表示名称成分詳細
ゲンチアナ根エキス
成分番号(JP number): 558553
- INCI
- GENTIANA LUTEA ROOT EXTRACT
- 定義(Description)
- 本品は、ゲンチアナ Gentiana lutea の根のエキスである。Gentiana Lutea Root Extract is an extract of the rhizomes and roots of the Gentian, Gentiana lutea, Gentianaceae
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 黄龙胆(GENTIANA LUTEA)根提取物
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): 1, Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 0.71435
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 큰노랑용담뿌리추출물
- CAS No.
- 72968-42-4 / 97676-22-7
- EC No.
- 277-139-0 / -
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
-
原料情報
ゲンチアナ根エキス / GENTIANA LUTEA ROOT EXTRACT
ゲンチアナ根エキスとは
ゲンチアナ根エキスは、リンドウ科の植物であるゲンチアナ(学名:Gentiana lutea)の根から抽出される植物エキスです。抽出には、水やエタノール、1,3-ブチレングリコール(BG)またはこれらを混合した混合液が使用されています。
ゲンチアナはヨーロッパが原産とされています。スペインからトルコまでの亜高山帯に分布しているため、主に日本では、北海道で栽培されています。しかし、大部分は、スペインやドイツを介してピレネー山脈やアルプスのゲンチアナが輸入されています。
何世紀も前からヨーロッパハーブの一つとして、健康に役立てられてきました。独特の苦みがあるため、ビターなカクテルなどにも使用されています。
ゲンチアナの根や根茎を少し発酵させて乾燥したものは、薬用として使用されることが多く、胃液の分泌亢進や消化促進の作用が報告されています(1)。そのため、ヨーロッパでは、代表的な苦味健胃薬として、慢性胃炎や食欲不振などの症状緩和に活用されています(2)。日本でも、家庭用の苦味健胃薬として利用されている実績があります(3)。
ゲンチアナ根エキスの成分は、天然成分であるため、国や地域、収穫する時期、抽出方法によって多少の差異は生じる可能性がありますが、苦味配糖体であるゲンチオピクロシドやスウェルチアマリンなどのセコイリドイド配糖体類やタンニンが主に含まれています(2,3,4)。
ゲンチアナ根エキスには、メラニン生成を促進することが知られている幹細胞増殖因子(SCF)の発現を抑制するため、色素沈着抑制作用があることが知られています(5)。また、構成成分のタンニンには、タンパク質凝集作用があるため、収れん作用があることが報告されています(6)。
上記の機能以外にも、血行促進効果や消炎効果、発毛促進効果、皮膚の働きを活性化させる細胞賦活効果などが報告されており、肌荒れ防止や抗老化などを目的とした化粧品のほか、育毛用の化粧品にも使用されています(7,8)。
ゲンチアナ根エキスの安全性に関して
日本薬局方と医薬部外品原料規格2021に収載されていること、および10年以上の使用実績の中で重大な皮膚への刺激性や感作性に関して報告がないため、一般的な使用条件であれば皮膚への刺激性や感作性が生じる可能性は低いと考えられます。しかし、安全性に関するデータが現在のところ見当たらないため、詳細に関しては不明です。
一方、目への刺激性に関しては、安全性に関するデータが現在のところ見当たらないため、詳細に関しては不明です。
参考文献
(1) 鈴木 洋(2011)「ゲンチアナ根」カラー版 漢方のくすりの事典 第2版,131-132.
(2) 原島 広至(2017)「ゲンチアナ」生薬単 改訂第3版,140-141.
(3) 鈴木 洋(2011)「ゲンチアナ根」カラー版 漢方のくすりの事典 第2版,131-132.
(4) 日光ケミカルズ(2006)「植物・海藻エキス」新化粧品原料ハンドブックⅠ,369.
(5) 土肥 圭子(2008)「幹細胞増殖因子発現上昇抑制剤」特開2008-273875.
(6) 小西 正敏, 他(2007)「皮膚収斂剤」特開2007-302620.
(7) 鈴木 恵子, 他(1997)「養毛化粧料」特開1997-077639.
(8) 朝田 康夫(2002)「毛髪をつくる細胞は」美容皮膚科学事典,347-349.
ゲンチアナ根エキスの配合目的
- 抗炎症作用
- SCF発現抑制による色素沈着抑制作用
- 皮膚柔軟化による保湿作用
- 収れん作用
- 頭皮抹消血流促進および毛母細胞活性化による育毛作用
ゲンチアナ根エキスの安全性情報
皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について
化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。
眼刺激性について
試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。
日本語論文
植物苦昧成分の化学的研究(第2~3報) (第2報)センブリの苦昧成分(その1)スウェルチアマリ
冨田 裕 日本化學雜誌 81(11), 1726-1728, 1960 J-STAGE
粉末生藥類の研究(第1報) : 贋偽粉末生薬(I)-ゲンチアナ根末
木島 正夫 生薬学雑誌 6(1), 2-6, 1953 国立国会図書館デジタルコレクション
英語論文
Seiwerth J, et al. Planta Med. 2019.PMID: 30690691 Clinical Trial.
Wu QY, et al. Phytomedicine. 2019.PMID: 30668315
Gentiana scabra Bunge rootsalleviates skin lesions of contact dermatitis in mice.
Yang B, et al. J Ethnopharmacol. 2019.PMID: 30630090
Wölfle U, et al. Int J Mol Sci. 2017.PMID: 28829355 Free PMC article.
EFSA Panel on Additives and Products or Substances used in Animal Feed (FEEDAP), et al. EFSA J. 2021. PMID: 33897869
Lim H, et al. Arch Pharm Res. 2006.PMID: 16833019
Oztürk N, et al. Planta Med. 2006.PMID: 16557467
Kintzios S, et al. J Pharm Biomed Anal. 2010.PMID: 20541883