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最終更新:2024/08/09

化粧品容器に関する知識 生分解性プラスチックとリサイクルの関係性

化粧品容器に関する知識 生分解性プラスチックとリサイクルの関係性

当記事では、生分解性やリサイクルについて説明します。 ゴミ焼却・埋め立て地の不足や気候変動、海洋プラスチック問題といった環境問題が大きくなるにつれ、関心の高まっている分野なので、詳しく知りたい方も多いと思います。ぜひ当記事で基礎知識を学んでいただけると嬉しいです。

化粧品容器における生分解性

まずは生分解性について定義・種類・用途をお伝えします。その後、化粧品容器のおける生分解性プラスチックの現状と課題をお伝えします。

生分解性の定義

生分解性性とは、物質が微生物の働きで分子レベルに分解され、自然界へ返すことができる性質を言います。一般的には生分解性プラスチックのことを指し、土や水の中の微生物によって水と二酸化炭素の分子レベルに分解できるプラスチックのことを示します。

生分解性プラスチックの種類

生分解性プラスチックには様々な種類がありますが、例えば下記2つが挙げられます。

  • PLA(ポリ乳酸)
    今市場で出回っている主な生分解性プラスチックがPLAです。ポリ乳酸ともいい、トウモロコシ由来のプラスチックとなっています。ボトル・買い物袋・使い捨てカラトリー類など広く使われています。堆肥可能とされておりそのように表記されていることもありますが、堆肥とするには高度な温度と湿度が必要なため、現状では堆肥化を行える施設に送る必要があります。
  • PHA(ポリヒドロキシアルカノエート)
    PLAと並んで生分解性プラスチックとして注目されているプラスチックです。ポリヒドロキシアルカノエートとも呼ばれており、デンプンなどの多糖類から作られています。PHAは特に海で分解が比較的容易とされており、海洋プラスチック問題への対策の一つになるかもしれないとして注目を集めています。ただし、製品化の過程で添加剤が入っている場合、分解が悪くなることがわかっており、研究が続いております。

他にも様々な種類の生分解性プラスチックがあり、それぞれ原料や特徴を持っています。

生分解性プラスチックの主な用途

生分解性プラスチックが使われる用途として、主に3点挙げます。

  • 農業・漁業・林業で使われる資材
    マルチフィルムや苗ポット、漁業用の網、植生ネットなどで使われます。回収せずとも土や海に置いておけば二酸化炭素と水に戻るため、回収の手間が省けたり環境に優しいという利点があります。
  • 外でのレジャー品
    マリンスポーツやゴルフ用品などにも使われます。基本的にはゴミは回収して使うものですが、仮に回収出来なかったとしても自然に戻るため、環境負荷を減らすことが出来ます。
  • 使用後の再利用が困難な商品
    オムツ・食品包装容器・歯ブラシなどの再利用が難しい商品にも使われます。再利用ができない場合、基本的には廃棄物となってしまいますが、生分解性プラスチックを使うことで、廃棄物の量を減らすことが出来ます。また、シャンプーボトルなどの化粧品容器でも採用が進められています。

このように様々な分野で生分解性プラスチックの利用がされています。

化粧品容器における生分解性プラスチックの現状と課題

海洋ゴミ問題によって、プラスチック問題が注目を集めるようになり、化粧品容器の分野でも生分解性プラスチックの導入が進んでいます。海外だけでなく、日本でも化粧品容器のメーカーが次々に生分解性プラスチックの採用を開始しています。 ただし、生分解性プラスチックには、まだ生分解を行う過程や条件を整えることに様々な課題があり、今も研究が続けられています。また、生分解性プラスチックの成形性やコストの高さにも課題があり、日々メーカーが採用や改善に向けて努力を続けている分野でもあります。

化粧品容器におけるリサイクル

化粧品容器におけるリサイクルも生分解性プラスチックと並んで注目を集めている分野です。 リサイクルの定義や用途、化粧品容器における現状と課題について説明します。

リサイクルの定義

リサイクルとは、人間が使ったものを回収して再度使うものにすることを指します。具体的には、一度使った紙・プラスチック・缶などを自治体や業者などが回収し、再度使える形にして使うことを言います。 日本ではリユース(再利用)・リデュース(削減)と並んで3Rの一つとされ、環境問題に対応する方法として消費者にも広く認知されています。

リサイクルされたプラスチックの主な用途

リサイクルされ製品に使用される分野として、下記3点が挙げられます。


  • 資料やメモに使われる紙や段ボール・牛乳パックなどがよくリサイクルに使われます。リサイクルした後は段ボールやトイレットペーパーとして使われることが多いです。
  • ペットボトル
    ペットボトルの回収も進んでおり、日本でも飲料のペットボトルがよくリサイクルに使われます。リサイクルした後も、ペットボトルとして使われることが多いですが、他にもフリースやネクタイなどに使う繊維となることもあります。
  • アルミ缶
    アルミ缶もよくリサイクルに使われます。リサイクルした後もアルミ缶として使われることが多いです。アルミは金属の中で一番リサイクルであるとも言われています。

他にも銅・鉄・ガラスなど様々な分野でそれぞれリサイクルがされています。

化粧品容器におけるリサイクルの現状と課題

海洋プラスチックの問題が大きくなるにつれ、化粧品容器でも注目度が高くなっています。近年日本でも様々な化粧品容器メーカーが、使い終わった容器の回収を始めており、ボトルからボトルへのリサイクルを始めている会社もあります。 ボトルだけでなく、詰め替え製品やポンプなどの部品についてもリサイクルの導入の検討が続けられています。 ただし、リサイクルの仕組みづくりやコストにはまだまだ課題があり、日本中に普及するには時間がかかりそうです。日本のみならず世界中で研究や普及が本格化している段階にあります。

生分解性プラスチックとリサイクルの関係性

生分解性プラスチックは、条件がよければ土や海に戻せるという利点がありますが、一方で下記のようなデメリットがあります。

生分解性プラスチックの生産に限りがある

生分解性プラスチックは一部トウモロコシなど食料から作られているものが多く、原料にも限りがあります。また、成形性の観点などから、プラスチックと比べると生産施設も限られるため、生産設備にも限りがあります。

生分解性プラスチックにはリサイクルに向かないものもある

諸説ありますが、生分解性プラスチックの中にはリサイクルに向かないものがある可能性も指摘されています。リサイクルは基本的に材質の近いものを集めた方がリサイクルしやすく、そこに石油由来の従来のプラスチックによる製品に生分解性プラスチックによる製品が混ざると、リサイクルの過程が複雑になる可能性があります。

このように生分解性プラスチックにはデメリットもあります。では、全てリサイクルをすればいいのかというと、そうともなりません。何故なら、リサイクルできるキャパシティーにも限度があり、リサイクルの過程でCO2や水などのエネルギーを使うからです。

基本的には、リユースやリデュースなどを通して使うプラスチックの量を減らした上で、それでも使われる資源について生分解性プラスチックの利用やリサイクルの導入を考えていく方法がいいとされています。

まとめ

当記事では生分解性プラスチックとリサイクルについて説明した後、その関係性についてご説明しました。

化粧品容器を扱う方々にとっても身近な話となっていますので、ぜひ当記事の知識を活かしていただけたら嬉しいです。

この記事を書いた人
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株式会社Cogane studio

Beaker media 編集部

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