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表示名称成分詳細

シロキクラゲ多糖体

成分番号(JP number): 560021

INCI
TREMELLA FUCIFORMIS POLYSACCHARIDE
定義(Description)
本品は、シロキクラゲ Tremella fuciformis から得られる多糖体である。Tremella Fuciformis Polysaccharide is the polysaccharide fraction derived from the Mushroom, Tremella fuciformis
日本の規制情報(Japanese regulation information)
中文inci(CN/中国名称)
银耳(TREMELLA FUCIFORMIS)多糖
中国の規制情報(Chinese regulation information)
【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): 8, Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 5
韓国inci(KR/ハングル/성분명)
흰목이버섯폴리사카라이드
CAS No.
-
EC No.
-
EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)

-

原料情報

シロキクラゲ多糖体 / TREMELLA FUCIFORMIS POLYSACCHARIDE

シロキクラゲ多糖体とは

シロキクラゲ多糖体はシロキクラゲ科担子菌シロキクラゲ(Tremella fuciformis 英名:Snow fungus)の子実体に水、エタノール、BGまたはこれらの混液で抽出して得ることができる水溶性多糖体(酸性ヘテロ多糖体)です。

原料であるシロキクラゲは中国および日本に分布していることで知られ、広葉樹の枯れ木に白色半透明のゼラチン状の子実体を形成します(1)。

中国では不老長寿や美肌の高級食材として珍重され、四大食用キノコ「四珍」の一つとして宮廷料理や薬膳料理に用いられてきた歴史があり、楊貴妃も食したと言われています(1,2)。

その化学構造は単糖のマンノースを主鎖として、側鎖に単糖のキシロースおよび糖酸のグルクロン酸が結合してできています。そのためマンノースやキシロース、グルクロン酸で主に構成されていますが、天然成分であることから、原料の産地、収穫時期、抽出方法によりその成分組成には差異があると推察されます(1,3)。

化粧品成分としては保湿成分に分類され、保湿作用や泡立ち改善作用を目的に、スキンケア化粧品や洗顔料など様々な製品に活用されています。

シロキクラゲ多糖体の配合目的

  • 角質層水分量増加およびフィラグリン酸産生促進による保湿作用
  • 泡立ち改善作用
  • ヒアルロン酸ナトリウムの代替

保湿作用

2005年に日本精化社が行った検証によると、その保水力の高さで知られているヒアルロン酸Na以上の保水力および保持した水分を維持しやすい性質を確認しました。次に被験者を用いて角層の水分含有量および水分保持能の経時変化を測定したところ、その保水性および角層水分保持能を向上させることがわかりました(1)。

これらの検証結果により、角質層水分量増加による保湿作用が認められました。

さらに2006年に日本メナード化粧品社の行った検証によると、in vitro試験において優れたNMF産生促進作用(フィラグリン産生促進作用)をもつことを確認しました。次に肌の乾燥やかゆみに悩む女性被験者へシロキクラゲ多糖体配合クリームと未配合クリームの塗布を行ったところ、前者のグループでは優れた肌の乾燥改善効果を確認しました(4)。

これらの検証結果により、フィラグリン産生促進による保湿作用が認められました。

泡立ち改善作用

2012年に日本精化社が行った検証によると、0.01%のシロキクラゲ多糖体を配合した石鹸系洗浄剤は泡質のきめ細やかさや密度感の向上、さらに泡立ちおよび泡持続性に優れていることが分かりました。また、ラウレス硫酸Naおよびアミノ酸系界面活性剤に配合することで泡質および泡持ちを向上させることも分かりました(5)。

これらの検証結果により、泡立ち改善作用が認められています。

ヒアルロン酸ナトリウムの代替

使用感が似ているところもあり、保水性も高いことから、人気のあるヒアルロン酸ナトリウムの代替としてもよく使用されます

シロキクラゲ多糖体の安全性情報

試験データ[1]より、皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

試験データ[1]より、眼刺激なしと報告されているため、一般に眼刺激性はほとんどないと考えられます。

シロキクラゲ多糖体は10年以上の使用実績があります。

また、皮膚一次刺激性や皮膚累積刺激性、眼刺激性については殆どなく、皮膚感作性についてもアレルギー性は殆どないと考えられているため、化粧品配合量および通常使用下において一般的な使用であれば安全性に問題の無い成分であると言われています。

参考文献

  1. 大橋 幸浩・山本 やす子(2005)「シロキクラゲ多糖体」Fragrance Journal(33)(3),45-50.

参考文献

(1)大橋 幸浩, 他(2005)「シロキクラゲ多糖体」Fragrance Journal(33)(3),45-50.

(2)鈴木 一成(2012)「シロキクラゲ多糖体」化粧品成分用語事典2012,289.

(3)S. Ukai, et al(1974)「Polysaccharides in Fungi. I. Purification and Characterization of Acidic Heteroglycans from Aqueous Extract of Tremella fuciformis BERK」Chemical and Pharmaceutical Bulletin(22)(5),1102-1107.

(4)日本メナード化粧品株式会社(2006)「NMF産生促進剤」特開2006-124350.

(5)橋本 明宏, 他(2012)「シロキクラゲ多糖体の化粧品への応用」Fragrance Journal(40)(4),74-76.

日本語論文

シロキクラゲ多糖体の化粧品への応用 (特集 化粧品の新原料の開発動向を探る)

橋本 明宏 , 勝間田 祐貴 , 冨永 仁士

Fragrance journal 40(4), 74-76, 2012-04

シロキクラゲ多糖体 (特集/多糖類の機能と化粧品への応用)

大橋 幸浩 , 山本 やす子 フレグランスジャーナル 33(3), 45-50, 2005-03

乳酸菌の増殖及び乳酸発酵に対するシロキクラゲ (Tremella Fuciformis Berekley) 起源の多糖の促進効果

潘 道東 , 張 少輝 , 李 樺 , 大橋 登美男 西日本畜産学会報 (40), 50-54, 1997 J-STAGE

英語論文

Tremella fuciformis polysaccharide suppresses hydrogen peroxide-triggered injury of human skin fibroblasts via upregulation of SIRT1.

Shen T, Duan C, Chen B, Li M, Ruan Y, Xu D, Shi D, Yu D, Li J, Wang C.Mol Med Rep. 2017 Aug;16(2):1340-1346. doi: 10.3892/mmr.2017.6754. Epub 2017 Jun 12.PMID: 28627707 Free PMC article.

Tremella fuciformis polysaccharides inhibit UVA-induced photodamage of human dermal fibroblast cells by activating up-regulating Nrf2/Keap1 pathways.

Fu H, You S, Zhao D, An Q, Zhang J, Wang C, Wang D, Li M.J Cosmet Dermatol. 2021 Dec;20(12):4052-4059. doi: 10.1111/jocd.14051. Epub 2021 Mar 25.PMID: 33686752

The optimum submerged culture condition of the culinary-medicinal white jelly mushroom (Tremellomycetes) and its antioxidant properties.

Gusman JK, Lin CY, Shih YC.Int J Med Mushrooms. 2014;16(3):293-302. doi: 10.1615/intjmedmushr.v16.i3.90.PMID: 2494117

Formulation and efficacy evaluation of the safe and efficient moisturizing snow mushroom hand sanitizer.

Lourith N, Pungprom S, Kanlayavattanakul M.J Cosmet Dermatol. 2021 Feb;20(2):554-560. doi: 10.1111/jocd.13543. Epub 2020 Jul 2.PMID: 32531816 Free PMC article.