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最終更新:2024/08/08

化粧品容器に関する知識 パッド印刷とは?

化粧品容器に関する知識 パッド印刷とは?

容器のような立体物によく使われる印刷手法の1つに、パッド印刷があります。パッド印刷は、版に流し入れたインクをシリコーンでできたパッドに写し取り、インクの付いたパッドを対象物に押しつけることによって文字や絵を表現する印刷方法です。

パッド印刷は、印刷対象物の形状に対する制約が少ないことや、微細な文字やデザインの表現が行いやすいことから、化粧品容器にも活用されています。化粧品容器の製作に関わる方にはぜひ知っておいてほしい印刷方法です。

この記事では、化粧品容器の製作に携わる方へ向けて、パッド印刷の基礎知識をお伝えします。記事を読むことで、パッド印刷の仕組みや、メリット・デメリットについて知ることができます。ぜひこの機会に、印刷手法に関する知識を深めてください。

パッド印刷とは何か

パッド印刷は、弾力のあるシリコーン製パッドに付着させたインクによって印刷を行う印刷技術です。印刷したいデザインに加工された版にインクをのせ、そこにパッドを押しつけてデザイン通りにインクを写し取り、インクののったパッドをスタンプのようにして対象物に押すことで印刷を行います。タンポ印刷とも呼ばれます。

柔らかなパッドを使うことから、立体的なものや凹凸・曲面のある形状のものにも柔軟に対応できるのが、パッド印刷の大きな特長です。そのため、ボールペンなどの文房具、さまざまな形状のノベルティ、ゴルフボールの凸凹した球面などによく用いられています。化粧品容器における使用例には、ボトルキャップの上部や側面への印刷などがあります。

パッド印刷の工程

パッド印刷の印刷工程は以下の通りです。

  1. 版を作成する エッチングによって、金属製や樹脂製の板を印刷したい文字やデザインの形状に加工し、版を作ります。印刷したいところを凹状にし、インクを流し込めるようにします。
  2. 印刷位置を合わせる 印刷機の所定の場所に印刷したい対象物を乗せ、印刷位置が目的の位置に合うよう調整します。
  3. 版にインクを入れる 印刷したい文字やデザインに形作られた版の凹部にインクを流し込みます。不要な部分に付着しているインクはヘラなどを使って取り除き、凹部のみにインクが残るようにします。
  4. パッドにインクを付着させる インクを入れた版に印刷用のシリコーンパッドを押しつけ、インクをパッドに移します。パッドには、印刷したい文字やデザインの通りにインクが付着します。
  5. ッドを対象物に押しつけて印刷する 印刷したい文字やデザインの形状にインクがのせられているシリコーンパッドを、印刷位置を調整した対象物に押しつけ、インクを転移させて印刷します。

化粧品容器にパッド印刷を使うメリット

では、どのような場合にパッド印刷が適しているのでしょうか。ここからは、化粧品容器にパッド印刷を用いるメリットをご紹介します。ここでお伝えするパッド印刷のメリットは以下の4点です。

  • 凹凸のあるものへの印刷が得意
  • 小さなものへの印刷ができる
  • さまざまな材質に対応できる
  • 製作時間が比較的短い

凹凸のあるものへの印刷が得意

パッド印刷の最も大きな特長は、凹凸のある立体的なものへの印刷に適していることです。別の印刷手法であるシルクスクリーン印刷も、曲線を描く形状をしている容器の表面に印刷する場合によく用いられる手法ですが、パッド印刷はシルクスクリーン印刷でも対応が困難な、複雑な形状のものへの印刷にも使われます。

パッド印刷が凹凸のあるものへの印刷に向いているのは、柔らかなシリコーンパッドを対象物に押しつけるという方法で印刷を行うためです。パッドが柔軟なので、凹んでいる部分にもインクをのせることができます。

小さなものへの印刷ができる

パッド印刷は、小さな対象物への印刷を得意とします。小さなものに対して、細かい文字やロゴなどを印字したい場合に適した印刷手法です。そのため、電子部品やキーボード、雑貨、医療機器など、狭い範囲への印刷が必要な場合によく用いられます。化粧品容器では、アイライナーなどの細いアプリケータやリップスティックのケースなどの加飾にも向いていると言えるでしょう。

さまざまな材質に対応できる

パッド印刷は多種多様な材質のものへの印刷に幅広く対応できます。プラスチックをはじめとして、金属、布、皮、ガラスなどへの印刷が可能です。

製作時間が比較的短い

よく比較されるシルクスクリーン印刷と比べると、パッド印刷での印刷工程には時間がかからないとされています。その理由の1つには、シルクスクリーン印刷の版に比べてパッド印刷の版の製作時間は短くて済むことが挙げられます。

また、インクの種類によりますが、一般的にパッド印刷に使われるインクはシルクスクリーン印刷のインクよりも速乾性があります。そのため、乾燥にかかる時間も短縮することができます。

化粧品容器にパッド印刷を使うときの注意点

パッド印刷には多くのメリットがある一方、デメリットもあります。化粧品容器の印刷にパッド印刷を使う際には、以下の弱点を理解しておきましょう。印刷会社によっては、以下の弱点を十分カバーできる設備と技量を持っている場合もありますので、事前に相談してみましょう。

  • 隠蔽性が弱い
  • 多色刷りやグラデーションには不向き
  • 印刷範囲が限られる

隠蔽性が弱い

パッド印刷では、対象物に乗るインクの厚みが比較的薄いため、地の色に影響されることがあります。この点は、インクの量を調整することで厚みのある表現ができるシルクスクリーン印刷とは異なります。

このデメリットを補うため、パッド印刷では重ねて2度印刷するという方法をとることがありますが、位置ずれのリスクが指摘される場合もあります。

多色刷りやグラデーションには不向き

パッド印刷では1回で印刷できる色の種類は基本的に1色なので、多色刷りやグラデーションはあまり得意とは言えません。多色刷りをしたい場合は、色の数だけ複数回重ねて印刷する方法がとられることがありますが、インクの厚みを出すための2度刷りと同様、位置ずれのおそれがあるとも言われます。

グラデーションの表現を行いたい場合には、インクの色を変えることができないので、網点印刷の技法が用いられることがあります。

網点印刷とは、インクを小さな点状にのせることによって、色を濃く見せたり薄く見せたりする印刷方法です。例えば同じ黒いインクでも、大きな点を描いて一面に色をのせると真っ黒に見える一方で、小さな点で色をのせれば点と点の間に空間ができるため、全体が薄く見え、グレーが表現できます。この方法を使うと、1工程1色のパッド印刷でもグラデーションを出すことができます。

印刷範囲が限られる

パッド印刷では、パッド表面の面積以上の範囲の印刷は行えません。印刷範囲は一般的に5cm角程度以内に収める必要があります。

難しい形の化粧品容器に選ばれるパッド印刷

この記事では、化粧品容器に使われる印刷手法の1つであるパッド印刷について、基本的な知識をご紹介しました。パッド印刷の一番の強みは、立体的で多様な形状のものへの印刷に対応できることです。デザイン性向上を目指して化粧品容器に特殊な形状を持たせる場合には、特に頼りになる技法と言えるでしょう。

パッド印刷を含むさまざまな印刷手法について理解を深め、ぜひ理想の化粧品容器製作に役立ててください。

この記事を書いた人
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株式会社Cogane studio

Beaker media 編集部

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