最終更新:2024/08/08
化粧品容器の蒸着加工とは?
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蒸着加工は、表面処理加工方法の1つで、対象物に金属調のコーティングを施す技術です。金属の持つ独特の質感や光沢を加えることができるため、容器製作の分野では、容器を美しくデザインする目的で使われています。特にビジュアルの良さが求められることの多い化粧品容器には、蒸着加工の技術は一般的に用いられています。
蒸着加工には種類があり、加工の目的もさまざまですが、その中でも化粧品容器には真空蒸着という方法が取り入れられています。容器に真空蒸着を施すことで、金属の輝きを持たせるだけでなく、工夫次第でデザインの幅を広げることができます。
この記事では、蒸着加工の目的や種類などの基礎知識をふまえた上で、化粧品容器に使われる真空蒸着の仕組み、化粧品容器に蒸着加工を施すメリット、蒸着と比較されることの多いその他の金属調加飾技術などについてお伝えします。 化粧品容器製作に携わる方は、ぜひ参考にしてください。
蒸着加工とは何か
蒸着加工とは、金属を加熱・蒸発させ、気化した金属を加工対象物に密着させてコーティング膜を作る、メッキ技術の1つです。加工対象そのものの素材を傷つけることなく、均一な金属の薄い膜を張ることができます。 蒸着加工によって得られる代表的な効果には、以下の5つが挙げられます。
光の透過性や発射率を変える
蒸着加工によって形成する膜のはたらきで、対象物への光の通りやすさを高めたり、特定の波長の光のみを発射させたりする特性を加えることができます。カメラのレンズ、CD・DVD、プロジェクターなどに利用されています。
電子部品の基板を保護する
パソコンや半導体の基板に薄い膜を張ることで、保護の役割をします。基板そのもののはたらきに影響を与えずに加工が行えます。
特殊機能を付加する
薄膜の性質によって、撥水性や親水性、電気の通しやすさ、抗菌などの作用を付加することができます。スマホのタッチパネルなどに利用されています。
強度を上げる
硬質の膜を張ることで対象物の摩耗を防いだり、衝撃に強くしたりすることができます。工具や金型などに利用されています。
装飾する
対象物に金属調の美しい光沢をつけることができます。化粧品容器に蒸着加工が用いられる主な理由は装飾目的です。
蒸着加工の種類
蒸着加工には、化学蒸着と物理蒸着の2種類があります。
化学蒸着(CVD)
気化させた金属とガスを混合し、化学反応の力を利用して対象物表面に吸着させ、膜を形成させる方法です。半導体への薄膜形成などに用いられます。
物理蒸着(PVD)
熱などを加えることによって気化させた金属を対象物に付着させ、膜を形成させる方法です。物理蒸着は、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどに分類されます。真空蒸着は容器の加工に使われる方法です。スパッタリングやイオンプレーティングは、真空蒸着よりもさらに膜の密着度を高めるために用いられる技術です。
化粧品容器に使われる真空蒸着
さて、蒸着加工にはさまざまな技術がありますが、中でも化粧品容器には真空蒸着という手法が主に用いられています。真空蒸着は物理蒸着の1種で、真空が作られた空間の中で金属を気化させ、膜を張る方法です。
空気中で金属を気化させるには、超高温の環境を作らなければなりませんが、真空中では金属が気化する温度が下がるので、加工が容易になります。例えばアルミニウムの沸点は約2500℃ですが、真空中では700℃程度で気化させることができます。
化粧品容器には、アルミニウムを真空蒸着させる「アルミ蒸着」が一般的に利用されています。
化粧品容器に蒸着加工を行うメリット
では、化粧品容器に金属調の装飾を加えたいときに蒸着加工を選択するメリットについてご紹介します。ここでご紹介する蒸着加工のメリットは以下の4点です。
- 多様な材質のものを加工できる
- 複雑な曲面にも対応できる
- 色をつけられる
- 加工のバリエーションが豊富
多様な材質のものを加工できる
蒸着加工は、対象物を液体にさらすことなく、空間内で加工する技術なので、対象物の材質への影響を少なく抑えられます。そのため、幅広い材質のものに利用されています。プラスチック、ガラス、紙、金属などへの加工が可能です。
複雑な曲面にも対応できる
蒸着加工は、金属を気化させて容器に付着させる仕組みなので、複雑な形状の容器にも美しく膜を張ることができます。 よく比較される金属調の加飾技術に、アルミ金冠とホットスタンプがあります。しかし、アルミ金冠は加工した金属を後から被せるため、逆テーパーがかかっているなど被せられない形状のものには使われません。また、ホットスタンプでは、平面から作られていない三次曲面へのきれいな加工は困難です。 蒸着加工は、アルミ金冠やホットスタンプで対応できない上記のような形状の容器にも、均一な加工を施すことができます。
をつけられる
蒸着加工は、加工後に行うトップコートに色を加えることで、容器に色をつけることができます。アルミ蒸着で作られる膜のベースの色は、アルミニウムのピカピカした銀色です。この上から透明度のあるカラーの色付けを行うことで、金色や、その他のメタリック調の色味を表現することができます。さらにトップコートに顔料を加えることで、星がちりばめられたように見える装飾を施した容器もあります。 金属の輝きはそのままに、求める色を自由に選べる点がメリットです。
加工のバリエーションが豊富
蒸着加工は、加工の際にさまざまな工夫を加えることで、さらに多彩な表現を持たせることも可能です。例えば、形成する膜の厚みを調整することで光の透過性を高め、金属の質感の中にも透明感を持たせることができます。これはハーフ蒸着と呼ばれ、内容物の量が外から見えるようになるため、化粧品容器に使いやすい加工方法です。 そのほかにも、加工前のアンダーコートを特殊なものにすることで、あえて膜をひび割れさせたり、ざらざらした質感を出したりすることもあります。
蒸着加工以外の金属調加飾技術
最後に、蒸着加工の特徴をふまえたうえで、蒸着加工とよく比較される技術である「アルミ金冠」と「ホットスタンプ」についてご紹介します。いずれも、化粧品容器に金属の光沢を加えたい場合に選択される加工方法です。
アルミ金冠
容器にアルミニウムを被せることでメタリック調を表現します。板状のアルミニウムに圧力をかけて形状を変え、容器に接着させることで行います。主に容器のキャップやポンプディスペンサーへの加飾に使われ、独特の高級感や重厚感が特長です。
変形させた金属を容器に被せるという仕組み上、逆のテーパーがかかっているなど、被せられない形状の容器には使えません。
ホットスタンプ
ホットスタンプは、圧と熱の力で金属箔を対象物に付着させる方法です。平面や円柱状の容器の周囲を加工するのに用いられます。一方、箔を貼り付けるという仕組み上、平面から形成されない複雑な立体曲面に貼り付けようとするとシワができてしまうため、そのような形状の容器に対する装飾には蒸着加工がより適していると言えます。
輝きのある化粧品容器を作りたいなら蒸着加工を検討しよう
この記事では、化粧品容器に金属調の輝きを持たせたい場合に用いられる、蒸着加工という技術についてご紹介しました。 蒸着加工は、形状の複雑な容器も美しく加工でき、着色などによってデザインの幅も広げられる、化粧品容器に適した装飾技術です。蒸着加工をプラスすれば、他の技術と同様、容器製作のコストは上がってしまいますが、化粧品容器に高いデザイン性を求めたい場合には効果的な選択肢になるでしょう。 容器デザインの際にぜひ検討してみてください。
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