表示名称成分詳細
オタネニンジン根エキス
成分番号(JP number): 558890
- INCI
- PANAX GINSENG ROOT EXTRACT
- 定義(Description)
- 本品は、オタネニンジン Panax ginseng の根のエキスである。[Panax schinseng]Panax Ginseng Root Extract is an extract of the roots of the Ginseng, Panax ginseng, Araliaceae
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 人参(PANAX GINSENG)根提取物
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): (none), Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 42.042
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 흑삼추출물
- CAS No.
- 84650-12-4
- EC No.
- 283-493-7
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
原料情報
オタネニンジン根エキス / PANAX GINSENG ROOT EXTRACT
オタネニンジン根エキスとは
オタネニンジン根エキスは、ウコギ科植物オタネニンジン(学名:Panax ginseng、英名:Chinese ginseng、Korean ginseng)の根から得られる植物エキスです。
オタネニンジン(御種人参)は朝鮮人参、高麗人参、ジンセンや単に人参(にんじん)とも呼ばれています。
オタネニンジンは中国、朝鮮半島、インドなどで数千年にわたって用いられており、アジア原産の薬草で最も有名なものと言えます(1)。中国最古の本草書である『神農本草経(しんのうほんぞうきょう)』や古代インドの文献『ヴェーダ』にもオタネニンジンについて記されています(2)。
学名のPanaxはギリシャ語のpan(すべての)とacos(治療する)で、万能薬を意味しています。ginseng(ジンセン)は人参の中国音です(2)。人参の名前は、根の形が手や脚のように見える部分が参集して、人のように見えることが由来とされています。
オタネニンジンは、江戸時代に朝鮮半島より日本に渡来しました。八代将軍吉宗が日光御薬園(現在の東大日光植物園)でオタネニンジンの種子を増やし、これを各藩に配布して栽培を奨励したことから、御種人参と呼ばれるようになりました(2)。
日本では福島県や長野県、島根県などで栽培されていますが、芽が出てから収穫まで5〜6年かかり、日陰の植物なので日除けを必要とし、さらに嫌地を起こして同じ場所で繰り返し栽培できないという手のかかる作物です。
野生種は極めて珍しく、市場に出回るオタネニンジンのほとんどは中国東北部や韓国産の栽培種です(2)。
生薬としてのオタネニンジン
オタネニンジンは漢方の生薬として人参(にんじん)の名前で知られています。
元々、人参はオタネニンジンのことを意味していましたが、江戸時代に西アジア原産の野菜の人参が中国を経て渡来しました。薬用の人参はウコギ科、野菜の人参はセリ科で全く異なりますが、根が直根で太いことだけが似ています。当初は野菜の人参には芹人参(せりにんじん)という名前がついていましたが、いつの間にか「芹」の字がなくなり、人参と言えば野菜を指すようになりました(2)。
オタネニンジンの5〜6年生の根を掘り上げて、水洗いして土砂と外皮を除き、日干しにしたものを白参(はくじん)と言い、水洗い後に身割れを防ぐために布を巻いて蒸して日干しにしたものは赤みを帯びるため紅参(こうじん)と言います(3)。
漢方薬に配合する場合は主に白参を使用します。紅参は蒸すことで一部の成分が失われますが、高血圧気味の人や老人、病弱な人には穏やかに効くという利点があります(4)。
人参は強壮薬として、免疫賦活、抗疲労、胃腸の衰弱の回復、血流の増加などの薬効が知られています(2)。
漢方では風邪をひきやすいなどの体質改善や、精神を安定させたり、血液の生成の促進などに用いられることもあります(5)。
オタネニンジン根エキスの成分
オタネニンジン根エキスの成分には、
・サポニン:ginsenoside
・精油:panaxynol, β-elemene
などが含まれています(6)。
オタネニンジン根エキスの化粧品への配合
オタネニンジン根エキスには代謝促進作用、血行促進作用、肌機能活性作用などがあり、化粧品に配合すると、肌荒れや小ジワ、ニキビ、脱毛、老け防止などに効果があります(7)。
また、消炎作用や収れん作用などもあり、乾燥などに負けない健康的な肌を維持する目的で使用されます(8)。
これらの特徴から、主にクリームや乳液、化粧水、シャンプー、リンスなどに配合されています。
参考文献
(1) 日本メディカルハーブ協会 (2014)「ジンセン」 メディカルハーブ事典, 325-327
(2) 指田豊, 他 (2013)「オタネニンジン」身近な薬用植物, 90-101
(3) 田中孝治, 他 (2002)「オタネニンジン」家庭で使える薬用植物大事典, 58
(4) 水野瑞夫, 他 (2014)「オタネニンジン」くらしの薬草と漢方薬, 113
(5) 田中耕一郎 (2020)「人参」生薬と漢方薬の事典, 103
(6) 伊藤美千穂, 他 (2017)「オタネニンジン」生薬単, 202-203
(7) 鈴木一成 (2008)「ニンジンエキス」化粧品成分用語事典2008, 263
(8) 宇山 光男, 他 (2015)「オタネニンジン」化粧品成分ガイド 第6版, 191
オタネニンジン根エキスの配合目的
・代謝促進作用
・血行促進作用
・肌機能活性作用
・消炎作用
・収れん作用
オタネニンジン根エキスの安全性情報
https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS592.pdf
日本語論文
生薬修治の化学的解明(第5報)紅参(Ginseng Radix Rubra)の含有成分その2 : 同一オタネニンジン根から調製した白参及び紅参の成分比較
北川 勲 [他] , 谷山 登志男 , 渋谷 博孝 , 野田 透 , 吉川 雅之 藥學雜誌 107(7), 495-505, 1987
英語論文
Chemoprevention of chemical-induced skin cancer by Panax ginseng root extract.
Sharma J, Goyal PK.J Ginseng Res. 2015 Jul;39(3):265-73. doi: 10.1016/j.jgr.2015.01.005. Epub 2015 Feb 7.PMID: 26199559 Free PMC article.
Liu J, Xu X, Jiang R, Sun L, Zhao D.Biosci Biotechnol Biochem. 2019 Jul;83(7):1205-1215. doi: 10.1080/09168451.2019.1606694. Epub 2019 Apr 18.PMID: 30999826
First-reported pediatric cases of American ginseng anaphylaxis and allergy.
Erdle SC, Chan ES, Yang H, Vallance BA, Mill C, Wong T.Allergy Asthma Clin Immunol. 2018 Nov 3;14:79. doi: 10.1186/s13223-018-0304-3. eCollection 2018.PMID: 30410551 Free PMC article.
Herbal therapy: what every facial plastic surgeon must know.
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