最終更新:2024/08/08
化粧品のパッケージに記載する商品名と販売名の違い

とから、販売する際にはさまざまな法的規制に従うことが義務づけられています。化粧品の容器やパッケージに表示する内容に関しても、詳細なルールが定められており、ルールを正しく理解しなければパッケージを作成することはできません。
化粧品のパッケージへの表示義務事項はいくつもありますが、その中の1つに「販売名」があります。販売名という名称を聞くと、商品名とイコールであると思いがちですが、実際の商品においては販売名と商品名は異なることが多々あります。では、その意味するところの違いはどのような点にあるのでしょうか。
この記事では、化粧品の販売名と商品名の違いや、パッケージに販売名を表示する際のルールなど、化粧品の販売名について理解を深めるための情報をまとめています。関連する法令は改正されることがありますので、最新情報や詳細情報は必ず各省庁のホームページなどで確認してください。
化粧品の販売名とは
化粧品の販売名とは、「医薬品医療機器等法(薬機法)」に基づき承認された名称あるいは届出を行った名称のことを指します。
医薬部外品は、製造販売にあたり品目ごとに厚生労働大臣または都道府県知事の承認が必要であるため、承認を得るための手続きとして「医薬部外品製造販売承認申請書」を提出します。販売名はこの申請書内に記載する名称です。
一般の化粧品は、製造販売の承認申請は不要ですが、「化粧品製造販売届書」の提出による都道府県知事への届出が必要です。届出後、薬務課で販売名が適切かどうかのチェックが行われており、必要に応じて修正を指示されることがあります。
化粧品の商品名と販売名の違い
化粧品・医薬部外品において「商品名」と呼ばれるのは、一般的にメーカーが消費者にその商品の名前として認知させようとする名称のことで、CMや広告などでその商品を表す言葉として使われるものです。
一方、販売名は、前述のとおり法的な意味をもち、当局の承認を受けた名称、あるいは当局に届出を行った名称のことを言います。そのため、商品名と販売名は必ずしも同じとは限りません。
商品名と販売名が一致しない理由の1つには、販売名は申請あるいは届出を行う時点で決めておかなければならないのに対し、商品名は申請・届出後のマーケティングによる意思決定が反映されることが多いことが挙げられます。 商品名は消費者に商品を覚えてもらったり、興味を持たせたりするための大切な要素です。市場分析の結果や商品の訴求点を考慮した上で、時間をかけて決定されるべきものです。そのため、製造販売の申請や届出を行う段階では商品名が確定しておらず、商品名と同じ販売名をつけられないことがよくあるのです。
化粧品パッケージへの商品名・販売名の表示方法
販売名は、原則として化粧品が入っている直接の容器に表示しなければならないとされています(薬機法第61条)。
しかしながら、外箱などで覆うことで容器に書かれた表示が外から見えなくなる場合には、外側のパッケージにも同様に表示しなければならないと定められています。多くの場合、パッケージの外から中の容器に書かれた表示を見ることはできないので、パッケージにも販売名を記載することになります。
販売名の文字の大きさには規定があり、原則として7ポイント以上と決められています(化粧品の表示に関する公正競争規約第11条)。
一方、商品名の表示方法には規定はありません。化粧品の商品名と販売名が異なる場合には、販売名がどちらなのかわかりやすいよう、多くの場合「販売名:〇〇」などの書き方で販売名を表示します。
参考: 医薬品・医療機器 |厚生労働省 (mhlw.go.jp) 化粧品の表示に関する公正競争規約-化粧品公正取引協議会 (cftc.jp)
化粧品の販売名に関するルール
それでは、ここからは販売名のつけ方に関するさまざまなルールについて紹介します。ここで取り上げるルールは、「医薬品医療機器等法」「化粧品の表示に関する公正競争規約」「厚生労働省通知」などに基づくものです。
- 虚偽・誇大表現の禁止
- 医薬品・医薬部外品と誤解される名称の禁止
- 成分名称を含む販売名の制限
- その他の規制
ここで紹介するのは販売名のつけ方についてのルールですが、商品名も原則としてこれらのルールに沿っていなければならないと考えておく必要があります。
虚偽・誇大表現の禁止
薬機法では、化粧品の虚偽広告や誇大広告を禁止しており、販売名もこのルールに従ってつけられなくてはなりません。虚偽誇大広告の具体的な解釈は、医薬品等適正広告基準に定められています。 販売名に特に関わりの深い禁止・制限事項には例として以下が挙げられます。
- 効果効能等または安全性の保証表現の禁止 NG例:「すべての方の肌を潤す〇〇化粧水」
- 効能効果等または安全性の最大級表現の禁止 NG例:「最高級〇〇クリーム」
- 効能効果表現の制限 化粧品や医薬部外品は、それぞれ表現できる効能効果の範囲が具体的に定められているため、その範囲を逸脱する表現を含む販売名をつけることはできません。
医薬品・医薬部外品と誤解される名称の禁止
消費者が一般の化粧品を医薬品や医薬部外品と混同することを防ぐため、厚生労働省通知(平成17年3月31日付 薬食審査発第0331015号)では以下のことが決められています。
- 化粧品に、既存の医薬品及び医薬部外品と同一の販売名を用いてはいけない
- 化粧品に、医薬品又は医薬部外品とまぎらわしい販売名を用いてはいけない
「医薬品又は医薬部外品とまぎらわしい名称」については、「〇〇薬」のように明らかに誤解を招く名前だけでなく、「ニキビ〇〇」や「アレルギー〇〇」などもNG例に含まれています。
成分名称を含む販売名の制限
原則として、化粧品には配合されている特定の成分名称を販売名に使ってはいけないとされています(厚生労働省通知(平成17年3月31日付 薬食審査発第0331015号))。しかし、化粧品の表示に関する公正競争規約では、施行規則で定めるものに関してのみ、例外として成分名称の使用が認められています。
例外として認められるケースは以下の通りです。詳細は化粧品の表示に関する公正競争規約施行規則を参照してください。
- 香水・オーデコロンなどの香りを主目的とするものに香料名を用いる場合
- 口紅・爪化粧品などの色調を主目的とするものに色調名を表す名称を用いる場合
- 香料を配合成分とするものに当該香料名を用いる場合(当該香料を配合していることを販売名に併記する必要あり)
- 配合成分の配合量が基準に達するものに当該配合成分名を用いる場合(オリーブ油、椿油に関する例外規定)
- その他公正取引協議会が認めたもの
その他の規制
化粧品の販売名のつけ方に関しては、上記のほかにも以下のようなルールがあります。
- 異なった処方の製品に同一の販売名をつけてはいけない(例外規定あり)
- ローマ字のみの名称をつけてはいけない
- アルファベット、数字、記号などはできるだけ少なくする
- 剤型と異なる名称を用いない(例:クリーム状の商品に「〇〇ミスト」という販売名はつけられない)
- 他社が商標権を有することが明白な名称を用いない
- 化粧品の表示に関する公正競争規約に抵触するものを用いない
参考: 厚生労働省「医薬品等の広告規制について」 厚生労働省通知(平成17年3月31日 薬食審査発第0331015号) 化粧品の表示に関する公正競争規約-化粧品公正取引協議会 (cftc.jp) 化粧品の表示に関する公正競争規約施行規則-化粧品公正取引協議会 (cftc.jp)
化粧品の商品名と販売名 パッケージに正しく表示しよう
この記事では、化粧品の商品名と販売名は違うものなのか、という疑問に答えながら、販売名の表示方法やつけ方のルールについてご紹介しました。法令に従った販売名をつけ、正しく表示しなければ、化粧品を販売することはできません。 規制の内容を遵守し、かつ消費者への訴求力も合わせ持つ販売名や商品名を商品につけることができるよう、まずは定められたルールをよく理解するようにしましょう。
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