表示名称成分詳細
フィチン酸Na
成分番号(JP number): 559718
- INCI
- SODIUM PHYTATE
- 定義(Description)
- 本品は、フィチン酸(*)のナトリウム塩である。Myo-Inositol, hexakis(dihydrogen phosphate), sodium salt
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 植酸钠
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): 3, Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 3
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 소듐파이테이트
- CAS No.
- 14306-25-3 / 34367-89-0
- EC No.
- 238-242-6
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
-
原料情報
フィチン酸Na / SODIUM PHYTATE
フィチン酸Naとは
フィチン酸Naはフィチン酸のナトリウム塩です。
フィチン酸とは
フィチン酸は、リン酸化合物の一種でビタミンBの仲間であり、米ぬかやとうもろこしなどから抽出して得られます。淡黄から淡褐色のシロップ状の液体で、酸味があり熱や酸に弱い性質があります。
フィチン酸は、ミネラルと強く結合することで複合体を形成する性質があり、特に、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、鉄、カルシウムに結合しやすいといわれています。
フィチン酸は、食材に含まれるだけでなく、人間やあらゆる動物の細胞内にも存在しています。人間では心筋や脳、骨格筋などに多く含まれており、細胞機能を制御する役割を担っていると言われています。
フィチン酸は1950年代頃から、人間の腎結石の予防や治療のために臨床で用いられていました。腎結石を合併症として高頻度に発病する突発性高カルシウム尿症に対する治療に成功したことや、抗ガン作用があることなども報告されています。
フィチン酸は、人のエネルギーの原料であるATP構成成分のリンの供給源であることも報告されています。
また、フィチン酸には非常に強い抗酸化作用があることも報告されており、人間が体内でエネルギーをつくるときに副産物として発生する活性酸素の生成を抑えるという効果を持っていると言われております。
さらにフィチン酸には、細胞分裂を制御する働きがあります。細胞分裂はすべての生物が成長し、子孫を残す上で基本となるもので、生物は常に細胞分裂を続けています。細胞分裂は通常、コントロールされています。コントロールの効かない細胞分裂は様々な病気の先駆けとなってしまいます。フィチン酸はDNA合成を調整し、細胞分裂を調整していると考えられています(1)。
金属イオンのキレート作用
金属イオンを不活性化させる効果をキレート効果といい、変色防止や沈殿物の発生を防ぐ安定化成分として配合されます(2)。
フィチン酸Naには、この金属イオンをキレートする効果を有していることが報告されており、主に金属イオンを含む硬水の軟化や化粧品の安定化目的で様々な化粧品に汎用されています(3-6)。
金属イオンが化粧品に及ぼす影響としては、酸化促進による油脂類の変臭や変色、機能性成分の阻害、濁りや沈殿などが挙げられ、金属イオンが化粧品に対して及ぼす影響は非常にし重大なものだと考えられます(2)。
また金属イオンが含まれた水でシャンプーをすすいだ場合、泡立ちの悪化、金属セッケンの生成による毛髪のきしみなどが発生すると言われています(2)。
フィチン酸は、金属イオンをキレートすることで、金属イオンを除去してくれるため、上記のような現象の原因を改善してくれる効果が期待されます。
参考文献
- https://himitsu.wakasa.jp › contents › phytic-acid 「わかさの秘密 web」
- 宇山光男、岡部美代治、久光一誠 「化粧品成分ガイド 第6版」(2015)
- 日本化粧品工業連合会(2013)「フィチン酸Na」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,830.
- 日光ケミカルズ株式会社(2006)「金属イオン封鎖剤」新化粧品原料ハンドブックⅠ,476-480.
- 木村 午朗(1967)「フィチン酸について」有機合成化学協会誌(25)(2),167-179. DOI:10.5059/yukigoseikyokaishi.25.167
フィチン酸Naの配合目的
- 金属イオンのキレート作用
フィチン酸Naの安全性情報
皮膚刺激性:ほとんどなし
皮膚感作性:ほとんどなし
W.F. Bergfeld, et al(2018)「Safety Assessment of Polyol Phosphates as Used in Cosmetics(∗2)」
https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR759.pdf
日本語論文
〓 桂玲 , 西尾 道徳 , 前川 孝昭
農業施設 35(4), 197-204, 2005
五島 孜郎 [他]
栄養と食糧 16(6), ????, 1964-03
五島 孜郎 , 関 博麿 , 速水 泱
栄養と食糧 16(6), 522-524, 1964
英語論文
Milleman KR, et al. J Esthet Restor Dent. 2018. PMID: 29411532 Free PMC article. Clinical Trial.
Creeth JE, et al. Clin Oral Investig. 2018. PMID: 29423713 Free PMC article. Clinical Trial.
Liu H, et al. BMC Oral Health. 2021. PMID: 33706750
Effects of sodium phytate and benzethonium chloride rinses on plaque formation in humans.
Gaffar A, et al. Caries Res. 1982. PMID: 6959700 No abstract available.
Effects of sodium phytate and benzethonium chloride rinses on plaque formation in humans.
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TiO2 phytate films as hosts and conduits for cytochrome c electrochemistry.
McKenzie KJ, et al. Bioelectrochemistry. 2005. PMID: 15833701
Huo Y, et al. J Colloid Interface Sci. 2022. PMID: 34798709
Nordbö H, et al. J Dent Res. 1972. PMID: 4555794 Clinical Trial. No abstract available.
Milsom EV, et al. Langmuir. 2005. PMID: 16207025