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表示名称成分詳細

シラカンバ樹液

成分番号(JP number): 559947

INCI
BETULA PLATYPHYLLA JAPONICA JUICE
定義(Description)
本品は、シラカンバ Betula platyphylla var. japonica の樹液である。Betula Platyphylla Japonica Juice is the sap from the tree, Betula platyphylla japonica, Betulaceae
日本の規制情報(Japanese regulation information)
中文inci(CN/中国名称)
亚洲白桦(BETULA PLATYPHYLLA)树汁
中国の規制情報(Chinese regulation information)
【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): (none), Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 86.651
韓国inci(KR/ハングル/성분명)
자작나무수액
CAS No.
223748-09-2
EC No.
-
EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)

-

原料情報

シラカンバ樹液 / BETULA PLATYPHYLLA JAPONICA JUICE

シラカンバ樹液とは

シラカンバ樹液とは、シラカンバの木から採取される水性成分に分類される溢出樹液です。

シラカンバ樹液の原料となる植物は、カバノキ科植物シラカンバ(学名:Betula platyphylla var. japonica 英名:Japanese White Birch)であり、早春の開花および開葉までの1ヶ月間の間しか採取できない樹液ではありますが、樹齢20年の木からは年間約100~180リットル採取できるといわれています(1)(2)。

シラカンバの幹に穴をあけ、溢れ出てくる無色透明な樹液を集めることで採取できます。

シラカンバ樹液の成分は水分が99.3%を占めており、残りの0.7%が固形分量で作られています。

成分の割合に関しては採取される木、採取時期により変化があるので注意が必要です。

固形原料とは、有機物、ミネラル類から構成されています。

有機物の含有が、湧き水、渓流水との味の違いを出すといわれ、ほのかな甘みや飲み心地を与えてくれます(2)。

有機酸としては、グルコース、フラクトースや微量の有機酸、アミノ酸、タンパク質を含んでいます。

シラカンバ樹液の成分組成例を記載します(2)。

〇水:99.3%

〇固形分(有機物・無機物):0.7%

 固形分(0.7%)の組成例を詳しく記載します(2)(3)。

〇有機物

 ・糖類

  グルコース:48.0%

  フラクトース:41.00%

  ガラクトース:0.50%

  スクロース:0.60%

 ・有機酸

  リンゴ酸:3.10%

  コハク酸:0.20%

 ・アミノ酸

  シトルリン:0.15%

  グルタミン:0.10%

  グルタミン酸:0.05%

  その他:0.07%

 ・タンパク質:0.08%

 ・その他:3.35%

  以上が固形質

〇無機物:2.7%

 ・ミネラル

  カルシウム(Ca)

  カリウム(K)

  マグネシウム(Mg)

以上の様な成分を含むシラカンバ樹液は、化粧品成分としてだけではなく、飲料としても注目されています。

化粧品成分表示名称としてはシラカンバ樹液と定められており、慣用名としてはシカラバ樹液、白樺樹液と呼ばれています。

化粧品成分としては水性成分として、ベース成分、保湿作用を目的に使用されています。

化粧品製品としては、スキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、ボディ&ハンドケア製品、クレンジング製品、洗顔料、ネイル製品などに幅広く使用されます。

近年ではシラカンバ樹液が、肌荒れの改善につながるフィラグリン産生促進作用、バリア機能の向上・正常化につながるインボルクリン産生促進作用などが研究で明らかになっています(4)。

保湿作用

シラカンバ樹液は、全体の99.3%は水分で構成されるため、さっぱりとしたテクスチャーを示し、水分以外の有機物やミネラルを一緒に角質層へ付与できる保湿剤となっています。

その他

シラカンバ樹液のフィラグリン産生促進作用、インボルクリン産生促進作用に関しては、化粧品成分として角質層における作用を期待できるのではなく、実験において表皮角化細胞に対する作用ということに注意してください。

皮膚表面において、表皮角化細胞は顆粒層に存在する細胞です。

フィラグリン生産促進作用とは、シラカンバ樹液が表皮角化細胞に作用することで、角質層の天然保湿因子となるフィラグリン生産を促進させます。フィラグリン生産が促進されることで天然保湿因子が増加し、天然保湿因子が増加することで、角質層における潤いが維持され皮膚表面のキメの維持、改善に寄与すると考えられています(4)。

インボルクリン生産促進作用とは、シラカンバ樹液が皮膚角化細胞に対して作用することで角質層における角質細胞膜を維持する成分であるインボルクリンの量を増加させます。角質細胞が維持されることで、皮膚が本来持っているバリア機能を維持することができると考えられています(4)。

安全性

シラカンバ樹液は、30年以上の使用実績があり、一般的な使用であれば安全性は高いといわれています。

しかし、皮膚刺激、皮膚感作、眼刺激等の検証を行った実験結果は見当たりません。

参考文献

(1) “植物和名ー学名インデックス YList”(2003)「シラカンバ」, http://ylist.info/ylist_detail_display.php?pass=3232 2020年5月3日アクセス.

(2)寺沢 実(1995)「樹液を飲む」化学と生物(33)(11),755-760.

(3)姉帯 正樹, 他(2000)「シラカバ樹液成分の経時変化」北海道立衛生研究所報 第50集,41-46.

(4)森山 正大, 他(2008)「シラカンバ (Betula platyphylla Sukatchev var. japonica Hara) 樹液の培養ヒト表皮角化細胞の分化に及ぼす影響」日本化粧品技術者会誌(42)(2),94-101.

シラカンバ樹液の配合目的

  • 角質層における水分量増加による保湿作用

シラカンバ樹液の安全性情報

日本語論文

シラカンバ樹液の採取時期による評価の違いに関する研究(第2報)試飲評価実験による評価の違い

岡田 穣 , 近野 しおり Journal of Community Cooperative Research Center (6), 109-112, 2011

シラカンバ樹液の採取時期による評価の違いに関する研究(第1報)フェノール性物質含有量の変化

岡田 穣 , 近野 しおり Journal of Community Cooperative Research Center (6), 105-108, 2011

消費者の意識からみたシラカンバ樹液販売の方向性--アイスコーヒーを用いた食味実験より

岡田 穣 , 小酒井 正和 商学研究 (4), 41-52, 2010

専修大学北海道短期大学演習林におけるシラカンバ樹液の採取時期の検証

岡田 穣 , 齋藤 祐太郎 地域総合科学研究センター報告 (3), 23-26, 2008

シラカンバ(Betula platyphylla Sukatchev var.japonica Hara)樹液の培養ヒト表皮角化細胞の分化に及ぼす影響

森山 正大 , 成 英次 , 三崎 裕子 , 林 昭伸 日本化粧品技術者会誌 42(2), 94-101, 2008

新考・森林学--これからの森づくり(8)伐採しない森林資源利用--シラカンバ樹液に注目して

寺沢 実 北方林業 56(10), 233-236, 2004-10

シラカンバ樹液の飲料化

寺沢 実 遺伝 49(3), p47-53, 1995-03

シラカンバ樹液で林業活性化--樹木の生活組織--その隠れた能力

寺沢 実 北方林業 42(1), p2-8, 1990-01

英語論文

なし