最終更新:2024/08/09
化粧品容器の素材 プラスチック容器について
化粧品容器には様々な形状や素材があります。
本記事では、中でもプラスチック容器の特徴や向いている製品をご説明します。また、プラスチック量削減のために各社が取り組んでいることもご紹介しますので、ご参考にしていただければ嬉しいです。
化粧品容器の形状と選び方
化粧品容器を決定する際には、用途や商品コンセプトにあった容器の形状を選ぶことが重要です。
化粧品容器使われる主な形状としてボトル・チューブ・ジャーが挙げられます。 ボトルは化粧水や乳液・シャンプー・コンディショナーなどによく使われるスタンダードな形となっています。 チューブはトリートメントやボディーソープなどの比較的粘度の高い中身を入れることが多いです。ジャーと比べると比較的安価に生産できます。 ジャーは、チューブと同様に、トリートメントやボディーソープといった比較的粘度の高い中身を入れるのに向いています。チューブと比べると高級感を出しやすく、高級路線の製品によく使われます。
化粧品容器の素材と選び方
化粧品容器では主にプラスチックとガラスが使われます。 それぞれメリット・デメリットがありますので、商品開発の都度どちらが適しているかを選ぶと良いでしょう。
プラスチックのメリットとしてまず加工のしやすさがあります。様々な形に比較的容易に変形できるため、ボトルの他にチューブやジャーにもよく使われます。またプラスチックはガラスよりも軽いため、持ち運びにも便利です。 ガラスは中身の安定性を保ちやすいという特徴があります。また高級感を出しやすいため、高級化粧品のボトルやジャーなどに用いられることが多いです。
化粧品容器の機能
中身の保管
化粧品容器には中身を保管する機能があります。 化粧品は実際に人が肌につけて使うものであるため、使う時まで中身の品質が保たれている必要があります。中身と容器の相性によっても保管に適しているかが変わってくるため、長期間保存しても品質が保たれるかは確認すると良いでしょう。
使い易さ
化粧品容器には内容物を使いやすくする機能があります。 物に応じて使用しやすい容量を選び、物によってはポンプやミストなどを上部につけることでより使い易くなります。またメイク用品の場合には、付属の布や塗るための棒なども使用の上で非常に重要になってきます。
デザイン
化粧品容器にはデザインを表現する機能があります。 ターゲットとする消費者を明確に決め、ターゲット層に響くようなデザインを考えると良いでしょう。 また実際のデザインの選定においては、いくつかのサンプルを作成し、社内外含め複数人でサンプルを見ながら議論をして最終デザインを決定していくことが多いです。
プラスチック容器のメリットと向いている製品
プラスチック容器には様々なメリットがあります。
形状を変えやすく軽い
プラスチックは熱により形状を変えやすいという性質があります。その為、チューブなどの柔らかい形状の製品、表面に加工を施すボトルやジャー製品を作るのに向いています。また細かな形状も再現しやすいため、ポンプなどの複雑な構造の部品を作る際にもよく用いられます。
比較的安価な材料
プラスチックはガラスに比べて一般的に安価な為、売価を安めに設定したい製品にも適しています。ガラスと比べて割れにくいため、充填に対応できる工場も多く、大量生産を行う製品に向いています。
化粧品容器でよく使われるプラスチックの種類
化粧品容器使われるプラスチックの種類には様々なものがあり、デザインや機能性によって使い分けられています。
PE(ポリエチレン)
PEは比較的柔らかく加工がしやすい樹脂で、水蒸気バリア性や耐寒性にも優れています。その性質を活かし、食品や農業ハウスのフィルム、牛乳の容器、クラフトテープなど広く使われています。 化粧品容器では、チューブや詰め替え容器の材料の一部としてよく使われます。また、ブロー成形やインジェクション成形を用いた不透明なボトルにもよく使われています。
PET(ポリエチレンテレフタラート)
PETは透明感と光沢が特徴で、ペットボトルや医療用繊維としてよく使われています。またペットボトルはリサイクルの仕組みが既に発達しており、リサイクルしやすいというメリットもあります。 化粧品容器では、ブロー成形やインジェクション成形を用いた透明なボトルによく使われています。
PP(ポリプロピレン)
PPは耐薬品性と耐ストレスクラック性が高く、自動車や家電によく使われています。 化粧品容器では、ポンプやスプレーなどの細かな部品によく使われており、インジェクション成形にも向いています。
プラスチック削減への取り組み
プラスチックは便利なものですが、使用後に廃棄されると環境への負荷がかかってしまいます。特に近年海洋プラスチックの問題からプラスチック廃棄の問題は大きな注目を集めており、各社が様々な方法でプラスチック削減に取り組んでいます。 今回、3R(リデュース・リサイクル・リユース)の観点から各社の取り組みをご説明します。
リデュースの促進
プラスチック量削減の観点から、容器の軽量化や付け替え・詰め替え製品の導入も進められています。 例えばSHISEIDOでは1926年に「つけかえ」可能な粉白粉のコンパクトを発売し、1000を超えるSKUに「つめかえ・つけかえ」を導入していきました。SHISIDOのブランド「エクシール」では「つめかえ・つけかえ」容器は本体容器と比べて83%のプラスチック量削減となっています。また花王でも1991年からつめかえ用品を発売しており、2020年12月時点のつめかえ・つけかえ製品は370品目にのぼっています。
参考:
サステナブルな製品の開発(資生堂)
つめかえ・つけかえ用製品(花王)
リサイクルの促進
各社でリサイクルも進められています。
例えば花王とライオンは共同でフィルム容器回収の取り組みを墨田区にあるイトーヨーカドーにて行っており、2020年10月30日(金)から2021年6月15日(火)までに、フィルム容器約5,200枚を回収しました。当活動で集めたフィルム容器は花王の和歌山工場に設置したパイロットプラントで再生処理を行い、リサイクル技術の検証を進めていくと発表されています。
また、「グラムビューティーク リサイクルプログラム」として、イオンとテラサイクルジャパン、SHISEIDO・日本ロレアル・資生堂・コーセー・P &Gなども共同で空き容器の回収も始めています。
リサイクルの促進にはメーカーだけでなく、リサイクル業者や小売店の協力も必要となってくるケースが多く、業界全体としてリサイクルシステムの確立が進められています。
参考:
花王とライオンの協働によるリサイクル実証実験の進捗について(花王・ライオン)
サステナブルな製品の開発(資生堂)
リユースの促進
容器を何度も使うリユースの促進も進められています。
2020年SHISEIDOは、消費者が使用済み美容液を店頭に持っていくと、お店側で洗浄・充填を行うサービスを開始しました。日本では安全・安心のために厳しい政府基準が定められていますが、徹底した衛生管理・品質検査によって店頭での洗浄・充填サービスを実現したと説明されています。
株式会社コーセーもLOOPと共同し、代表ブランド「雪肌精」にて繰り返し使用できる化粧品容器の開発に取り組んでおり、2022年夏の発売を目指すと発表しています。
参考:
サステナブルな製品の開発(資生堂)
『雪肌精』、循環型プラットフォーム“Loop”に参加(コーセー)
まとめ
化粧品容器の形状・材質・機能と、中でもプラスチック容器の特徴についてご説明しました。 プラスチック容器は様々なメリットがありますが、一方でその廃棄が環境問題の一因となっていることも事実です。
プラスチック削減のために各社が行っている取り組みも取り上げましたので、参考にして頂けたら嬉しいです。
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