最終更新:2024/07/04
「黒ずみ」は広告で表現できる?化粧品に関する薬機法と景表法
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「黒ずみ」は、化粧品の広告で表現できるのでしょうか。
黒ずみは、摩擦・炎症によるメラニン色素の沈着や、毛穴の汚れや開きによって発生します。
顔だけでなく、ワキや膝など身体の様々な部分にできる可能性があり、悩んでいる人も多い肌トラブルです。
この記事では、「黒ずみ」に関する化粧品の広告表現について、薬機法に基づいて解説しています。
肌や毛穴の「黒ずみ」に関する化粧品広告の制作の際に、ぜひ参考にしてみてください。
「肌の黒ずみ」「毛穴の黒ずみ」は薬機法違反?
「肌の黒ずみ」「毛穴の黒ずみ」を広告で表現することは、薬機法違反とはならない可能性が高いです。
薬機法では、化粧品や医薬部外品などにおける誇大・虚偽広告を規制しています。
(誇大広告等) 第六十六条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。 2 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。
出典:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
化粧品や医薬部外品の広告では、効果や効能に関する虚偽・誇大広告は違反となりますが、「肌の黒ずみ」「毛穴の黒ずみ」は肌への効果ではなく、肌の状態です。
効果効能ではないので、化粧品の広告で表現することは可能であると考えられます。
化粧品の違反例
- 肌の黒ずみが治る
- 毛穴の黒ずみが消える
- 色素沈着を防ぐ
- 肌が白くなる
- くすみが消える
- ニキビ痕、炎症痕の黒ずみに効く
薬機法では、化粧品広告で使用できる効果効能の表現について、56の表現が決められています。
化粧品等の適正広告ガイドラインによると、56の効果効能の中で肌に関係する表現は、以下の通りです。
(17)(汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする。 (18)(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)。 (19)肌を整える。 (20)肌のキメを整える。 (21)皮膚をすこやかに保つ。 (22)肌荒れを防ぐ。 (23)肌をひきしめる。 (24)皮膚にうるおいを与える。 (25)皮膚の水分、油分を補い保つ。 (26)皮膚の柔軟性を保つ。 (27)皮膚を保護する。 (28)皮膚の乾燥を防ぐ。 (29)肌を柔らげる。 (30)肌にはりを与える。 (31)肌にツヤを与える。 (32)肌を滑らかにする。
認められた効果の中には、肌・毛穴の黒ずみへの効果や、美白の効果はありません。
化粧品の広告において「肌の黒ずみが治る」「毛穴の黒ずみが消える」「ニキビ痕、炎症痕の黒ずみに効く」などの医薬品的な治癒表現は、誇大広告となり薬機法違反です。
黒ずみの原因は肌の色素沈着ですが、「色素沈着を防ぐ」という表現も認められていません。
「肌が白くなる」などの美白に関する表現についても、化粧品の広告では薬機法違反です。
「黒ずみ」に似た表現に「くすみ」という表現があります。
くすみの場合は、くすみを消す効果を謳うことはできませんが、メーキャップ効果でくすみをカバーする表現は使用可能です。
使用が認められる表現
色素沈着による「肌の黒ずみ」や「くすみ」は、紫外線や炎症によって過剰に分泌されたメラニン色素が肌に沈着することで起こります。
メラニン色素の沈着を防ぐためには、乾燥対策が重要です。
「毛穴の黒ずみ」に関しては、皮脂や汚れが角栓となり、毛穴に詰まっていることが原因の場合もあります。
化粧品広告で認められている表現の中で、乾燥対策や毛穴の洗浄に関して使用できる効果効能の表現は、以下の通りです。
- 皮膚の乾燥を防ぐ
- 皮膚にうるおいを与える
- 皮膚の水分、油分を補い保つ
- (汚れを落とすことで)皮膚を洗浄する
黒ずみを消す表現はできませんが、黒ずみの原因が乾燥であることを説明して、乾燥を防ぐ効果について謳うことは可能です。
汚れを落として皮膚を洗浄する効果は認められています。洗顔料やクレンジングで、黒ずみの汚れを落とすという意味の表現は可能です。
医薬部外品の薬用化粧品においては、承認を受けた効果効能に対する美白表現は可能となっています。
ただし、薬用化粧品を使っているうちに、段々と肌が白くなるような表現はできません。
「化粧品等の適正広告ガイドライン」では、美白に関する表現について、以下のように記載されています。
- 承認を受けた効能効果に対応した薬用化粧品の美白表現 (1) 認められる表現の範囲と具体例 a) 承認を受けた効能効果に対応して「美白」「ホワイトニング」を表現する場合。 「美白」「ホワイトニング」等を表現する場合は、承認を受けた効能効果「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」、又は「日やけによるしみ・そばかすを防ぐ」を記載すること。 ・「この美白化粧品はメラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぎます」 ・「美白*」 「 * メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」 〔解説〕 承認された効能効果が「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」の場合の説明表現は「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」を、承認された効能効果が「日やけによるしみ・そばかすを防ぐ」の場合の説明表現は「メラニンの生成を抑え、日やけによるしみ・そばかすを防ぐ」を用いる。
あくまで商品を受けた薬用化粧品のみで、化粧品の広告には使用できないので注意しましょう。
くすみに関しては、乾燥や汚れによるものであることを示していれば「くすみ」表現は可能です。
ただし、くすんで見える要因を以下のように明確にし、化粧品の効能効果の範囲を逸脱し ない「くすみ」表現は可能である。 ① 汚れの蓄積によるもの ② 乾燥によるもの ③ 古い角質層によるもの [認められる表現の例] a)乾燥などにより、肌の明度が一時的に低下し暗く見える状態 ・乾燥によってくすんでみえる肌にうるおいを与え明るい印象へ導く ・くすみのもとになる古い角質層による汚れを洗い流す。 b)メーキャップ効果によるもの ・くすんだ肌を明るい肌へ仕上げるファンデーション ・気になるくすみをメークでカバー
言い換え表現(参考)
- 肌の黒ずみが治る・毛穴の黒ずみが消える→乾燥による黒ずみが気になる肌にうるおいを与えて明るい印象に
- 肌が白くなる→美白*「*メラニンの生成を抑え、日焼けによるしみ、そばかすを防ぐ」(薬用化粧品)
- くすみが消える→・乾燥によってくすんでみえる肌にうるおいを与え明るい印象へ導く
景表法にも注意
景表法は、全ての商品・サービスにおいて、不当な表示や景品を取り締まる法律です。
肌や毛穴の黒ずみに関する化粧品や医薬部外品だけでなく、美顔器などの美容雑貨も景表法の規制対象となっています。
自社の製品をより良く見せようとすることや、実際は消費者が損をするのに得をするような書き方をするなど、消費者を騙すようなことは景表法違反です。
化粧品の広告を制作する際には、薬機法だけでなく景表法にも注意して進めていきましょう。
まとめ
「黒ずみ」という言葉自体は薬機法違反ではありませんが、黒ずみが消えるなどの効果を謳うと、薬機法違反となります。
薬機法でも化粧品等の適正広告ガイドラインでも、「黒ずみ」という言葉についての詳細は明記されていません。
黒ずみについて直接謳うのではなく、化粧品で認められている56の表現を使いながら、黒ずみにも効果がありそうな表現に留めておきましょう。
※違反事例、言い換え表現についてはあくまで参考として捉えてください。表現の違反等の判断については最新の情報を常にアップデートして頂くことが大切です。また、各都道府県の薬務課によって見解が異なりますので、ご理解頂きますよう宜しくお願い致します。
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