表示名称成分詳細
グルタミン
成分番号(JP number): 556471
- INCI
- GLUTAMINE
- 定義(Description)
- 本品は、次の化学式で表されるアミノ酸である。(S)-2,5-Diamino-5-oxopentanoic acid
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 谷氨酰胺
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): (none), Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 9
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 글루타민
- CAS No.
- 2490-97-3
- EC No.
- 219-647-7
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
-
原料情報
グルタミン / GLUTAMINE
グルタミンとは
グルタミンはアミノ酸の一つであり、アミノ基(-NH₂)とカルボキシル基(-COOH)をもち、側鎖にアミドをもつ双性イオン化合物であり、中性アミノ酸の酢酸アミノ酸アミドに分類されています(1,2)。
グルタミンは自然界において遊離の形で存在し、さらにタンパク質の構成成分として生物の体内に存在していることが知られています。また、ヒトの体内において生合成されている成分としても知られ、植物においてはカボチャやヒマワリに多く含まれています(2,3)。
その活用用途としては食品分野や医薬品分野にも及んでいます。
特に食品分野では調味料としての活用が知られており、味の改善やアミノ酸バランス強化を目的として用いられています(3)。医薬品分野ではムコ多糖体代謝賦活や胃粘膜上皮修復目的の治療薬や賦形目的の医薬品添加物として経口剤に用いられています(4)。
化粧品成分としては保湿作用やヘアコンディショニングを目的として、スキンケア化粧品やボディ&ハンドケア製品、シャンプー製品など様々な製品に活用されています。
グルタミンの配合目的
- 角層水分量増加による保湿作用
- ヘアコンディショニング
保湿作用
アミノ酸は天然保湿因子(NMF:natural Moisturizing Factor)の主要成分であることから皮膚の潤いを保つ効果があります。
1996年に行われた味の素社とカリフォルニア大学医学部皮膚科の検証において、ヒト皮膚における5種類の水溶性アミノ酸の皮膚透過挙動を経時評価したところ、いずれのアミノ酸においても経皮吸収にタイムラグがあり、アミノ酸の種類によって透過量も異なることが分かりました。
同様に角質層を擦って剥いだ肌荒れ状態のヒト皮膚への5種類の水溶性アミノ酸の皮膚透過挙動を経時評価したところ、いずれのアミノ酸においても経皮吸収のタイムラグが短縮され、さらに蓄積量の増大も見られました。
以上の検証結果により、水溶性アミノ酸は健常な皮膚においては経時的に穏やかな経皮吸収性をもち、バリア機能が低下した皮膚に対してはより優れた経皮吸収性をもつことが認められています(6)。
ヘアコンディショニング
アミノ酸は天然保湿因子(NMF)の主要成分であることから毛髪の潤いを保つヘアコンディショニング作用を目的として、毛髪を対象とした化粧品に用いられています(1)。
グルタミンの安全性情報
https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS607.pdf
グルタミンは1980年代から使用実績があり、食品添加物の既存添加物リストのほか、日本薬局方にも収載されています。
また、30年以上の使用実績の中で重大な皮膚刺激や皮膚感作に関する報告が見当たらないことから、皮膚刺激性や皮膚感作性(アレルギー性)については殆どないと考えられています。
以上のことから化粧品配合量および通常使用下において一般的な使用であれば安全性に問題の無い成分であると言われています。
参考文献
(1) 日本化粧品工業連合会(2013)「グルタミン」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,376.
(2) 大木 道則, 他(1989)「グルタミン」化学大辞典,650.
(3) 樋口 彰, 他(2019)「L-グルタミン」食品添加物事典 新訂第二版,121.
(4) 浦部 晶夫, 他(2021)「L-グルタミン」今日の治療薬2021:解説と便覧,785.
(6) 川崎 由明, 他(1996)「In vitroによるアミノ酸のヒト皮膚での経皮吸収挙動の解析」日本化粧品技術者会誌(30)(1),55-61. DOI:10.5107/sccj.30.55
日本語論文
特定の無機紫外線散乱剤と分散剤を用いた易洗浄性を有するサンスクリーン製剤の開発
高橋 功 , 根村 和宏 , 佐々木 泉
日本化粧品技術者会誌 52(1), 24-30, 2018
肌をうるおすバイオのちから : ポリ-γ-グルタミン酸 (特集 化粧品の新原料の開発動向を探る)
渡邊 裕一 Fragrance journal 40(4), 47-49, 2012-04
石井 博治 オレオサイエンス = / Japan oil chemists' society 4(3), 97-103, 2004-03-01
石井 博治 , 三上 直子 日本化粧品技術者会誌 30(2), 195-201, 1996
新しい低刺激性石けんOPS‐5の各種皮膚疾患患者に対する使用試験
宮澤 順子 , 種田 明生 皮膚 25(4), 740-744, 1983
英語論文
Yang F, Zhou Z, Guo M, Zhou Z.J Cosmet Dermatol. 2021 Nov 24. doi: 10.1111/jocd.14635. Online ahead of print.PMID: 34817909
Lather A, Sharma S, Khatkar A.Sci Rep. 2020 Nov 24;10(1):20477. doi: 10.1038/s41598-020-77511-2.PMID: 33235242 Free PMC article.
Novel transglutaminase inhibitors reduce the cornified cell envelope formation.
Kim SY, Park WM, Jung SW, Lee J.Biochem Biophys Res Commun. 1997 Apr 7;233(1):39-44. doi: 10.1006/bbrc.1997.6407.PMID: 9144392
Harker M, Carvell AM, Marti VP, Riazanskaia S, Kelso H, Taylor D, Grimshaw S, Arnold DS, Zillmer R, Shaw J, Kirk JM, Alcasid ZM, Gonzales-Tanon S, Chan GP, Rosing EA, Smith AM.J Dermatol Sci. 2014 Jan;73(1):23-30. doi: 10.1016/j.jdermsci.2013.08.016. Epub 2013 Sep 10.PMID: 24076068