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最終更新:2024/08/08

化粧品容器に関する知識 インジェクション成型とは?

化粧品容器に関する知識 インジェクション成型とは?

私たちの身の回りにはありとあらゆるプラスチック製品が存在しています。プラスチック製品にはさまざまな大きさや形状のものがありますが、いずれもプラスチック樹脂を成型して作られています。プラスチック製の化粧品容器もそのような成形品の1つです。

では、プラスチック製の化粧品容器は、どのようにして作られているのでしょうか。多くの化粧品容器に使われている成型方法の1つが、インジェクション成型です。インジェクション成型は、金型に溶かしたプラスチック樹脂を流し込んで固めるプラスチック成型方法のことを言います。

この記事では、化粧品容器に関する基礎知識として、インジェクション成型についてお伝えします。この記事を読むことで、インジェクション成型の仕組みや、化粧品容器にインジェクション成型を用いるメリット・デメリットなどを知ることができます。化粧品容器の作成に関わる皆さんはぜひ参考にしてください。

インジェクション成型とは何か

インジェクション成型は、金型内に高圧で流し込まれたプラスチック樹脂を冷やし固めることで求める形状を作り出す、主要なプラスチック成型方法の1つです。樹脂を金型内に勢いよく射出するので、「射出成型」とも呼ばれます。幅広いサイズや形のものを成型することができ、例えば自動車では、小さな部品からバンパーまでインジェクション成型によって作られています。

インジェクション成型は、主なプラスチック材質の多くに対して用いることができます。化粧品容器によく使われるポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)も、インジェクション成型によって容器の形に成型することができます。

インジェクション成型の仕組み

まず、インジェクション成型におけるプラスチック樹脂加工の仕組みを知っておきましょう。成型の工程は以下の5段階で構成されています。

1. プラスチック樹脂を装置内に注入する。

2. プラスチック樹脂をヒーターの熱で溶かして可塑化する。このとき、溶かされた樹脂はスクリューの回転によって均一に練り混ぜられる。

3. 可塑化したプラスチック樹脂を、スクリューによって高圧で金型内に押し出す。

4. 金型内でプラスチック樹脂を冷やし固める。

5. 金型を開き、成型されたものを取り出す。

化粧品容器にインジェクション成型が使われる理由

次に、インジェクション成型がプラスチック製の化粧品容器の成型によく用いられている理由についてご説明します。インジェクション成型には主に以下の5つのメリットがあります。

  • 大きさや形状の複雑さに関わらず成型できる
  • 量産に適している
  • 寸法精度が高い
  • 仕上がりが美しい
  • フィルムインサート成型や多色成型ができる

大きさや形状の複雑さに関わらず成型できる

金型をあらかじめ求める形状にくりぬき、空洞部分に樹脂を流し込む仕組みで成型するので、複雑な形状のものや細かな部品も作ることができます。インジェクション成型で作られる化粧品容器として、クリーム容器、キャップ類、ファンデーションなどのコンパクト、ボトルやスプレーのパーツなどが例として挙げられます。

量産に適している

金型を一度作ってしまえば、長期間安定した成型が行えます。また、金型1面に成形物の形を複数個くりぬくことによって、一度に複数個の成型も可能です。そのため、効率的にたくさんの数を製造したい場合に適しています。1面複数個の金型は、流し込む樹脂の量を調整すれば反対に成型する個数を減らすこともできるので、状況に応じて柔軟な対応が可能です。

寸法精度が高い

決められた寸法の範囲内で、安定した成形物を作る高い精度があります。容器においては厚みが強度に影響するため、均一な厚みでの成型が重視されることがあります。インジェクション成型では規定の厚みでくりぬかれた金型に樹脂を流し込んで成型するため、均等な厚みで成型が可能です。

仕上がりが美しい

表面がなめらかで比較的バリの少ない美しい成型が可能です。そのため、成型後に完成品に仕上げるための追加加工を少なく抑えられます。

フィルムインサート成型や多色成型ができる

フィルムインサート成型や多色成型を用いることで、デザインに工夫を加えることができます。フィルムインサート成型は、柄などが印刷されたフィルムを金型内に挿入した状態でプラスチック樹脂を射出し、インジェクション成型を行う方法で、容器表面を自由にデザインすることができます。多色成型は、2つ以上の異なる性質の樹脂を金型に流し込んでインジェクション成型をする方法で、パーツごとに色を変えたい場合などに用いられます。

インジェクション成型で化粧品容器を作るときの注意点

多くのメリットをもつインジェクション成型ですが、デメリットも存在します。ここからはインジェクション成型の注意点3点についてお伝えします。

  • 初期費用が比較的高い
  • 金型の製作に時間がかかる
  • 金型から取り出せる形状に限られる

初期費用が比較的高い

インジェクション成型を行うには、成型する物の形をした空洞をもつ金型を作らなければならないため、初期投資として金型製作コストがかかります。そのため、生産量が少ないと、1個の容器あたりにかかる平均の製作費用が高くなりすぎるため、採算が合わなくなります。

特に1面で複数個成型する場合は高額になりやすいので注意が必要です。1面で取る個数についても、生産量を考慮して金型製作にかけられる費用を算出し、最適な数を設定するよう、加工会社と相談しましょう。

金型の製作に時間がかかる

成形物の形状によりますが、金型の製作には長い期間を要することがあります。実際に製造を始めるまでにある程度時間がかかることを考慮する必要があります。

金型から取り出せる形状に限られる

インジェクション成型の弱点として、その成型方法の特性上、成型後に金型から抜ける形状でなければならないという点があります。そのため、ボトルなど内部が中空になっているものは成型が難しい可能性があります。

この弱点を補える成型方法に、ブロー成型があります。ブロー成型は、筒状に押し出された熔解したプラスチック樹脂を金型で挟み、空気を注入して中空を作る方法です。中空成形とも呼ばれます。伝統的なガラス細工では熱で柔らかくなったガラスに空気を吹き込みますが、その仕組みと同様です。

ブロー成型は空気で膨らませるという成型の仕組み上、均一な厚みを正確に成型するのは得意ではありません。そのため、インジェクション成型とブロー成型を組み合わせたインジェクションブロー成型という方法も取り入れられています。

インジェクションブロー成型は、インジェクション成型によって作られたパリソン(筒型)に空気を注入してブロー成型をするというものです。ボトルの成型の場合、胴体はブロー成型ですが、正確な成型が求められるボトルの口の部分はインジェクション成型で作られ、均一な厚みでの成型が可能です。

化粧品容器を作るなら成型方法に詳しくなろう

この記事では、化粧品容器に使われる代表的なプラスチック成型方法であるインジェクション成型についてご紹介しました。インジェクション成型は、複雑な形状のものを成型できたり、量産に適していたりと多くの利点がありますが、コスト面など理解しておかなくてはならない注意点もあります。化粧品容器の作成に関わる皆さんは、適切な成型の仕方で化粧品容器が作れるよう、ぜひ成型方法についての知識を深めてみてください。

この記事を書いた人
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株式会社Cogane studio

Beaker media 編集部

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