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イソステアリルアスコルビルリン酸2Naとは

イソステアリルアスコルビルリン酸2Naは、水溶性リン酸型ビタミンC誘導体であるアスコルビルリン酸Naに油溶性のイソステアリルアルコールを付加して両親媒性に合成した化合物です。東洋ビューティー株式会社によって開発され、Funcos C-ISとしても知られています

イソステアリルアスコルビルリン酸2Naの効果

イソステアリルアスコルビルリン酸2Naは、皮膚への色素沈着の黒化メラニンが生合成を防止することが報告されています(1)。

2008年に東洋ビューティー、自治医科大学皮膚科および近畿大学薬学部の共同研究によって実施されたイソステアリルアスコルビルリン酸2Naのメラニン形成抑制試験では、正常ヒト表皮メラノサイトを用いた培地にイソステアリルアスコルビルリン酸2Naを添加し、メラニン産生量が測定されました。

比較対照としてアスコルビン酸およびアスコルビルリン酸Naが用いられました。

結果、イソステアリルアスコルビルリン酸2Naとアスコルビン酸が添加された場合に、濃度依存的にメラニン産生量が減少する傾向が確認されました(1)。

また3次元培養ヒト皮膚モデルを用いて、イソステアリルアスコルビルリン酸2Naを3週間にわたって処理し、メラニン量を測定した結果、こちらもアスコルビン酸およびアスコルビルリン酸Naに比べて顕著にメラニン合成を抑制するという結果が報告されました(1)。

イソステアリルアスコルビルリン酸2Naは、皮膚への色素沈着に深く関係しているチロシナーゼの活性を阻害することも報告されています(1)。

同じく2008年に東洋ビューティー、自治医科大学皮膚科および近畿大学薬学部の共同研究によって実施されたイソステアリルアスコルビルリン酸2Naのチロシナーゼ活性阻害試験では、正常ヒト表皮メラノサイトを用いた培地にイソステアリルアスコルビルリン酸2Na、比較対象にアスコルビン酸およびアスコルビルリン酸Naを添加し、チロシナーゼ活性率が測定されました(1)。

結果、イソステアリルアスコルビルリン酸2Naは、濃度依存的にチロシナーゼ活性を抑制し、チロシナーゼ活性阻害による色素沈着抑制作用が確認されています(1)。

またイソステアリルアスコルビルリン酸2Naは、紫外線照射によって産生される活性酸素を抑制することで肌の細胞を保護する作用があることも報告されています(2)。

ことらでも、2008年に東洋ビューティー、自治医科大学皮膚科、近畿大学薬学部および弘前大学医学部皮膚科の共同研究によって報告されたイソステアリルアスコルビルリン酸2Naの紫外線照射における細胞生存検証試験が実施されました。

内容としては、ヒト皮膚線維芽細胞をイソステアリルアスコルビルリン酸2Na、比較対象にアスコルビン酸およびアスコルビルリン酸Naで前処理した後、細胞をUVBまたはUVAにさらし、24時間の培養後に細胞の生存率が評価されたものでした。

結果、イソステアリルアスコルビルリン酸2Naは、UVBまたはUVA照射による酸化ストレスによって誘発された細胞損傷を濃度依存的に減少させ、また細胞保護効果を示し、アスコルビン酸はほとんど保護作用を示さないことが確認され、イソステアリルアスコルビルリン酸2Naの紫外線照射における活性酸素抑制による細胞保護・抗酸化作用が認められました(2)。

さらにイソステアリルアスコルビルリン酸2Naは、線維芽細胞の増殖し、コラーゲンの合成を促進さ、肌の老化防止作用があることが報告されています(3)。

2008年に東洋ビューティー、自治医科大学皮膚科および近畿大学薬学部の共同研究によって実施されたイソステアリルアスコルビルリン酸2Naのコラーゲン合成促進検証試験では、正常ヒト線維芽細胞をイソステアリルアスコルビルリン酸2Naを含む培地で培養した後、線維芽細胞の増殖効果が評価されました。

結果、イソステアリルアスコルビルリン酸2Naは、容量依存的に正常ヒト線維芽細胞の増殖を促進させ、コラーゲンの合成量を促進させることが確認されました(3)。

参考文献

(1) H.Shibayama, et al（2008）「Inhibitory Effects of a Novel Ascorbic Derivative, Disodium Isostearyl 2-O-L-Ascorbyl Phosphate on Melanogenesis」Chemical & Pharmaceutical Bulletin(56)(3),292-297.

(2) H.Shibayama, et al（2008）「Effect of a Novel Ascorbic Derivative, Disodium Isostearyl 2-O-L-Ascorbyl Phosphate, on Normal Human Dermal Fibroblasts against Reactive Oxygen Species」Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry(72)(4),1015-1022.

(3) H.Shibayama, et al（2008）「Effect of a Novel Ascorbic Derivative, Disodium Isostearyl 2-O-L-Ascorbyl Phosphate on Human Dermal Fibroblasts: Increased Collagen Synthesis and Inhibition of MMP-1」Biological & Pharmaceutical Bulletin(31)(4),563-568.