表示名称成分詳細
アオノクマタケラン葉/茎水
成分番号(JP number): 564181
- INCI
- ALPINIA INTERMEDIA LEAF/STEM WATER
- 定義(Description)
- 本品は、アオノクマタケラン Alpinia intermedia の葉及び茎を水蒸気蒸留して得られる水相である。Alpinia Intermedia Leaf/Stem Water is the aqueous solution obtained from the steam distillates of the leaves and stems of Alpinia intermedia, Zingiberaceae.
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
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- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
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- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- CAS No.
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- EC No.
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- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
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原料情報
アオノクマタケラン葉/茎水 / ALPINIA INTERMEDIA LEAF/STEM WATER
アオノクマタケラン葉/茎水とは
アオノクマタケラン葉/茎水は、ショウガ科植物のアオノクマタケラン(学名:Alpinia intermedia)の葉及び茎から得られる抽出物です。
化粧品成分表示名称は「アオノクマタケラン葉/茎水」となっています。
成分番号は564181、INCI名はAlpinia Intermedia Leaf/Stem Waterとされています(1)。
抽出溶媒としては、水、エタノール、BG、またはこれらの混合液が用いられます。
外観は液体ですが、色や匂いなどの詳細は不明です。
アオノクマタケランは青野熊竹蘭とも記載され、原産地は日本や中国、台湾などであり、日本では紀伊半島や伊豆諸島、四国、九州、沖縄などに分布しており、湿った林下で生育しています(2,3)。
開花期は6月から8月頃であり、花はクマタケラン(熊竹蘭)に比べて赤みがやや薄く、白色の唇弁に淡紅色の線が入っているのが特徴です(4)。
果実は無毛で直径1cm程度の赤い球形であり、果実の中に種子が入っています(4)。
天然成分であるため、国や地域・気候・栽培法・収穫時期や抽出条件の違いにより成分比率に差が見られることがありますが、一般的に含まれる成分は以下の通りです。
アオノクマタケラン葉/茎水の成分
- モノテルペン(β-ピネン、カンフェン、m-シメン、リモネン)
働きと用途
β-ピネンはNC/Tndマウス(アトピー性皮膚炎モデルマウス)のかゆみに伴う引っかき頻度・期間を減少させ、PAM212細胞においてアレルギー性炎症のトリガーとして知られるTslpのmRNA発現を抑制することが報告されており、アレルギー症状の改善作用を有することが示唆されています(5)。
また、アオノクマタケラン葉/茎水には以下の作用が報告されています。
Tslp mRNA発現抑制及びマスト細胞脱顆粒抑制によるアレルギー改善作用
Amagai氏らの報告によると、PAM212細胞を用いた試験において、アオノクマタケラン葉/茎水がLTA(※1)で誘導したTslp(※2)のmRNA発現を抑制したことが確認されています(5)。
※1 LTA(リポタイコ酸)はToll‐like receptor 2のリガンドであり、血管透過性及びそれに伴う皮膚炎症を亢進させることが知られています(6)。
※2 Tslpは上皮で産生されるサイトカインであり、アレルギー性炎症の誘導因子として知られています(7)。
また、NC/Tndマウス(※3)由来の骨髄由来培養マスト細胞において、アオノクマタケラン葉/茎水が脱顆粒を抑制したことが確認されています(5)。
※3 NC/Tndマウスはアトピー性皮膚炎のモデルマウスとして知られるマウスです(8)。
これらのことから、アオノクマタケラン葉/茎水がTslp mRNA発現抑制作用、及びマスト細胞脱顆粒抑制作用を有することが示唆されており、アレルギーの改善に有効であると考えられています。
さらに、NC/Tndマウスにおいてアオノクマタケラン葉/茎水が炎症に伴う引っかき回数・期間を減少させたことが確認されており、in vivoモデルで有効性があることが示唆されています(5)。
TEWL低下及び皮膚表層pH上昇抑制による皮膚バリア機能向上作用
グレイ美術の報告によると、皮膚疾患のない6名を対象にした使用効果試験において、アオノクマタケラン葉/茎水がセロハンテープ着脱に伴うTEWL(経皮水分蒸散量)を低下させ、皮膚表層のpH上昇を抑制したことが確認されています(9)。
このことから、アオノクマタケラン葉/茎水がTEWLを低下させ、皮膚表層pH上昇を抑制する作用を有することが示唆されており、皮膚バリア機能の向上に有効であると考えられています。
安全性について
現時点でアオノクマタケラン葉/茎水の眼刺激性、皮膚刺激・感作性の有無に関する報告は確認できていません。そのため、更なる検討が必要だと考えられています。
参考文献
(1) Cosmetic-Info.jp「アオノクマタケラン葉/茎水」
(2) EVERGREEN「アオノクマタケラン」
(3) 熊本大学薬学部 薬草園「アオノクマタケラン」植物データベース
(4) 薬草と花紀行のホームページ「アオノクマタケラン(青ノ熊竹蘭)」
(5) Amagai, et al(2017)「Amelioration of atopic‐like skin conditions in NC/Tnd mice by topical application with distilled Alpinia intermedia Gagnep extracts」The Journal of Dermatology(44)(11),1238-1247
(6) Fujii, et al(1998)「エンドトキシンおよびリポタイコ酸によるマウス皮膚炎症反応の比較」臨床薬理(29)(1-2),137-138
(7) Soumelis, et al(2002)「Human epithelial cells trigger dendritic cell–mediated allergic inflammation by producing TSLP」nature immunology(3),673-680
(8) Matsuda, et al(1997)「Development of atopic dermatitis-like skin lesion with IgE hyperproduction in NC/Nga mice」International Immunology(9)(3),461-466
(9) グレイ美術(2016)「アオノクマタケラン由来成分を含有する組成物」特開2016-204338
アオノクマタケラン葉/茎水の配合目的
- Tslp mRNA発現抑制及びマスト細胞脱顆粒抑制によるアレルギー改善作用(5)
- TEWL低下及び皮膚表層pH上昇抑制による皮膚バリア機能向上作用(9)
アオノクマタケラン葉/茎水の安全性情報
なし
日本語論文
アオノクマタケラン圧搾蒸留抽出物によるNC/Tndマウスのアトピー性皮膚炎改善効果 (研究者の最新動向)
田中 あかね
Precision medicine = プレシジョンメディシン 3(1), 67-73, 2020-01
永友 雄
鹿児島大学農学部学術報告 (13), ????, 1963-03
日本彦Alpinia属植物種子の化學的研究 (第七報):アオノクマタケラン種子の成分 (其二) Alpinetinの構造に就て
木村 雄四郎
藥學雜誌 60(2), 151-155, 1940
日本産Alpinia属植物種子の化學的研究 (第六報):アオノクマタケラン種子の成分 (其一) 精油成分に就て
木村 雄四郎
藥學雜誌 60(2), 145-151, 1940
英語論文
Chen LG, Su PJ, Tsai PW, Yang LL, Wang CC.Planta Med. 2017 Jan;83(1-02):151-157. doi: 10.1055/s-0042-109779. Epub 2016 Jun 28.PMID: 27352383
Amagai Y, Katsuta C, Nomura Y, Oida K, Matsuda K, Jang H, Ahn G, Hamasaki T, Matsuda H, Tanaka A.J Dermatol. 2017 Nov;44(11):1238-1247. doi: 10.1111/1346-8138.13995. Epub 2017 Aug 16.PMID: 28815692 Free PMC article.
Li X, Fan T, Zou P, Zhang W, Wu X, Zhang Y, Liao J.Evodevo. 2020 Jun 9;11:12. doi: 10.1186/s13227-020-00157-8. eCollection 2020.PMID: 32537122 Free PMC article.