表示名称成分詳細
エチルヘキサン酸セチル
成分番号(JP number): 557443
- INCI
- CETYL ETHYLHEXANOATE
- 定義(Description)
- 本品は、2-エチルヘキサン酸とセタノール(*)のエステルであり、次の化学式で表される。Hexadecyl 2-ethylhexanoate
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 鲸蜡醇乙基己酸酯
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): 86.54, Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 78.187
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 세틸에틸헥사노에이트
- CAS No.
- 59130-69-7
- EC No.
- 261-619-1
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
-
原料情報
エチルヘキサン酸セチル / CETYL ETHYLHEXANOATE
エチルヘキサン酸エチルとは
エチルヘキサン酸セチルは、肌や髪の毛への親和性や遅延性がよく、肌や髪からの水分蒸発を抑えて潤いを保つことで、肌を柔らかくするエモリエント作用、また感触改良作用が期待できる成分です。
エモリエント剤としてだけではなく、油性成分としてエマルジョンの製造成分に使用されることも多く、製品の70~100%を占めるベース剤としても分類されています。
製品としては乳化系スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ化粧品、シート&マスク製品、洗浄製品、ヘアケア製品などに配合されています(1)。
エチルヘキサン酸セチルの名称は新名称であり、旧名称はオクタン酸セチル、医薬品部外品表示名称は2-エチルヘキサン酸セチルと複数の名称が混在する可能性があり、注意が必要です。
エチルヘキサン酸セチルの構造は、2-エチルヘキサン酸とセタノールのエステルです。
エステルとは脂肪酸または有機酸とアルコールとの脱水縮合反応(エステル化)によって得られる油性成分です。
セタノールとは、ヤシ科植物ギニアアブラヤシ(学名:eLAEIS GUINEENSIS 英名:PALM)の果肉から得られるバーム油(植物油脂)を還元して作られた、炭素16の一価アルコール(高級アルコール)です。
エモリエント剤
エモリエント剤としては、皮膚表面の閉塞を行い、角質層からの水分蒸発を防ぐことで潤いを保つことを目的に配合されています。
あくまでも、エモリエント作用とは角質層からの水分蒸発の抑制作用ですので、角質層への保湿、保水作用があるわけではありません。
角質層の構造として水分、天然保湿因子(NMF)、皮脂、細胞間脂質が関係しています。肌を保護するという考え方から、保湿成分で水分を補い、潤いを与えると共に、油性成分であるエモリエント剤をバランス良く配合する必要があるのです(2)。
感触改良
感触改良とはエチルヘキサン酸セチルが肌、髪の潤滑剤となることで滑らかな感触へと向上させてくれる作用です。
感触改良にも遅延性の良さ、肌や髪への親和性が良いことが重要になってきます。
エチルヘキサン酸セチルは遅延性も良い油性剤となっています。遅延性がよい特徴から肌や髪の広範囲に成分を広げる、拡散性も注目されています。
安全性に関して10年の使用実績があり、皮膚刺激において一般的な使用であれば、安全性は高いと言われています(3)。
皮膚刺激においては未希釈のエチルヘキサン酸セチルを皮膚に塗布する実験が行われており、軽度の刺激が出る可能性があると報告されています。
ですが、皮膚刺激の試験において「未希釈」を使用しているため、実際の化粧品製剤としての濃度では、皮膚刺激は起こりにくいと考えられています。
参考文献
(1)機能性エマルションの技術と評価. (2007). 日本: シーエムシー出版.
(2)A. Tomiie, et al(2016)「Moisturizing Effects of Diglycerol Combined with Glycerol on Human Stratum Corneum」Journal of Oleo Science(65)(8),681-684. OI:10.5650/jos.ess15253
(3)Cosmetic Ingredient Review(2015)「Safety Assessment of Alkyl Ethylhexanoates as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(34)(3_Suppl),61S-73S.
エチルヘキサン酸セチルの配合目的
- 角質層からの水分蒸発抑制作用(エモリエント作用)
- 肌・髪への親和性、遅延性の高さから感触改良作用
エチルヘキサン酸セチルの安全性情報
皮膚刺激性は非刺激-軽度の皮膚刺激が起こる可能性があると考えられます(1)。
化粧品配合範囲内において臨床的に重要な皮膚刺激性はほとんどないと考えられます(1)。
参考文献
(1)Cosmetic Ingredient Review(2015)「Safety Assessment of Alkyl Ethylhexanoates as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(34)(3_Suppl),61S-73S.
日本語論文
道喜 角史 , 戸谷 永生 日本化粧品技術者会誌 32(1), 17-25, 1997
英語論文
Metabolism of 2-ethylhexanoic acid administered orally or dermally to the female Fischer 344 rat.
English JC, et al. Xenobiotica. 1998. PMID: 9711813
Evaluation of workers' exposure to 2-ethylhexanoic acid (2-EHA) in Finnish sawmills. A field study.
Kröger S, et al. Int Arch Occup Environ Health. 1990. PMID: 2347643
Metabolism of 2-ethylhexanol administered orally and dermally to the female Fischer 344 rat.
Deisinger PJ, et al. Xenobiotica. 1994. PMID: 8079502
Chen X, et al. Drug Dev Ind Pharm. 2009. PMID: 19514985 Clinical Trial.
Anavekar NS, et al. Australas J Dermatol. 2006. PMID: 16637815