表示名称成分詳細
ヨーロッパブナ芽エキス
成分番号(JP number): 556741
- INCI
- FAGUS SYLVATICA BUD EXTRACT
- 定義(Description)
- 本品は、ヨーロッパブナ Fagus sylvatica の芽のエキスである。Fagus Sylvatica Bud Extract is an extract of the the buds of the Beech, Fagus sylvatica L., Fagaceae
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 欧洲水青冈(FAGUS SYLVATICA)芽提取物
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): (none), Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 2
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 너도밤나무싹추출물
- CAS No.
- 85251-65-6
- EC No.
- 286-477-8
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
-
原料情報
ヨーロッパブナ芽エキス / FAGUS SYLVATICA BUD EXTRACT
ヨーロッパブナ芽エキスとは
ヨーロッパブナ芽エキスはブナ科の落葉性広葉樹の一種であるヨーロッパブナ(Fagus sylvatica)の幼芽から水で抽出した後に濃縮し、有機酸を除去したエキスです。
ヨーロッパブナ芽は「永遠の若木」や「若返りの木」とも呼ばれています。
化粧品成分表示名称は「ヨーロッパブナ芽エキス」、医薬部外品表示名称は「ブナエキス」です。
ヨーロッパブナは、1年を通して雨の量が多く、よく霧が発生する湿気の多い気候で、石灰質や弱酸性の水はけがいい土壌を好むため、主にスウェーデン南部、シチリア島北部 、フランス、イングランド南部、ポルトガル北部、スペイン中央部、トルコ北西部に自生しています。
ヨーロッパブナ芽エキスは天然由来の成分であるため、収穫された地域、温度や湿度、抽出方法によって含まれる成分が多少変わりますが、主な組成成分は「オリゴサッカライド」「フラボノイド類:クエルセチン」「カフェ酸誘導体」「タンニン」の4つを中心として構成されています(1,2,3)。
化粧品にヨーロッパブナ芽エキスを配合する際、抗老化成分や保湿成分の目的で、スキンケア化粧品を中心とした、ボディケア製品やシートマスクなどの製品に配合されています(1,3,4)。
また、ヨーロッパブナは落葉性広葉樹の一種でもあるため、リラックス効果が期待できる森林セラピーなどにも活用されています。そのリラックス効果を活かしコンセプト化したヘアーケア商品やボディケア製品、入浴剤などにも応用されています(5)。
株式会社資生堂から2002年に発表された『「ブナの芽エキス」と「ペパーミントエキス」に 皮膚の老化の原因である表皮基底膜の破損を修復する効果を発見』の効果検証によると、表皮基底膜の損傷を修復する効果を植物由来成分300種類以上を使って検証した結果、ヨーロッパブナ芽エキスにⅣ型、Ⅶ型コラーゲンの産生を促進する効果があることが明らかとなりました(4)。
さらに株式会社資生堂では、ラミニン5(基底膜と真皮をつなぎとめる役割)の産生を促進する「リピデュール(大豆リゾレシチン)」、Ⅳ型およびⅦ型コラーゲン産生を促進する「ヨーロッパブナ芽エキス」、Ⅳ型とⅦ型のコラーゲンの分子間結合ドメインを安定化させ守る「ペパーミントエキス」の3つの成分を掛け合わせることで、基底膜構造の再構築・修復効果が促進されることが検証されています(4)。
ヨーロッパブナ芽エキスには、フィラグリンの産生を促す効果があり、フィラグリンの産生が増えると角層の保湿成分であるNMF(アミノ酸)も増加するため、肌の水分量が増すため、保湿効果を高める効果があると考えらています。
皮膚への刺激性・アレルギーについて
化粧品への配合量や通常の使用では、一般的に皮膚への刺激やアレルギーについてはほとんどないという可能性が高いですが、安全性の試験結果のデータが現時点では見つかっていないため、詳細は不明です。
眼刺激性について
化粧品への配合量や通常の使用では、一般的に眼刺激性についてはほとんどないという可能性が高いですが、安全性の試験結果のデータが現時点では見つかっていないため、詳細は不明です。
参考文献
- 日光ケミカルズ(2006)「植物・海藻エキス」新化粧品原料ハンドブックⅠ,382.
- 宇山 侊男, 他(2015)「ブナ」化粧品成分ガイド 第6版,216.
- 鈴木 一成(2012)「ブナの芽エキス(ブナエキス)」化粧品成分用語事典2012,332.
- 株式会社資生堂(2002)『「ブナの芽エキス」と「ペパーミントエキス」に 皮膚の老化の原因である表皮基底膜の破損を修復する効果を発見』
- 森林総合研究所(2006)『森林セラピーを活用した自然とのふれあい空間の計画』
ヨーロッパブナ芽エキスの配合目的
・Ⅳ型およびⅦ型コラーゲン産生を促すことによる抗シワ作用
・フィラグリン産生を促すことによる保湿作用
ヨーロッパブナ芽エキスの安全性情報
- ヨーロッパブナ芽エキスは、外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載されています(1)。
- 皮膚刺激性、皮膚感作性に関しては、報告がないためほとんどないと考えられますが、試験データがないため詳細は不明です。
参考文献
(1)医薬部外品原料規格2021(https://www.mhlw.go.jp/content/000843321.pdf)
日本語論文
なし
英語論文
Fungal Planet description sheets: 1042-1111.
Crous PW, et al. Persoonia. 2020.PMID: 33116344