表示名称成分詳細
ザクロ種子油
成分番号(JP number): 560141
- INCI
- PUNICA GRANATUM SEED OIL
- 定義(Description)
- 本品は、ザクロ Punica granatum の種子から得られる油である。Punica Granatum Seed Oil is the oil expressed from the seeds of the Pomegranate, Punica granatum L., Punicaceae
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 石榴(PUNICA GRANATUM)籽油
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): (none), Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 20.2
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 석류씨오일
- CAS No.
- 84961-57-9
- EC No.
- 284-646-0
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
-
原料情報
ザクロ種子油 / PUNICA GRANATUM SEED OIL
ザクロ種子油とは
ザクロ種子油とは、化学構造にグリセリンと高級脂肪酸とのトリグリセリドを主成分とする、植物性油脂です。
化粧品成分としては、油脂性成分としてベース成分、またエモリエント作用、感触改良作用を目的に使用されます。
ザクロ種子油は、化粧品成分表示名称として定められた名称であり、慣用名としてはザクロオイル、ザクロシードオイル、ポメグラネイトシードオイルと呼ばれています。
ザクロ種子油の原料植物は、ミソハギ科植物ザクロ(学名:Punica granatum 和名:柘榴)であり、ザクロの種子から得られる油脂です。
和名の「柘榴(ザクロ)」は、古い果実を表す言葉で中国人がザクロス山脈から持ち帰ったことに由来するといわれています。
日本にも平安時代から存在していました(2)。
植物油の植物の種類、産地、部位、圧搾方法等により成分が変化するといわれています。
ですが、主要な脂肪酸成分と割合はわかってきています。
プニカ酸:約60-80%、オレイン酸:約3-12%、リノール酸:約2-12%
ヨウ素価90-108
ヨウ素価から「半乾性油」に分類されます。
プニカ酸が約60%以上含有されています。プニカ酸は二重結合が3つの不飽和脂肪酸であるため、酸化安定性はかなり低い植物性油脂です(1)。
常温で液体のため、ザクロ種子「油」という表記になっています。
ザクロ種子油にはエラグ酸、酒石酸、クエン酸、カリウムなどのミネラル、ビタミンCとB1などを多く含んでおり、これらの成分に関しても抗炎症、抗酸化作用など皮膚に良い効果をもたらすとされています(3)(6)。
化粧品製品としては、スキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、洗顔料&洗顔石鹸、洗浄製品、ボディ&ハンドケア製品などに幅広く使用されています。
エモリエント作用
展延性を活かして、皮膚表面へ広がることで角質層を閉塞させ、角質層からの水分蒸発作用を抑制します。
水分蒸発を抑制することで、角質層の潤いを維持し、肌の柔軟性、光沢、柔らかさを与えてくれます。
ザクロ種子油は、油脂として酸化安定性が低いため、酸化安定性の高い油脂と混合して、安定性を高める製品設計をすることも多くなっています。
ベース成分
化粧品のベース成分としては水性成分、油性成分、界面活性剤、顔料・粉体成分のうち、油性成分として使用され、角質層からの水分蒸発抑制作用であるエモリエント作用を目的に使用されます。
表皮の再生促進
ザクロ種子油の表皮に対する影響が確認されています。
実験の内容はザクロ種子油の真皮と表皮に対する作用の確認をしたものです。
ザクロ種子油の真皮での線維芽細胞に対する作用は確認できませんでしたが、表皮に対する作用は、軽度の肥厚(秩序だった分化を失うことなく)が皮膚組織の培養で観察されています(4)。
ザクロ種子油は、表皮の再生を促進する作用により表皮である角質層の正常化に作用すると考えられます。
メラニン生成抑制作用
ザクロ種子油に含まれているポリフェノールの一種であるエラグ酸の作用で、メラニン生成に関わるチロシナーゼという酵素を抑制することが確認されています(5)。
安全性
ザクロ種子油は10年以上の使用実績があり、一般的な使用であれば安全性は高いといわれています。
ですが、皮膚刺激性、皮膚感作性、眼刺激性に関しては、詳細な調査を行った実験データは見当たりません(1)。
参考文献
(1) Cosmetic Ingredient Review(2017)「Safety Assessment of Plant-Derived Fatty Acid Oils」International Journal of Toxicology(36)(3),51S-129S.
(2) 幸せを運ぶ花言葉12か月. (2021). (n.p.): 株式会社日本文芸社.p124
(3) 化粧品成分用語事典2012. (2012). 日本: 中央書院.p277-278
(4) MN Aslam, et al(2006)「Pomegranate as a cosmeceutical source: Pomegranate fractions promote proliferation and procollagen synthesis and inhibit matrix metalloproteinase-1 production in human skin cells」Journal of Ethnopharmacology(103)(3),311-318.
(5) コスメティックQ&A事典全面改訂最新版. (2011). 日本: 中央書院.p286-287
(6) Ferreira LM, Sari MHM, Cervi VF, Gehrcke M, Barbieri AV, Zborowski VA, Beck RCR, Nogueira CW, Cruz L. Pomegranate seed oil nanoemulsions improve the photostability and in vivo antinociceptive effect of a non-steroidal anti-inflammatory drug. Colloids Surf B Biointerfaces. 2016 Aug 1;144:214-221. doi: 10.1016/j.colsurfb.2016.04.008. Epub 2016 Apr 5. PMID: 27088191.
ザクロ種子油の配合目的
- 角質層からの水分蒸発抑制作用(エモリエント作用)
- 角質層の水分増加による、皮膚の柔軟性の改善作用
- 表皮細胞の肥厚作用
- チロシナーゼ(酵素)の作用を阻害し、メラニン生成を阻害する目的
- 抗酸化作用および抗炎症作用
ザクロ種子油の安全性情報
https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS577.pdf
日本語論文
95. ザクロ種子油中に存在する新脂肪酸(エレオステアリン酸の新立體異性體)に就て
外山 修之 , 土屋 知太郎 工業化学雑誌 38(5), 454-457, 1935
英語論文
A Review Study on Punica granatum L.
Shaygannia E, Bahmani M, Zamanzad B, Rafieian-Kopaei M.J Evid Based Complementary Altern Med. 2016 Jul;21(3):221-7. doi: 10.1177/2156587215598039. Epub 2015 Jul 30.PMID: 26232244 Review.
Fathi N, Lotfipour F, Dizaj SM, Hamishehkar H, Mohammadi M.Pharm Nanotechnol. 2020;8(6):485-494. doi: 10.2174/2211738508999201105142945.PMID: 33407060
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Chemopreventive effects of pomegranate seed oil on skin tumor development in CD1 mice.
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