表示名称成分詳細
アカマツ根エキス
成分番号(JP number): 562406
- INCI
- PINUS DENSIFLORA ROOT EXTRACT
- 定義(Description)
- 本品は、アカマツ Pinus densiflora の根のエキスである。Pinus Densiflora Root Extract is the extract of the roots of Pinus densiflora, Pinaceae
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 소나무뿌리추출물
- CAS No.
- 92202-05-06
- EC No.
- 296-037-7
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
-
原料情報
アカマツ根エキス / PINUS DENSIFLORA ROOT EXTRACT
アカマツ根エキスとは
アカマツ根エキスはマツ科マツ属の常緑高木針葉樹であるアカマツ(学名:Pinus densiflora)の根から抽出されたエキスです(1,2)。
なお、化粧品成分表示名称は「アカマツ根エキス」であり、成分番号は562406、INCI名はPinus Densiflora Root Extractとされています(1)。
原料となるアカマツは日本をはじめ、朝鮮半島や中国東北部など広く分布していることで知られており、屋久島が天然分布の南限地となっています(2)。
その樹皮は赤褐色または黄褐色をしていることが特徴であり、それが和名であるアカマツの由来となっていると言われています(2)。 葉は淡黄緑色を呈し、針状で細長く、球果は卵状円錐形で淡黄褐色をしています(2)。
また、アカマツは木材として建築材や土木用材などに利用されるだけではなく、木毛はパルプとして利用され、木からは松脂、葉からは香料や強壮剤の原料、根からはテレビン油やタールを採取できることでも知られています(2)。
さらに高級食材である松茸はアカマツの密集している林に生えることでも知られており、食品分野においても伝統的に利用されています(3)。
働きと用途
アカマツ根エキスの配合目的はヘアコンディショニング剤と皮膚コンディショニング剤(未分類)となっており、以下の作用があると考えられます(4)。
ヘアコンディショニング作用
毛髪の外観や感触、なめらかさ(櫛通りの良さ)、潤い、光の反射(ツヤ感)、扱いやすさを向上させるために用いられる成分をヘアコンディショニング成分と言います(5,6,7)。
現時点では配合されている市販化粧品は確認できませんが、アカマツ根エキスの配合目的はヘアコンディショニング剤となっており、ヘアコンディショニングに関わる作用を有すると考えられます(4)。
皮膚コンディショニング作用
皮膚コンディショニング剤(未分類)とは皮膚に機能的効果をもたらすために用いられる物質あるいは成分と定義されています(8)。
皮膚コンディショニング剤(未分類)の定義にある皮膚の機能的な効果には主にバリア改善作用、抗炎症・抗アレルギー作用、抗酸化作用、細胞賦活作用、美白作用、抗老化作用など様々なものがあります。
実際の分類では天然保湿因子(NMF:natural Moisturizing Factor)を補って保湿作用をもつ成分も皮膚コンディショニング剤(未分類)に分類されていることもあり、基本的には保湿も含む機能的な効果をもたらす成分全般を指していると考えられています。
現時点では配合されている市販化粧品は確認できませんが、アカマツ根エキスの配合目的は皮膚コンディショニング剤(未分類)となっており、皮膚コンディショニングに関わる作用を有すると考えられます(4)。
安全性について
アカマツ根エキスはアカマツ由来の天然のエキスです(1)。
また、現時点では安全性に関する重大な報告も見当たらず、化粧品配合量および通常使用下において一般的な使用であれば安全性に問題の無い成分であると考えられています。
但し、植物が原料となっていることからアレルギーを発症する可能性があり、念のため使用前にパッチテストを行うなど注意が必要です。
参考文献
(1)化粧品の成分表示名称リスト | 日本化粧品工業連合会 (jcia.org),https://www.jcia.org/user/business/ingredients/namelist 2022年1月6日アクセス.
(2)森林総合研究所 九州支所/アカマツ (affrc.go.jp),https://www.ffpri.affrc.go.jp/kys/business/jumokuen/jumoku/zukan/akamatu.html 2022年1月6日アクセス.
(3)農山村支援センター jirei201.pdf (nousanson.jp),http://nousanson.jp/satoyama/wp-content/uploads/2013/04/jirei201.pdf 2022年1月6日アクセス.
(4)アカマツ根エキス(化粧品):Cosmetic-Info.jp,https://www.cosmetic-info.jp/jcln/detail.php?id=10730 2022年1月6日アクセス.
(5)日本化粧品工業連合会(2013)「ヘアコンディショニング剤」日本化粧品成分表示名称事典 第3版付録,726-735.
(6)藤原 延規(2001)「コンディショニング・整髪剤」化粧品の有用性-評価技術の進歩と将来展望,374-383.
(7)デール・H・ジョンソン(2011)「毛髪のコンディショニング」ヘアケアサイエンス入門,77-122.
(8)日本化粧品工業連合会(2013)「皮膚コンディショニング剤(未分類)」日本化粧品成分表示名称事典 第3版付録,692-715.
アカマツ根エキスの配合目的
- ヘアコンディショニング作用
- 皮膚コンディショニング作用
アカマツ根エキスの安全性情報
なし
日本語論文
P-67 クマザサ・アカマツ葉・ニンジンエキス配合剤によるラット培養血管平滑筋細胞の増殖抑制作用
杉原 義享 , 是永 壮史 , 小屋 佐久次 , 恒枝 宏史 , 木村 郁子
和漢医薬学雑誌 18(supplement), 113, 2001
生薬製剤「松寿仙」及びその構成生薬のin vitroにおけるマクロファージ活性に及ぼす影響
富岡 秀雄 , 小屋 佐久次 , 佐竹 史明 , 中村 正 , 倉茂 達徳
北関東医学 50(6), 523-528, 2000
針葉樹エキスで人も自家用畑も健康--スギ・アカマツ・アスナロ・クマザサの青葉アルコールを生かす (わが家畑を病害虫からこの手で守る)
佐藤 明男
現代農業 78(6), 334-337, 1999-06
混合アレルゲンエキス及び構成アレルゲンエキス皮内反応の相互関係
石崎 達 [他] , 伊藤 幸治 , 梶野 宗幹
英語論文
An allelopathic substance in red pine needles (Pinus densiflora).
Kato-Noguchi H, Fushimi Y, Shigemori H.J Plant Physiol. 2009 Mar 1;166(4):442-6. doi: 10.1016/j.jplph.2008.06.012. Epub 2008 Aug 27.PMID: 18755523
Yagame T, Orihara T, Selosse MA, Yamato M, Iwase K.New Phytol. 2012 Jan;193(1):178-187. doi: 10.1111/j.1469-8137.2011.03896.x. Epub 2011 Oct 13.PMID: 21995447 Free article.
Liu Y, Ponpandian LN, Kim H, Jeon J, Hwang BS, Lee SK, Park SC, Bae H.Sci Rep. 2019 Aug 28;9(1):12461. doi: 10.1038/s41598-019-48739-4.PMID: 31462658 Free PMC article.
Ponpandian LN, Rim SO, Shanmugam G, Jeon J, Park YH, Lee SK, Bae H.Sci Rep. 2019 Aug 28;9(1):12457. doi: 10.1038/s41598-019-48745-6.PMID: 31462655 Free PMC article.
Oh HW, Yun CS, Jeon JH, Kim JA, Park DS, Ryu HW, Oh SR, Song HH, Shin Y, Jung CS, Shin SW.J Chem Ecol. 2017 Jul;43(7):703-711. doi: 10.1007/s10886-017-0861-9. Epub 2017 Jul 3.PMID: 28674826
Saprobic potential of Tricholoma matsutake: growth over pine bark treated with surfactants.
Vaario LM, Guerin-Laguette A, Matsushita N, Suzuki K, Lapeyrie F.Mycorrhiza. 2002 Feb;12(1):1-5. doi: 10.1007/s00572-001-0144-7.PMID: 11968941
Kuribara H, Iwata H, Tomioka H, Takahashi R, Goto K, Murohashi N, Koya S.Phytother Res. 2001 Mar;15(2):142-7. doi: 10.1002/ptr.698.PMID: 11268115