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表示名称成分詳細

カニナバラ果実油

成分番号(JP number): 560870

INCI
ROSA CANINA FRUIT OIL
定義(Description)
本品は、カニナバラ Rosa canina の果実から得られる油である。Rosa Canina Fruit Oil is an oil from the Hip Rose, Rosa canina L., Rosaceae
日本の規制情報(Japanese regulation information)
中文inci(CN/中国名称)
狗牙蔷薇(ROSA CANINA)果油
中国の規制情報(Chinese regulation information)
【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): 27.24, Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 5
韓国inci(KR/ハングル/성분명)
로즈힙열매오일
CAS No.
84696-47-9/84603-93-0
EC No.
283-652-0/-
EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)

原料情報

カニナバラ果実油 / ROSA CANINA FRUIT OIL

カニナバラ果実油とは

カニナバラ果実油とは、化学構造にグリセリンと高級脂肪酸とのトリグリセリドを主成分とする、植物性油脂です。

化粧品成分としては、油脂性成分としてベース成分、またエモリエント作用、感触改良作用を目的に使用されます。

カニナバラ果実油は、化粧品成分表示名称として新しく定められた名前であり、旧名称はローズヒップ油として定められていました。

現在でも医薬部外品表示名称ではローズヒップ油として定められ、慣用名としてローズヒップオイルと呼ばれています。

原料となる植物は、南米、ヨーロッパ、西アジアの野生に生育するバラの一種である、バラ科植物カニナバラ(学名:Rosa canina 英名:dog rose)です。

カニナバラの種子を圧搾して、得られる油脂です。

植物油は植物の種類、産地、部位、圧搾方法等により成分が変化するといわれています。

ですが、主要な脂肪酸成分と割合はわかってきています。

リノール酸:47.9ー54.41%、リノレン酸:16.42-21.8%、オレイン酸:14.71ー21.7%

ヨウ素価:170-190

ヨウ素価から「乾性油」に分類されます。

カニナバラ果実油の脂肪酸は、二重結合が2つ以上の不飽和脂肪酸であるリノール酸およびリノレン酸の含有量が多く、酸化安定性は低い植物性油脂です(2)(3)。

常温で液体のため、カニナバラ果実「油」という表記になっています。

リノール酸、リノレン酸を多く含むことで、細胞組織への賦活化作用が期待され、小じわ予防、シミ予防を期待されて使用されることもあります(1)。

カニバラの果実にはビタミンCが豊富に含まれており、食用としても風邪を引いたときに効果があるとされてきました(1)。

また、ビタミンC、脂肪酸以外にもレチノイン酸(ビタミンA酸)が多く含まれており、天然の美白成分ともいわれています(2)。

化粧品製品としては、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ化粧品、リップ製品、ネイル製品などに幅広く使用されます。

エモリエント作用

展延性を活かして、皮膚表面へ広がることで角質層を閉塞させ、角質層からの水分蒸発作用を抑制します。

水分蒸発を抑制することで、角質層の潤いを維持し、肌の柔軟性、光沢、柔らかさを与えてくれます。

カニナバラ果実油は、油脂として酸化安定性が低いため、酸化安定性の高い油脂と混合して、安定性を高める製品設計をすることも多くなっています。

ベース成分

化粧品のベース成分としては水性成分、油性成分、界面活性剤、顔料・粉体成分のうち、油性成分として使用され、角質層からの水分蒸発抑制作用であるエモリエント作用を目的に使用されます。

メラニン生成抑制作用

カニナバラ果実油に含まれているリノレン酸、リノール酸の作用で、メラニン生成に関わるチロシナーゼという酵素を抑制することが確認されています。

その他

カニナバラ果実油にはレチノイン酸が多く含まれています。

レチノイン酸の効果は多岐にわたり、皮膚の保湿性を高めコラーゲンの生成を促進する機能や、乱れたターンオーバー(表皮細胞の代謝サイクル)を正常にする働き、表皮のヒアルロン酸生成を促進する作用があるといわれています(4)。

その他にも、トリグリセリドやレチノイン酸が総合的に関係し、炎症性皮膚疾患に対する経口脂溶性ビタミンとの併用による、抗炎症・抗酸化作用の効果が示唆されています(5)。

安全性

カニナバラ果実油は10年以上の使用実績があり、医薬部外品原料規格に記載されています。

一般的な使用であれば、安全性は高いといわれています。

皮膚刺激性に関してほとんど刺激がないとの結果や、皮膚感作性に関してもアレルギーはないとの実験結果が報告されています(3)。

眼刺激性に関しては、詳細な調査を行った実験データは見当たりません。

参考文献

(1)  鈴木一成.「化粧品成分用語事典」2012. (2012). 日本: 中央書院.p2

(2)あたらしいアロマテラピー事典: おもしろくて役に立つ. (2014). 日本: 高橋書店.p115

(3)Cosmetic Ingredient Review(2017)「Safety Assessment of Plant-Derived Fatty Acid Oils」International Journal of Toxicology(36)(3),51S-129S.

(4)コスメティックQ&A事典全面改訂最新版. (2011). 日本: 中央書院.p360

(5) Lin TK, Zhong L, Santiago JL. Anti-Inflammatory and Skin Barrier Repair Effects of Topical Application of Some Plant Oils. Int J Mol Sci. 2017;19(1):70. Published 2017 Dec 27. doi:10.3390/ijms19010070

カニナバラ果実油の配合目的

  • 角質層からの水分蒸発抑制作用(エモリエント作用)
  • 角質層の水分増加による、皮膚の柔軟性の改善作用
  • チロシナーゼ(酵素)の作用を阻害し、メラニン生成を阻害する目的
  • レチノイン酸によるコラーゲン・ヒアルロン酸生成促進、ターンオーバーの正常化作用
  • 抗炎症・抗酸化作用

カニナバラ果実油の安全性情報

日本語論文

なし

英語論文

A systematic review on the Rosa canina effect and efficacy profiles.

Chrubasik C, et al. Phytother Res. 2008. PMID: 18384191 Review.

Phytochemistry, Traditional Uses and Pharmacological Profile of Rose Hip: A Review.

Ayati Z, et al. Curr Pharm Des. 2018. PMID: 30317989 Review.

Hepatoprotective effect of Rosa canina fruit extract against carbon tetrachloride induced hepatotoxicity in rat.

Sadeghi H, et al. Avicenna J Phytomed. 2016. PMID: 27222831 Free PMC article.

Characteristics of rose hip (Rosa canina L.) cold-pressed oil and its oxidative stability studied by the differential scanning calorimetry method.

Grajzer M, et al. Food Chem. 2015. PMID: 26041218

Characterization of biochemical traits of dog rose (Rosa canina L.) ecotypes in the central part of Iran.

Javanmard M, et al. Nat Prod Res. 2018. PMID: 29137491

Nutrient composition of rose (Rosa canina L.) seed and oils.

Ozcan M. J Med Food. 2002. PMID: 12495585

Identification and quantitation of carotenoids and tocopherols in seed oils recovered from different Rosaceae species.

Fromm M, et al. J Agric Food Chem. 2012. PMID: 23020156