表示名称成分詳細
カミツレ花エキス
成分番号(JP number): 557837
- INCI
- CHAMOMILLA RECUTITA FLOWER EXTRACT
- 定義(Description)
- 本品は、カミツレ Chamomilla recutita の花のエキスである。[Chamomilla officinalis]、[Matricaria chamomilla]Chamomilla Recutita Flower Extract is an extract of the flowerheads of the matricaria, Chamomilla recutita (L.), Compositae
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- -
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- -
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 마트리카리아꽃추출물
- CAS No.
- 84082-60-0
- EC No.
- 282-006-5
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
-
原料情報
カミツレ花エキス / CHAMOMILLA RECUTITA FLOWER EXTRACT
カミツレ花エキスとは
カミツレ花エキスは、キク科植物ジャーマンカモミール(学名:Matricaria recutita、Matricaria chamomilla)の花から得られる植物エキスです。
ジャーマンカモミール(German chamomile)は、ヨーロッパ原産の一〜二年草で、現在はヨーロッパ全域、西アジアなどに分布しています。主に陽のあたる空き地や草地などに生育し、日本でも栽培が行われています。草丈は20〜60センチメートルで、初夏になると花びらが白く中心が黄色い花をつけます(1)。
古代エジプト人は、カモミールを太陽神ラーから授かった聖なる贈り物と考えており、さまざまな病気に効果のあるこの植物を大切にしていました。カモミールは薬品や化粧品、さらに死者をミイラにする際にも利用されていました(2)。
薬用ハーブとしてのカミツレ
紀元前1世紀ごろになるとジャーマンカモミールはヨーロッパのハーブ療法で一定の評価を受け、中世の僧院の庭には必ず植えられていました。当時の草本書には「消化器系の不調や膨満感を和らげ、睡眠を促し、腎臓結石や胆石を溶かすために用いられる」と書かれています(2)。
今日、カミツレには抗炎症作用、鎮痙(ちんけい)作用、鎮痛作用、創傷治癒作用、発汗作用、強壮作用などの薬効が知られています(3),(4)。特に消化器症状や炎症に対するハーブとして人気があります。近年のハーブ療法では、主に消化不良、胸やけ、鼓腸、下痢、胃炎などに使用されています(2)。
外用では、消炎作用のあるカマズレンを含んでいるため皮膚粘膜の炎症に効果があり、皮膚の荒れや痒みを治します(4)。皮膚の回復力を高めて感染を防ぐ効果から、湿疹やおむつかぶれ、皮膚炎、軽い傷を治療するためのクリーム剤にも使用されています(2)。また、乾燥させた茎葉を浴剤として用いると、疲労回復、肩こり、腰痛、リウマチ、神経痛などに効果があります(4),(5)。
カミツレ花エキスの成分
カミツレ花エキスの成分には、
・精油:α-bisabolol, chamazulene
・フラボノイド:apigenin
・クマリン:herniarin
などが含まれています(1),(6)。
カミツレ花エキスの化粧品への配合
カミツレ花エキス含まれるカマズレンやα-ビサボロールには抗炎症作用や抗アレルギー作用、アピゲニンには消炎作用や鎮静作用があり、カミツレ花エキスには保湿作用や収れん作用、血行促進作用なども知られています(6)。
また、日焼けによるシミ、そばかすを防ぐ美白有効成分として承認されているカモミラETも含まれています。そのため、スキンケア製品やヘアケア製品などに広く使用されています。
Cosmetic Ingredient Reviewでは、さまざまな安全試験データから現在化粧品として用いられている使用方法や濃度内でのカミツレ花エキスの安全性が結論づけられています(7)。
アメリカ食品医薬品局(FDA)が実施する化粧品自主登録プログラム(VCRP)によると、2016年時点で、カミツレ花エキスを配合している製品の登録数は合計156で、主にスキンケア、ボディケア、ヘアケア製品などの幅広い製品に使用されています。そのうちリーブオン製品は77製品、リンスオフ製品は79製品でした(7)。
製品への含有量についてパーソナルケア製品評議会が実施した調査によると、カミツレ花エキスはリーブオン製品で0.000004%から0.5%、リンスオフ製品で0.0000005%から0.2%の配合率で使用されていました(7)。
参考文献
(1) 指田豊, 他 (2013)「カミツレ」身近な薬用植物, 254
(2) 日本メディカルハーブ協会 (2014)「ジャーマンカモミール」 メディカルハーブ事典, 145-147
(3) ジェニー・ハーディング (2012)「ジャーマンカモミール」ハーブ図鑑, 164-165
(4) 水野瑞夫, 他 (2014)「カミツレ」くらしの薬草と漢方薬, 125
(5) 田中孝治, 他 (2002)「カミツレ」家庭で使える薬用植物大事典, 74
(6) 鈴木一成 (2008)「カモミラエキス」化粧品成分用語事典2008, 206
(7) Cosmetic Ingredient Review (2018)「Amended Safety Assessment of Chamomilla recutita-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology (37) (Suppl 3), 51S-79S
カミツレ花エキスの配合目的
・抗炎症作用
・抗アレルギー作用
・消炎作用
・鎮静作用
・保湿作用
・収れん作用
・血行促進作用
カミツレ花エキスの安全性情報
https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS707.pdf
日本語論文
三輪 保 日本消化機病学会雑誌 36(5), 328-329, 1937
英語論文
Polyherbal combination for wound healing: Matricaria chamomilla L. and Punica granatum L.
Niknam S, Tofighi Z, Faramarzi MA, Abdollahifar MA, Sajadi E, Dinarvand R, Toliyat T.Daru. 2021 Jun;29(1):133-145. doi: 10.1007/s40199-021-00392-x. Epub 2021 May 9.PMID: 33966255 Free article.
Clinical cross-reactivity between Artemisia vulgaris and Matricaria chamomilla (chamomile).
de la Torre Morín F, Sánchez Machín I, García Robaina JC, Fernández-Caldas E, Sánchez Triviño M.J Investig Allergol Clin Immunol. 2001;11(2):118-22.PMID: 11642570
Avonto C, Rua D, Lasonkar PB, Chittiboyina AG, Khan IA.Toxicol Appl Pharmacol. 2017 Mar 1;318:16-22. doi: 10.1016/j.taap.2017.01.009. Epub 2017 Jan 19.PMID: 28109818
Pirali-Kheirabadi K, Razzaghi-Abyaneh M.J Zhejiang Univ Sci B. 2007 Sep;8(9):693-6. doi: 10.1631/jzus.2007.B0693.PMID: 17726752 Free PMC article.