゴミとして廃棄することになります。 このように化粧品、健康食品の容器包装を正しく廃棄するのは容易ではありません。それを消費者に強いるのではなく、企業が容易にしていく改善が大切だと思います。
環境配慮が言葉だけで終わらないために
プラスチックを使用することが好ましくないという逆風の中、企業は真剣に向き合っています。「やってます」というファッションでは済まされなくなってきました。 石油由来のインクから植物由来のインクへ変える(バイオ素材)、ケミカルリサイクルされた素材を使用する(主にPET)、可能な限り単一素材で設計する、容器包装のゲージダウンによる減量など、各企業が環境配慮と利益が結び付くよう、知的財産を絡めた試行錯誤を行っています。
(使用したプラスチックから排出されるCO2を吸収するように植林しますというロジックは除きます)
いずれにしても、購買意欲を誘い、消費者の満足度を損なわず、どこまで環境配慮とトレードオフできるかが、「容器も商品」である化粧品、健康食品包装特有の課題ではないでしょうか。
企業のイメージアップのため環境配慮に取り組んでいますという体裁ではなく、刻々と変わる環境対策の情報を正しく適切に製品開発に取り入れ、しっかりと利益を得つつ、消費者への啓蒙と環境対策へ取り組むことが企業の責務となった時代であると考えます。
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