表示名称成分詳細
β-グルカン
成分番号(JP number): 557871
- INCI
- BETA-GLUCAN
- 定義(Description)
- 本品は、グルコース（＊）がβ－１，３グルコシド結合した多糖類である。beta-Glucan is a polysaccharide consisting of b(1-3) linked glucose chains carrying b(1-6) linked glucose sidechains
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- β-葡聚糖
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): (none), Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 30
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 베타-글루칸
- CAS No.
- 26874-89-5
- EC No.
- -
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
-
原料情報
β-グルカン / BETA-GLUCAN
β－グルカンとは
β－グルカンは酵素の自己消化作用やアルカリ抽出を利用し、細胞壁から抽出して分離することで得ることができます。また、β－グルカンは水への溶解性が低いという特徴を持っているため、水溶性を高めたカルボキシメチル化β－グルカンも開発されています(1)。
β－グルカンはアガリクスを始めとするキノコ類やパン酵母の細胞壁に含まれることで知られる天然成分です。
その原料にはハナビラタケやスエヒロタケ、黒酵母、パン酵母などがあり、原料の由来によりβ-1.3グルカンやβ-1.3-1.6-グルカンを抽出することができます。このうちβ-1.3-1.6-グルカンは化粧品原料として使用する上で最も優れていると言われています(2)。
なお化粧品成分表示名称は「β－グルカン」であり、成分番号は557871、INCI名はBeta-Glucanとされています(3)。
定義：本品は、グルコースがβ（１－３）、β（１－４）及びβ（１－６）結合した多糖類である(8)。
働きと用途
化粧品分野においては増量剤として利用されるほか、保湿作用についても知られていることから皮膚コンディショニング剤などとして、スキンケア化粧品を始め様々な製品に活用されています(4)。
特にβ－グルカンはヒアルロン酸の2倍以上の保湿力をもつと言われ、その高い浸透力により、角質層まで浸透することで肌に潤いや滑らかさを与える優れた水分保持能を持つことが知られています(2)。
角質層の水分量保持による保湿作用
角質層の柔軟性は水分量10～20%の間において自然な柔軟性を示す一方で、水分量が10%以下になると角質層のひび割れや肌荒れを生じると考えられています。つまり様々な要因により角質層の保湿機能が低下し、その水分量が低下することで、乾燥による皮膚表面の亀裂や落屑、鱗屑などを生じさせることになります(5)。
そういったことから肌荒れやバリア機能の低下に伴う角質層の水分量の低下が起こっている場合、皮膚の水分蒸散を防止するために皮膚表面に水分を含んだ膜を形成することは皮膚の乾燥やひび割れ、肌荒れの予防や改善において重要なアプローチの一つとなります。
2014年に報告されたインタートレード社の角質層の水分量に及ぼす検証によると、β－グルカンは比較として用いたヒアルロン酸ナトリウムよりも高い角質水分量の上昇が確認されました(6)。
さらに天然保湿因子（NMF：natural Moisturizing Factor）の構成主成分である遊離アミノ酸の変化量についても確認したところ、β－グルカンにはアミノ酸含量を増加させることも確認できました(6)。
この検証により、β－グルカンには角質層の水分量を保持し、その保湿効果により肌のハリや滑らかさを保つ効果があることが分かりました。
安全性について
β－グルカンは古くからヒトに喫食されている成分であり、動物を用いた試験からも食品素材として安全性が担保されています(7)。
化粧品としても古くから知られている成分であり、眼刺激性や皮膚刺激性、皮膚感作性（アレルギー性）に関する重大な報告も見当たらず、化粧品配合量および通常使用下において一般的な使用であれば安全性に問題の無い成分であると考えられます。
但し、炭水化物へのアレルギーを有している場合には注意が必要です。
参考文献
(1)鈴木一成（2012）「β－グルカン」化粧品成分用語事典中央書院,207
(2)β－グルカンが持つ化粧品としての美肌効果｜スパ・ボーテ コンシェル (spa-beaute.net),https://www.spa-beaute.net/spa_treatment/component/beta-glucan.html 2021年12月5日アクセス.
(3)化粧品の成分表示名称リスト | 日本化粧品工業連合会 (jcia.org),https://www.jcia.org/user/business/ingredients/namelist 2021年12月5日アクセス.
(4)β－グルカン(化粧品)：Cosmetic-Info.jp,https://www.cosmetic-info.jp/jcln/detail.php?id=6663 2021年12月5日アクセス.
(5)日光ケミカルズ株式会社（2006）「水」新化粧品原料ハンドブックⅠ,487-502.
(6)ハナビラタケエキスによる 肌の保湿効果に関する臨床研究試験 総括報告書 株式会社インタートレード（作成年月日：2014年4月1日）,https://www.heiwa.net/pdf/clinicaltraial2_j.pdf 2021年12月6日アクセス.
(7)β－グルカン協議会 (bga.jp),https://bga.jp/news/news_detail3.php?fl=1469321411 2021年12月5日アクセス.
(8)化粧品の成分表示名称リスト | 日本化粧品工業連合会
(jcia.org),https://www.jcia.org/user/business/ingredients/namelist 2024年12月2日アクセス.
β－グルカンの配合目的
- 角質層の水分量保持による保湿作用
β－グルカンの安全性情報
日本語論文
湿熱処理したコロイダルオートミールの生物学的利用能向上に関する研究
吉田 信行 , 浦川 雅満 , 大平 淳史 , 後藤 正男 日本化粧品技術者会誌 52(4), 269-274, 2018
β-グルカンとインド生薬Bergenia ligulataの化粧品への応用 (特集/香粧品の新原料・新技術(1))
柳沼 歩 , 村田 一惠 , 松田 恒 フレグランスジャーナル 31(11), 114-119, 2003-11
英語論文
Du B, Bian Z, Xu B.Phytother Res. 2014 Feb;28(2):159-66. doi: 10.1002/ptr.4963. Epub 2013 Mar 11.PMID: 23494974
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Characterization of Collagen/Beta Glucan Hydrogels Crosslinked with Tannic Acid.
Michalska-Sionkowska M, Warżyńska O, Kaczmarek-Szczepańska B, Łukowicz K, Osyczka AM, Walczak M.Polymers (Basel). 2021 Oct 5;13(19):3412. doi: 10.3390/polym13193412.PMID: 34641227
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Food and Drug Administration, HHS.Fed Regist. 2004 Sep 23;69(184):56934-6.PMID: 15386877
Effectiveness of beta-glucan collagen for treatment of partial-thickness burns in children.
Delatte SJ, Evans J, Hebra A, Adamson W, Othersen HB, Tagge EP.J Pediatr Surg. 2001 Jan;36(1):113-8. doi: 10.1053/jpsu.2001.20024.PMID: 11150448
