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表示名称成分詳細

ビルベリー葉エキス

成分番号(JP number): 560124

INCI
VACCINIUM MYRTILLUS LEAF EXTRACT
定義(Description)
本品は、ビルベリー Vaccinium myrtillus の葉のエキスである。Vaccinium Myrtillus Leaf Extract is the extract of the leaves of Vaccinium myrtillus, Ericaceae.
日本の規制情報(Japanese regulation information)
中文inci(CN/中国名称)
欧洲越桔(VACCINIUM MYRTILLUS)叶提取物
中国の規制情報(Chinese regulation information)
【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): 1.52, Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 0.825
韓国inci(KR/ハングル/성분명)
빌베리잎추출물
CAS No.
84082-34-8
EC No.
281-983-5
EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)

原料情報

ビルベリー葉エキス / VACCINIUM MYRTILLUS LEAF EXTRACT

ビルベリー葉エキスとは

ビルベリー葉エキスはツツジ科植物セイヨウスノキ(学名:Vaccinium myrtillus 英名:Common Bilberry)の葉を使用し、水、エタノール、BGなどで抽出して得ることができる植物エキスです。

原料であるセイヨウスノキは高山低木樹地帯に広く自生しているブルーベリーの近縁種であり、ヨーロッパおよび北アジアが原産地となっています(1)。

また、一般的にビルベリーという名称で知られていることから、化粧品成分表示名称および医薬部外品名称は「ビルベリー葉エキス」となっています。

化粧品成分としては抗酸化成分、細胞賦活成分に分類され、その作用を目的として、スキンケア化粧品やメイクアップ化粧品を始めとした様々な製品に使用されています。

また、ヨーロッパにおいてはビルベリー葉の調合剤がもつ血糖値を下げる作用から糖尿病に対する民間療法としても活用されています。その他にも胃酸分泌異常、関節炎、痛風、皮膚病、血流不全などの予防や改善を始め、新陳代謝の促進などにも役立つことが知られています(2)。

ビルベリー葉エキスはクロロゲン酸、ケルセチン、カテキン、プロアントシアニジンなどの成分で構成されていますが、天然成分であることから原料の産地、収穫時期、抽出方法によってその成分組成に差異が生じると推察されます(1,3,4,5)。

抗酸化作用

2006年に一丸ファルコス社が実施した検証によると、ビルベリー葉エキスは高い活性酸素消去率を示しました。さらに被験者へビルベリー葉エキス配合乳液と未配合乳液を塗布する比較試験を実施したところ、乾燥肌の改善や肌のツヤ・ハリの付与が確認されました(2,6)。

この結果により、ビルベリー葉エキスには活性酸素消去作用(SOD用活性)による抗酸化作用が認められています。

また、2016年にロート製薬社および一丸ファルコス社が実施した共同研究によると、過酸化水素分解酵素であるカタラーゼとグルタチオンペルオキシダーゼの産生促進による抗酸化作用も認められています(7)。

細胞賦活作用

2016年にロート製薬社と一丸ファルコス社によって共同で実施された検証によると、ビルベリー葉エキスにより体内に存在する中心的な時計遺伝子の一つであるBMAL1遺伝子の発現量を増やすことが確認されました。

さらにビルベリー葉エキスを含む基礎化粧品を被験者へ使用する試験では、ターンオーバーの乱れの指標である角層重層剥離の改善が確認されました(7)。

この結果によりビルベリー葉エキスにはBMAL1発現量増加による細胞賦活作用が認められています。

安全性

ビルベリー葉エキスは10年以上の使用実績があります。また、皮膚刺激性は殆どなく、皮膚感作性についてもアレルギー性は殆どないと考えられているため、化粧品配合量および通常使用下において一般的な使用であれば安全性に問題の無い成分であると言われています。

参考文献

(1)F, Martz, et al(2010)「Phenolic Composition and Antioxidant Capacity of Bilberry (Vaccinium myrtillus) Leaves in Northern Europe Following Foliar Development and Along Environmental Gradients」Journal of Chemical Ecology(36),1017-1028.

(2)一丸ファルコス株式会社(2006)「活性酸素消去剤」特開2006-117612.

(3)F. Martz, et al(1953)「Quercetin and its Glycosides in Leaves of Vaccinium myrtillus」Journal of the American Chemical Society(75)(1),50-52.

(4)J. Witzell, et al(2003)「Plant-part specific and temporal variation in phenolic compounds of boreal bilberry (Vaccinium myrtillus) plants」Biochemical Systematics and Ecology(31)(2),115-127.

(5)L. Jaakola, et al(2004)「Activation of flavonoid biosynthesis by solar radiation in bilberry (Vaccinium myrtillus L.) leaves」Planta(218),721-728.

(6)伊藤 賢一(2006)「GABA合成酵素(GAD)を活性化するビルベリーエキスの抗老化作用」Fragrance Journal(34)(8),48-53.

(7)ロート製薬株式会社(2016)「ビルベリー葉エキスがサーカディアンリズムを整え、体内の抗酸化にも働くことを確認」, https://www.rohto.co.jp/news/release/2016/0614_03/ 2021年11月6日アクセス.

ビルベリー葉エキスの配合目的

  • SOD様活性とカタラーゼおよびグルタチオンペルオキシダーゼ産生促進による抗酸化作用
  • BMAL1発現量増加による細胞賦活作用

ビルベリー葉エキスの安全性情報

日本語論文

ビルベリー摂取による眼疾患予防効果の可能性 : 感覚器系(眼機能) (機能性表示食品のUpdate : 2020 冬)

大江 絵美 Functional food : フードサイエンスと臨床をつなぐ専門誌 14(4), 234-239, 2020

ヒト角膜上皮細胞における青色発光ダイオード(LED)光誘起損傷に対するビルベリー抽出物およびその主成分の保護効果

大江 絵美 , 矢古宇 智弘 , 久世 祥己 , 荘厳 哲哉 , 中村 信介 , 嶋澤 雅光 , 原 英彰 健康・栄養食品研究 17(1), 18-33, 2020

ビルベリーのアイケアへの取り組み (特集 健康カラー[アントシアニン編])

中田 麻美 , ソン ジヒョン フードケミカル = A Technical journal on food chemistry & chemicals 34(9), 40-42, 2018-09

Industrial Reports 市販ビルベリーエキスの特性評価

アペンディーノ ジョバンニ アグリバイオ = Agricultural biotechnology 2(1), 65-71, 2018-01

素材レポート ハーブエキスは本質的に同等か ビルベリー(VACCINIUM MYRTILLUS)乾燥エキスのメタボロミクス調査

de Combarieu Eric , Martinelli Ernesto Marco , Pace Roberto , Sardone Nicola 食品と開発 52(7), 73-84, 2017-07

Industrial Reports 眼の疲労および眼の乾きに対するビルベリー抽出物の改善効果 : ビルベリー由来アントシアニンの最新臨床研究

楊 金緯 アグリバイオ = Agricultural biotechnology 1(4), 467-469, 2017-04

市販ビルベリーエキスの特性評価

アペンディーノ ジョバンニ アグリバイオ = Agricultural biotechnology 1(1), 94-100, 2017-01

ビルベリー由来アントシアニンを機能性関与成分とする 機能性表示食品の分析

政田 さやか , 内山 奈穂子 , 合田 幸広 , 袴塚 高志 日本食品化学学会誌 24(1), 32-38, 2017

ビルベリーエキス含有食品摂取による眼精疲労改善効果 : ランダム化二重盲検プラセボ対照試験

堀江 幸弘 , 片山 詩野 , 所 茉利奈 , 董 震宇 , 小齊平 麻里衣 , 大野 重昭 , 石田 晋 , 北市 伸義 あたらしい眼科 33(12), 1795-1800, 2016-12

ビルベリー由来アントシアニンが目に与える機能性 ―ヒト臨床試験と機能性表示食品―

小川 健二郎 , 原 英彰 , オガワ ケンジロウ , ハラ ヒデアキ , Kenjiro OGAWA , Hideaki HARA 岐阜薬科大学紀要  = The annual proceedings of Gifu Pharmaceutical University (65), 20-27, 2016-06-30

健康食品のエビデンス(第3回)ブルーベリー(ビルベリー)

濱舘 直史 ニューフードインダストリー 57(7), 50-52, 2015-07

粗悪化に対抗するための市販ビルベリーエキスの特性評価

アペンディーノ ジョバンニ Food style 21 19(3), 20-24, 2015-03

ビルベリー製品:最新の市販エキスの特性評価

ジョバンニ アペンディーノ , 川田 晋 , 瀬川 潔 日本補完代替医療学会誌 12(1), 1-8, 2015

09方-27-ポ-21 ビルベリーエキス含有食品の摂取が暑熱環境下運動中の動体視力に及ぼす効果(09 体育方法,一般研究発表,2020東京オリンピック・パラリンピックと体育・スポーツ科学研究)

前田 明 , 水谷 未来 , 蔭山 雅洋 , 小川 健二郎 日本体育学会大会予稿集 66(0), 312, 2015

機能性研究レポート ビルベリーを含む健康食品の品質評価 : 市場におけるビルベリーサプリメントの品質課題と新たな評価方法の開発

鎌田 和明 Food style 21 18(10), 34-37, 2014-10

ブルーベリーおよびビルベリーの歴史そして機能性研究について (特集 柑橘果実 : その機能性と健康効果)

松永 望 Aromatopia : the journal of aromatherapy & natural medicine 23(4), 16-20, 2014

アントシアニン(カシスとビルベリー)の血管薬理学 : 摘出血管と動脈硬化パラメータに対する急性効果の比較

佐藤 広康 , 西田 清一郎 , 康 薔薇 Food function 11, 2-8, 2013

ラット肝二段階発がんモデルを用いたpiperonyl butoxideによる肝発がん促進作用に対するビルベリー抽出物ないし酵素処理isoquercitrinの抑制作用

原 慎太郎 , 林 新茂 , 鈴木 和彦 , 渋谷 淳 , 盛田 怜子 , 小川 峻志 , 勢川 理紗 , 滝本 憲史 , 大舘 綾乃 , 荻原 勲 , 濱舘 直史 , 隅倉 有貴 日本毒性学会学術年会 40.1(0), 1004068, 2013

ハプテン誘発皮膚毒性に対するビルベリーアントシアニンの有用性

石渡 万希子 , 山浦 克典 , 畢 圓媛 , 大石 信雄 , 上野 光一 日本毒性学会学術年会 40.1(0), 1003048, 2013

ビルベリー抽出液による脂肪分化阻害効果

鈴木 理英子 , 田中 正視 , 黒田 雅彦 , 工藤 玄恵 東京医科大学雑誌 68(1), 123-124, 2010-01-30

ビルベリー由来アントシアニン、動脈劣化と視力障害の対策 (特集 アイケア・目疾患と食品素材)

葉山 隆一 Food style 21 14(1), 40-44, 2010-01

ビルベリー抽出物に含まれるデルフィニジン3-O-β-グルコピラノシドの同定

金行 孝雄 , 小川 尚武 くらしき作陽大学・作陽音楽短期大学研究紀要 43(1), 85-89, 2010

臨牀研究 魚油,ビルベリーエキス,イチョウ葉エキス,ルテイン,アスタキサンチンおよびβ-カロテン含有食品が眼精疲労に与える影響

内田 一光 , 村上 雅治 臨牀と研究 86(1), 132-139, 2009-01

アイケアサプリメントとしてのビルベリーエキス

原 英彰 , 松永 望 オレオサイエンス 9(7), 283-291, 2009

ビルベリー配合食品中のアントシアニン類及びアントシアニジン類の分析

日向野 太郎 , 岡本 仁 , 植竹 厚裕 [他] , 明戸 孝夫 , 袴塚 高志 日本食品化学学会誌 16(2), 60-65, 2009

ビルベリーの節培養を用いた大量増殖系の開発

本西 誠亮 , 佐藤 博二 , 嘉見 大助 園芸学研究. 別冊, 園芸学会大会研究発表要旨 6(2), 490, 2007-09-29

ビルベリーおよびブルーベリーの抗酸化作用の比較

福原 佳世子 人間生活科学研究 = Journal of human life sciences 43, 39-42, 2007

機能性研究レポート ビルベリーエキスの飲用による脳機能の改善効果

佐々木 憲一 Food style 21 10(10), 30-32, 2006-10

GABA合成酵素(GAD)を活性化するビルベリーエキスの抗老化作用 (特集/植物成分の新たな有効性と化粧品への応用)

伊藤 賢一 フレグランスジャーナル 34(8), 48-53, 2006-08

ビルベリーのアントシアニンと機能性 (特集 機能性果実)

侯 徳興 Food style 21 10(8), 43-47, 2006-08

エビデンス・レポート ビルベリーの新しい効用--がん細胞の増殖を抑える効果

豊田 裕夫 ジャパンフ-ドサイエンス 45(4), 13-15, 2006-04

ラットのパラコート誘発酸化ストレスに対するビルベリー(Vaccinium myrtillus L.)エキスの抑制効果

仲佐 輝子 , 竹中 良 , 岡田 夕子 [他] , 沖中 靖 日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology 53(1), 1-7, 2006-01-15

特別寄稿 ESR法による飲食料品の抗酸化能評価--ビルベリー、かまぼこなど

李 昌一 Food style 21 9(12), 24-28, 2005-12

ブルーベリーおよびビルベリーのすぐれた機能性 (特集 新Eye Care情報)

玉田 孝人 , 竹内 鐸也 Food style 21 8(10), 53-60, 2004-10

月経困難症の諸症状に対するビルベリーの標準化抽出エキスの作用 (特集 ブルーベリーの機能性とこれからの可能性)

Cristoni Aldo 食品工業 47(4), 37-46, 2004-02-29

ニュービジネス最前線 ビルベリー製薬 菊地弘幸社長--ビルベリーを通じ、消費者の健康と食生活の安全に寄与する事業を展開する

菊地 弘幸 実業界 (889), 88-91, 2003-03

アントシアニンの癌抑制効果--ビルベリーアントシアニンの癌細胞アポトーシス誘導効果 (癌の化学予防最前線)

小堀 真珠子 医学のあゆみ 204(1), 55-59, 2003-01-04

ビルベリー・エキスの効能と効果--Vaccinium myrtillus berriesのアントシアノサイド微小血管系-組織領域の治療に於ける新しいトレンド

INDENA ニュ-フ-ドインダストリ- 41(8), 19-23, 1999-08

標準化されたビルベリ-乾燥エキス(ミルトセレクト)の化学的特性,薬理および臨床 (特集 ブル-ベリ-の機能と効果)

Morazzoni Paolo 食品工業 41(16), 36-45, 1998-08-30

英語論文

Protective effect of Vaccinium myrtillus extract against UVA- and UVB-induced damage in a human keratinocyte cell line (HaCaT cells).

Calò R, Marabini L.J Photochem Photobiol B. 2014 Mar 5;132:27-35. doi: 10.1016/j.jphotobiol.2014.01.013. Epub 2014 Feb 8.PMID: 24577051

Analysis of composition, morphology, and biosynthesis of cuticular wax in wild type bilberry (Vaccinium myrtillus L.) and its glossy mutant.

Trivedi P, Nguyen N, Klavins L, Kviesis J, Heinonen E, Remes J, Jokipii-Lukkari S, Klavins M, Karppinen K, Jaakola L, Häggman H.Food Chem. 2021 Aug 30;354:129517. doi: 10.1016/j.foodchem.2021.129517. Epub 2021 Mar 9.PMID: 33756336 Free article.

Effects of Vaccinium Myrtillus anthocyanosides on arterial vasomotion.

Colantuoni A, Bertuglia S, Magistretti MJ, Donato L.Arzneimittelforschung. 1991 Sep;41(9):905-9.PMID: 1796918

Bilberry extract reduces UVA-induced oxidative stress in HaCaT keratinocytes: a pilot study.

Svobodová A, Rambousková J, Walterová D, Vostalová J.Biofactors. 2008;33(4):249-66. doi: 10.1002/biof.5520330402.PMID: 19509461

Nanoberries for topical delivery of antioxidants.

Montanari J, Vera M, Mensi E, Morilla M, Romero E.J Cosmet Sci. 2013 Nov-Dec;64(6):469-81.PMID: 24397884

Anthocyanins, but not anthocyanidins, from bilberry (Vaccinium myrtillus L.) alleviate pruritus via inhibition of mast cell degranulation.

Yamaura K, Ishiwatari M, Yamamoto M, Shimada M, Bi Y, Ueno K.J Food Sci. 2012 Dec;77(12):H262-7. doi: 10.1111/j.1750-3841.2012.02974.x. Epub 2012 Nov 19.PMID: 23164040

Protective effects of anthocyanins from bilberry extract in rats exposed to nephrotoxic effects of carbon tetrachloride.

Popović D, Kocić G, Katić V, Jović Z, Zarubica A, Janković Veličković L, Nikolić V, Jović A, Kundalić B, Rakić V, Ulrih NP, Skrt M, Sokolović D, Dinić L, Stojanović M, Milosavljević A, Veličković F, Sokolović D.Chem Biol Interact. 2019 May 1;304:61-72. doi: 10.1016/j.cbi.2019.02.022. Epub 2019 Feb 27.PMID: 30825423