表示名称成分詳細
オリーブ油脂肪酸ソルビタン
成分番号(JP number): 557238
- INCI
- SORBITAN OLIVATE
- 定義(Description)
- 本品は、オリーブ油(*)から得られる脂肪酸とソルビタンのモノエステルであり、次の化学式で表される。RCO:オリーブ油脂肪酸アシル基D-Glucitol, 1,4-Anhydro-, 6-monoester with olive oil fatty acids
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 山梨坦橄榄油酸酯
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): (none), Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 10.65
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 솔비탄올리베이트
- CAS No.
- 223706-40-9
- EC No.
- -
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
-
原料情報
オリーブ油脂肪酸ソルビタン / SORBITAN OLIVATE
オリーブ油脂肪酸ソルビタンとは
[化粧品成分表示名称]
・オリーブ油脂肪酸ソルビタン
オリーブ油脂肪酸ソルビタン(Sorbitan Olivate)は、モクセイ科植物オリーブの果実から得られるオリーブ果実油の脂肪酸とソルビタンのモノエステルです。多価アルコール型の非イオン界面活性剤(ノニオン界面活性剤)に分類されます。
オリーブ油脂肪酸ソルビタンは、グルコースの還元により調製されるソルビトールを環化したソルビタンを親水基とするノニオン界面活性剤で、ソルビトール・ソルビタンとオリーブ果実油の脂肪酸のエステル化により調製されます(1)。
オリーブ果実油に含まれる脂肪酸組成は、オリーブの栽培されている地域や抽出方法によっても異なりますが、主に下記の脂肪酸が含まれています(2)。(カッコ内の数字は炭素数と二重結合数を示しています)
・オレイン酸 (C18:1) 53-86%
・パルミチン酸 (C16) 7.5-20%
・リノール酸 (C18:2) 3.5-20%
・ステアリン酸 (C18) 0.5-3.5%
・パルミトレイン酸 (C16:1) 0.3-3.5%
・リノレン酸 (C18:3) 0-1.5%
上記より、オリーブ油脂肪酸ソルビタンは炭素数18の一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸からなるオレイン酸ソルビタンを主体とした、ノニオン界面活性剤であることが分かります。
界面活性剤としてのオリーブ油脂肪酸ソルビタン
親水基として多価アルコールのソルビタンを含んでいるオリーブ油脂肪酸ソルビタンは、非イオン界面活性剤(ノニオン界面活性剤)に分類されます。
ノニオン界面活性剤は、水中でイオン化しない親水基を持った界面活性剤です。酸性でもアルカリ性でも使用することができ、水の硬度の影響を受けにくいなど化学的に安定な性質があり、さまざまな界面活性剤と併用することができます。乳化作用・分散作用に優れており、幅広い分野で使用されています。
多価アルコール型のノニオン界面活性剤は、一般に天然由来で毒性も低いことから、化粧品・身体洗浄料だけでなく、食品や医療品の乳化・可溶化剤としても用いられています。曇天現象を起こさないため、幅広い温度領域で長期保存安定性を確保しやすいという特徴があります(1)。
オリーブ油脂肪酸ソルビタンなどのソルビタン脂肪酸エステルは、水溶性が低いため界面活性剤として単独で使用されることは少なく、多くの場合親水性の高い他の界面活性剤と併用されます。
エマルションの基本構造には、水の中に油滴が分散したO/W型(Oil in Water type)と、油の中に水滴が分散したW/O型(Water in Oil type)があります。親油性の高いオリーブ油脂肪酸ソルビタンを乳化剤と使用した場合、多くの条件下でW/O型のエマルションが生成されます。
オリーブ油脂肪酸ソルビタンの化粧品への配合
オリーブ油脂肪酸ソルビタンには、化粧品のエマルションを調製するための乳化剤としての働きが知られており(3)、主にスキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、ボディ&ハンドケア製品、洗顔料などに使用されています。
オリーブ油脂肪酸ソルビタンは親油性のため、他の親水性界面活性剤と併用することによって優れた乳化力を発揮します。一例として、オリーブ油脂肪酸ソルビタンをオリーブ油脂肪酸セテアリルと併用して乳化剤として使用した場合、O/W型乳化剤として、角質層の組織構造と近いラメラ液晶構造を形成します。エマルションの浸透性を高め、皮膚バリア機能強化や長期保湿作用などの働きを持つ乳化剤として、主にリンスやコンディショナーなどのヘアケア製品に使用されています(4)。
Cosmetic Ingredient Reviewでは、さまざまな安全試験データから一般的に化粧品として使用されている濃度内でのオリーブ油脂肪酸ソルビタンの安全性が結論づけられています(3)。
アメリカ食品医薬品局(FDA)が実施する化粧品自主登録プログラム(VCRP)によると、2014年時点で、オリーブ油脂肪酸ソルビタンを配合している製品の登録数は合計214で、そのうちリーブオン製品は179製品、リンスオフ製品は35製品でした(3)。
製品への含有量について2014年にパーソナルケア製品評議会が実施した調査によると、オリーブ油脂肪酸ソルビタンはリーブオン製品で0.004%から7.7%、リンスオフ製品で0.7%から0.88%の配合率で使用されていました(3)。
参考文献
- 野々村美宗 (2015)「ノニオン界面活性剤」化粧品医薬部外品医薬品のための界面化学, 52-56
- Cosmetic Ingredient Review (2017)「Safety Assessment of Plant-Derived Fatty Acid Oils」International Journal of Toxicology (36) (Supplement3), 51S-129S
- Cosmetic Ingredient Review (2019)「Safety Assessment of Sorbitan Esters as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology (38) (Supplement2), 60S-80S
- Hallstar Company (-)「Olivem® 100」 https://www.hallstarbeauty.com/product/olivem-1000/ 2021年11月24日アクセス
オリーブ油脂肪酸ソルビタンの配合目的
- 乳化剤
オリーブ油脂肪酸ソルビタンの安全性情報
https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS682.pdf
https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS305.pdf
日本語論文
なし
英語論文
なし