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表示名称成分詳細

PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン

成分番号(JP number): 560359

INCI
PEG/PPG/POLYBUTYLENE GLYCOL-8/5/3 GLYCERIN
定義(Description)
本品は、グリセリン(*)に酸化エチレン8モル、酸化プロピレン5モルを付加させた後、酸化ブチレン3モルを付加させた共重合体である。1,2,3-Propanetriol, ethoxylated, propoxylated, polymers with ethyloxirane (8 mol EO, 5 mol PO, 3 mol BO avearge)
日本の規制情報(Japanese regulation information)
中文inci(CN/中国名称)
PEG/PPG/聚丁二醇-8/5/3 甘油
中国の規制情報(Chinese regulation information)
【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): 6.9986, Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 6
韓国inci(KR/ハングル/성분명)
피이지/피피지/폴리부틸렌글라이콜-8/5/3글리세린
CAS No.
-
EC No.
-
EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)

-

原料情報

PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン / PEG/PPG/POLYBUTYLENE GLYCOL-8/5/3 GLYCERIN

ポリエチレングリコール / PEGとは

PEGとは、構造としてエチレングリコールの重合構造をもち、均一な構造を持たない、高分子の混合化合物です。2個のヒドロキシ基(-OH)を持つため、二価アルコールにも分類されています。原材料は酸化エチレンです。

PEGは、二価アルコールとしての特徴を持つため、水溶性、吸湿・保水作用があり、刺激性も少ないという特徴を持ちます。ですが、分子量の違いにより、特徴が違ってきます。

一般的には分子量が増加することでヒドロキシ基(-OH)の割合が下がり、粘性の増加、水溶性の低下、吸湿・保水作用も低下する傾向となっています。

分子量の違いにより、特徴も変わることから使用目的も変わってきます。

分子量の違う各PEGはPEG-〇〇と言われ、〇〇の部分には分子量が入ります。PEG-8とは分子量が8のPEGを重合体ということになります。

化粧品への添加目的としては、吸湿・保水剤、溶剤、粉体同士の結合剤、増粘剤として使用され、ベース成分としても分類されています。

化粧品製品としては幅広く使用されており、スキンケア化粧品、洗顔料、クレンジング製品、メイクアップ化粧品、化粧下地製品、ボディ&ハンドケア製品、シート&マスク製品、ボディソープ製品、シャンプー製品、コンディショナー製品、トリートメント製品、アウトバストリートメント製品、整髪料、プレスタイリング製品、香水、入浴剤へ使用されています。

医薬品添加剤としても使用され、医薬品添加剤ではマクロゴールとも呼ばれています。

使用目的は、一般的に軟膏基剤、座薬基剤、錠剤のコーティング剤や結合剤などに用いられています(1)。

吸湿・保水

PEGにおいては物質自体の吸湿・保水性が優れています。配合された製品自体の水分の揮発を抑制することで、保水し、製品自体の安定性を維持する目的で添加されています(2)。

この保水作用はPEGの中でも比較的分子量の小さいものが使用され、PEG-6、PEG-8、PEG-20、PEG-32、PEG-75、PEG-150等が主に使用されています。

溶剤

PEGは溶剤のなかでも水溶性溶剤また、溶解補助剤、水中油型の乳化剤として使用されます。水溶性の成分を直接溶解、また不溶性の成分をPEGに分散させ、水やエタノール等の極性溶剤に溶解する目的で使用されます。水中油型の乳化剤においては、適度な粘土と、水で洗い流せる特徴を持っており、医薬品においても外用剤として使用されています(3)。

PEGの中でも比較的分子量の小さいものが使用され、PEG-6、PEG-8、PEG-20、PEG-32、PEG-75、PEG-150、PEG-400等が溶剤として使用されています。

結合作用

PEGは粉体同士の結合を促し、粉体の飛散防止を目的に使用されます。

主な製品としてファンデーション製品等の固形製品で、飛散防止に使用されています。

PEGの中でも比較的分子量の大きいものが使用され、PEG-150等が主に結合剤として使用されています。

増粘作用

親水性の増粘剤として使用されます。PEGの中でも分子量が大きいほうが、粘土も増加する傾向にあります。

増粘剤として、分子量が大きいものが使用されるのです。

PEGの安全性に関しては50年以上の使用実績があり、一般的な化粧品の配合状況では、安全性が高いと言われています(4)。ですが、安全性においても分子量の違いにより変わってきます。

分子量が大きくなるほど安全性は高くなると言われ、PEG-20以上ではほとんど皮膚感作(アレルギー)は起こらないと言われています。

PEG-8以下に関して、皮膚炎などのバリア機能が低下した皮膚において、皮膚感作の報告があるので注意が必要です。

皮膚刺激、眼刺激にかんしては、ほとんどなく安全に使用できると言われています。

参考文献

(1)堀江 誠司(2019)「医薬品用ポリエチレングリコール」三洋化成ニュース(512),1-4.

(2)尾沢 達也(1969)「保湿剤(Humectant)」ファルマシア(5)(10),685-690. DOI:10.14894/faruawpsj.5.10_685

(3)田中 宗男・熊谷 重則(1990)「美を演出する高分子(化粧品)」高分子(39)(11),802-805. DOI:10.1295/kobunshi.39.802

(4)S.N.J. Pang(1993)「Final Report on the Safety Assessmentof Polyethylene Glycols (PEGS)-6, -8,-32, -75, -150, -14M, -20M」Journal of the American College of Toxicology(12)(5),429-457. DOI:10.3109/10915819309141598

ポリエチレングリコール / PEGの配合目的

  • PEG自体に吸湿・保湿作用により、配合された製品の水分の揮発抑制、水分を保持し製品の安定性を維持する目的
  • 水溶性成分の直接目的
  • 不溶性成分を分散させることで、極性溶剤に溶解する目的
  • 水中油型の乳化目的
  • 粉体同士の結合目的
  • 製品自体に粘性を増加する目的

ポリエチレングリコール/ PEGの安全性情報

化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます(1)。

PEG-8以下は皮膚炎を有する場合やバリア機能が低下している場合においてごくまれに皮膚感作を引き起こす可能性があるため、注意が必要であると考えられます(1)。

参考文献

(1)日本化粧品工業連合会(2013)「PEG」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,25-31.

日本語論文

セルフタンニング剤における着色強度の向上

宮部 卓 , 米村 博貴 , 竹田 博文 , 鈴木 幸司

日本化粧品技術者会誌 54(2), 160-168, 2020

ポリエチレングリコール(PEG)含有化粧品使用による抗PEG抗体誘導とPEG化製剤の薬理効果への影響

石田 竜弘

Cosmetology コスメトロジー研究報告 26, 56-62, 2018

PTMC誘導体を用いた耐水性と洗い流し易さを両立する粉体の開発と応用

岩本 千紘 , 小山 亜衣 , 粂井 貴行 , 渡邉 順司

日本化粧品技術者会誌 52(3), 197-204, 2018

新規保湿性高分子ポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールの開発

秋山 智美 , 澤井 香里 , 坂谷 志織 [他] , 桜井 哲人 , 加賀美 真弓 , 新出 ちはる , 粂井 貴行

日本化粧品技術者会誌 48(3), 184-189, 2014

PEGを溶媒とする非水系ゲルのゲル化機構とシート状化粧品への応用

柏井 利之 , 椙山 崇 , 土岐 育子 , 長嶋 慎一 , 後藤 肇 , 飯田 教雄 , 山縣 義文

日本化粧品技術者会誌 38(1), 3-9, 2004

超高圧乳化処理により得られた水溶性高分子/板状無機化合物からなるコロイド分散の特徴と化粧品への応用

前山 薫 , 辻出 昌弘 , 上田 清資 , 加藤 忠哉

日本化粧品技術者会誌 29(3), 234-241, 1995

極微弱化学発光及び酸素直接定量法によるポリエチレングリコールの劣化度の評価

今枝 一男 [他] , 大沢 敬子 , 内山 一美 , 武藤 章弘

分析化学 34(9), 554-558, 1985

高速液体クロマトグラフィーの化粧品分析への応用 (第3報):非イオン界面活性剤中の副成ポリエチレングリコールの分析

中村 淳 , 松本 勲

油化学 26(8), 464-469, 1977

英語論文

Formulation and evaluation of carrot seed oil-based cosmetic emulsions.

Singh S, et al. J Cosmet Laser Ther. 2019. PMID: 29737890

Safety Evaluation of Polyethylene Glycol (PEG) Compounds for Cosmetic Use.

Jang HJ, et al. Toxicol Res. 2015. PMID: 26191379 Free PMC article. Review.

Achillea millefolium L. and Achillea biebersteinii Afan. Hydroglycolic Extracts-Bioactive Ingredients for Cosmetic Use.

Gaweł-Bęben K, et al. Molecules. 2020. PMID: 32722270 Free PMC article.

Designing new functional cosmetic ingredients from polyglycerol, a versatile bio-based platform for improved sustainability.

Fevola MJ, et al. J Cosmet Sci. 2017. PMID: 29465381 Review.

Safety assessment on polyethylene glycols (PEGs) and their derivatives as used in cosmetic products.

Fruijtier-Pölloth C. Toxicology. 2005. PMID: 16011869 Review.

Surface Morphology of Cosmetic Film Consisting of PEG-Diisostearate Amphiphilic Random Copolymer, Xanthan Gum, and Solvents.

Kaji M, et al. J Oleo Sci. 2017. PMID: 29021489 Free article.

Online preconcentration and determination of chondroitin sulfate, dermatan sulfate and hyaluronic acid in biological and cosmetic samples using capillary electrophoresis.

Chindaphan K, et al. J Sep Sci. 2019. PMID: 31250530

Exotic Vegetable Oils for Cosmetic O/W Nanoemulsions: In Vivo Evaluation.

Pereira TA, et al. Molecules. 2016. PMID: 26927034 Free PMC article.

Physico-chemical characterization of nano-emulsions in cosmetic matrix enriched on omega-3.

Kabri TH, et al. J Nanobiotechnology. 2011. PMID: 21936893 Free PMC article.

[Cosmetic soft-tissue augmentation treatment].

Thyssen JP, et al. Ugeskr Laeger. 2007. PMID: 17592685 Danish.