アスパラグスラセモスス根エキスとは

アスパラグスラセモスス根エキスは、クサスギカズラ科植物のアスパラグスラセモスス（学名：Asparagus racemosus）の根から抽出された植物由来エキスです。

化粧品成分表示名称は「アスパラグスラセモスス根エキス」となっています。

成分番号は559526、INCI名はAsparagus Racemosus Root Extractとされています(1)。

抽出溶媒としては、水、エタノール、BG、またはこれらの混合液が用いられます。

外観は液体ですが、色や匂いなどの詳細は不明です。

アスパラグスラセモススは別名シャタバリとも呼ばれ、インドやスリランカ、オーストラリア、アフリカなどに生育しています(2,3)。

木質のつる植物で1～2mの高さまで成長し、葉は松葉のように小さく均一となっており、花は白くて小さなとげがあるのが特徴です(3)。

天然成分であるため、国や地域・気候・栽培法・収穫時期や抽出条件の違いによりエキスの成分比率に差が見られることがありますが、一般的に含まれる成分は以下の通りです(4)。

アスパラグスラセモスス根エキスの成分

• ラセモフラン
• ラセモソール
• アスパラガミンA
• サルササポゲニン
• ケンペロール
• シトステロール
• シャタバリンⅣ

働きと用途

ラセモフランはアスパラグスラセモスス根の抗酸化成分として機能することが知られています(5)。

インドではアスパラグスラセモススは伝統薬として使われており、ハーブは女性の生理不順に効くとされています(6)。

また、アスパラグスラセモスス根エキスには以下の作用が報告されています。

作用1（抗炎症活性によるアレルギー改善作用）

Subhash氏らの報告によると、カラゲニン誘発足浮腫ラット（※）を用いた試験において、アスパラグスラセモスス根エキスが抗炎症活性を示したことが確認されています(7)。 ※ カラゲニン誘発足浮腫ラットは炎症モデルのラットとして知られています。カラゲニンは炎症物質です。

このことから、アスパラグスラセモスス根エキスが抗炎症作用を有することが示唆されており、アレルギーの改善に有効であると考えられています。

作用2（Ⅰ型プロコラーゲン発現促進及びMMP-1発現抑制による抗シワ作用）

Theerapich氏らの報告によると、ヒトの線維芽細胞を用いた試験において、アスパラグスラセモスス根エキスがⅠ型プロコラーゲン（※1）のmRNA量、及びタンパク質量を増加させたことが確認されています(8)。

※1 Ⅰ型プロコラーゲンは真皮でコラーゲン繊維を螺旋状に形成し、皮膚の弾力性に寄与しているタンパク質の1つです。

また、同様にしてアスパラグスラセモスス根エキスがMMP-1（※2）のmRNA量、及び細胞外分泌量を抑制することも確認されています(8)。

※2 MMP-1はマトリックスメタロプロテアーゼ-1とも呼ばれており、コラーゲンの螺旋構造を切断する作用を有することが知られている酵素です。コラーゲンを切断することからシワ形成に関与することが示唆されています。

これらのことから、アスパラグスラセモスス根エキスがⅠ型プロコラーゲンの発現促進、及びMMP-1の発現抑制と分泌抑制作用を有することが示唆されており、シワの改善に有効であると考えられています。

安全性について

現時点でアスパラグスラセモスス根エキスの眼刺激性、皮膚刺激・感作性の有無に関する報告は確認できていません。そのため、更なる検討が必要だと考えられています。

参考文献

(1) Cosmetic-Info.jp「アスパラグスラセモスス根エキス」

(2) Herbal Database〔ハーブティー薬草データベース〕「シャタバリ」

(3) Shashi A, et al（2013）「Plant profile, phytochemistry and pharmacology of Asparagus racemosus (Shatavari): A review」Asian Pacific Journal of Tropical Disease(3)(3),242-251

(4) J S Negi, et al（2010）「Chemical constituents of Asparagus」Pharmacognosy Reviews(4)(8),215-220

(5) Nathathai W, et al（2004）「Identification of antioxidant compound from Asparagus racemosus」Phytotherapy Research(18)(9),771-773

(6) AMOMA「シャタバリ」ハーブのご紹介

(7) Subhash C M, et al（1998）「Evaluation of Anti-inflammatory Activity of Asparagus racemosus Willd. (Liliaceae) root extract」Natural Product Sciences(4)(4),230-233

(8) Theerapich P, et al（2019）「Asparagus racemosus root extract induced procollagen I expression and inhibited matrix metalloproteinase-1 (MMP-1) in UVB treated human dermal fibroblasts」Songklanakarin Journal of Science and Technology(41)(6),1275-1281

アスパラグスラセモスス根エキスの配合目的

• 抗炎症活性によるアレルギー改善作用(7)
• Ⅰ型プロコラーゲン発現促進及びMMP-1発現抑制による抗シワ作用(8)

なし

なし