最終更新:2024/07/17
エステサロンに関する薬機法 広告表現で「脱毛」はOK?
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本記事では、医療脱毛とエステ脱毛の違い、エステサロンの広告表現において「脱毛」が謳えるのかについて考えます。
医療脱毛とエステ脱毛の違い
医療脱毛とは、医師や看護師といった医療行為ができる資格者が、医療用のレーザー脱毛器を使用して行う脱毛施術です。毛乳頭、皮脂腺開口部等を破壊することで毛が生えるのを抑制します。 一方、エステ脱毛は、医療従事者の資格を持たないエステティシャンが行うことのできる施術で、光脱毛機を使用します。毛根を破壊するのではなく、ダメージを与え脱毛を促します。
医療脱毛は施術回数も少なく、永久的な脱毛効果を得られます。エステ脱毛では、施術回数も多く効果は一時的な減耗となります。
近年、医師免許を有しないものが行なった脱毛行為等が原因となり、被害が生じたという事例が報告されています。それに伴い平成13年に「医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて」という通知が出されました。 その中で、脱毛行為と医師法との関わりについて下記のように記載されています。
第1 脱毛行為等に対する医師法の適用 以下に示す行為は、医師が行うのでなければ保健衛生上危害の生ずるおそれのある行為であり、医師免許を有しない者が業として行えば医師法第17条に違反すること。 (1) 用いる機器が医療用であるか否かを問わず、レーザー光線又はその他の強力なエネルギーを有する光線を毛根部分に照射し、毛乳頭、皮脂腺開口部等を破壊する行為 (2) 針先に色素を付けながら、皮膚の表面に墨等の色素を入れる行為 (3) 酸等の化学薬品を皮膚に塗布して、しわ、しみ等に対して表皮剥離を行う行為 第2 違反行為に対する指導等 違反行為に関する情報に接した際には、実態を調査した上、行為の速やかな停止を勧告するなど必要な指導を行うほか、指導を行っても改善がみられないなど、悪質な場合においては、刑事訴訟法第239条の規定に基づく告発を念頭に置きつつ、警察と適切な連携を図られたいこと。
上記のように、レーザー光線を使用した脱毛行為は医師法が適用され、免許を持たない者が生業として行うと医師法第17条に違反します。
第十七条 医師でなければ、医業をなしてはならない。
出典:医師法
また、この問題を受け、日本エステティック振興協議会は、美容ライト脱毛について下記のように自主規制を設けました。
1) 上記通知に抵触しない為に、エステティックサロンで行う美容ライト脱毛は、除毛・減毛の範囲とすること。 2)美容ライト脱毛機器については、日本エステティック工業会が 2007 年より実施している 「美容ライト脱毛機器適合審査」に適合し安全性が確保された機器を使用すること。 3) 技術者については、美容ライト脱毛の知識・技術はもとより、エステティックの基礎を習得した技術者が行うこと。
以上より、医療脱毛では永久的な脱毛を目的とし、レーザー照射による施術を行うものであることに対し、エステ脱毛は一時的な除毛や減毛を目的に、光脱毛器による施術を行うものであることがわかります。
エステサロンと薬機法
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法、薬機法)の目的について、下記のように示されています。
(目的) 第一条 この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品(以下「医薬品等」という。)の品質、有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止のために必要な規制を行うとともに、指定薬物の規制に関する措置を講ずるほか、医療上特にその必要性が高い医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする。
出典:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
薬機法は上記のように、医薬品等のものに対する法律であり、エステサロンにおける施術やサービスに対して規制は行っていません。 医療脱毛は医療機関で医師が行うので、施術中、施術後の肌トラブル等に対し、医療用医薬品を処方することができます。 しかし、エステ脱毛を行うエステサロンは医療機関ではないため、医療用医薬品を使用すると薬機法に抵触する恐れがあります。
エステ脱毛と景品表示法
エステサロンの広告で注意するべき法律には「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」も含まれます。 消費者庁ホームページでは景品表示法について下記のように説明されています。
景品表示法は、正式には、不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)といいます。消費者なら、誰もがより良い商品やサービスを求めます。ところが、実際より良く見せかける表示が行われたり、過大な景品付き販売が行われると、それらにつられて消費者が実際には質の良くない商品やサービスを買ってしまい不利益を被るおそれがあります。景品表示法は、商品やサービスの品質、内容、価格等を偽って表示を行うことを厳しく規制するとともに、過大な景品類の提供を防ぐために景品類の最高額を制限することなどにより、消費者のみなさんがより良い商品やサービスを自主的かつ合理的に選べる環境を守ります。
出典:景品表示法 | 消費者庁
景品表示法では、エステサロンの広告表示に限りませんが、様々な商品やサービスに関する表示について規制を行っています。特に注意すべきである不当な表示に関して下記のように記載されています。
第五条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。 一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの 二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの 三 前二号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認めて内閣総理大臣が指定するもの
景品表示法第五条第一号では、優良誤認表示が禁止されています。 事業者が自己が提供するサービスや商品の品質や規格、その他の内容に関して、消費者に対し、「実際のものより著しく優良であると示すもの」、「事実に相違して競争関係にある事業者に係るものよりも著しく優良であると示すもの」であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示を禁止しています。
また、第二号では、有利誤認表示が禁止されています。 事業者が、自己の供給する商品・サービスについて、価格やその他の取引条件に関して、消費者に対し、「実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるもの」、「競争事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるもの」であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示を禁止しています。
エステサロンの広告表現で「脱毛」は使える?
上記で示したように、医療脱毛とエステ脱毛は、目的が永久脱毛か除毛・減毛かで異なります。 従って、エステサロンで行われる脱毛=エステ脱毛の広告表現において、「永久脱毛」や「毛乳頭・皮脂腺開口部等を破壊する」などの医療脱毛的な記載を行うと、景品表示法における不当表示に該当する恐れがあります。
また、単に「脱毛」と表現すると、医療脱毛かエステ脱毛かの区別はつかないので、エステサロンでの広告では、「エステ脱毛」、「美容ライト脱毛」、「光脱毛」など医療脱毛ではないことが明確にわかる表現が望ましいと考えられます。
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