表示名称成分詳細
メタクリル酸メチルクロスポリマー
成分番号(JP number): 556292
- INCI
- METHYL METHACRYLATE CROSSPOLYMER
- 定義(Description)
- 本品は、ポリメタクリル酸メチル(*)をジメタクリル酸エチレングリコールで架橋したものである。2-Propenoic acid, 2-methyl-, 1,2-ethanediyl ester, polymer with methyl 2-methyl-2-propenoate
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 甲基丙烯酸甲酯交联聚合物
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): (none), Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 33.93
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 메틸메타크릴레이트크로스폴리머
- CAS No.
- 25777-71-3
- EC No.
- -
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
-
原料情報
メタクリル酸メチルクロスポリマー / METHYL METHACRYLATE CROSSPOLYMER
メタクリル酸メチルクロスポリマーとは
メタクリル酸メチルクロスポリマーは、アクリル樹脂のポリメタクリル酸メチルという物質を化学的に変質させた微粒子で、直径が10μm前後の細かいプラスチックビーズです(4)。
医薬部外品としては「ポリアクリル酸アルキル」という名前で、慣用名としては「架橋PMMA」という名前で呼ばれることが一般的ですが、いずれも内容は変わりません。
メタクリル酸メチルクロスポリマーが化粧品成分として使われる場合は、リーブオン製品(つけっぱなしで使う製品)に採用されることが一般的です。
本成分が使用された製品数は、2008年時点で144商品でしたが、2018年には423商品にまで増えており、より一般的な成分として認知されるようになりました。
特に多く使われているのは、リキッドタイプ・パウダータイプ双方のファンデーションやアイライナー、チーク、口紅、コンシーラー、パウダータイプのアイシャドーです。
メタクリル酸メチルクロスポリマーの効果として、テクスチャー改良と充填という2つが挙げられます。
また、表面処理粉体の構成成分として使用される場合があります。
感触改良
メタクリル酸メチルクロスポリマーはポリメタクリル酸メチルと同様に非常に小さな球体の微粒子であり、さらに表面が平らで滑らかな構造をもつため(2)、とても優れた触り心地です。さらに、エタノールをはじめとする有機溶媒にも安定性をもち、汎用性が高いことも特徴のひとつです。
本成分を配合することにより、商品そのものの触り心地や使い心地が改良されます。
そのため、肌に直接つけて、しかも長時間そのままの状態にしておくことが多いファンデーションや口紅、コンシーラー、チークといった化粧品材料に用いられることが多いのです。
吸水・吸油性に優れる形状のものもあり、メイク製品に配合すると肌を軽いタッチに仕上げ化粧崩れを抑えることができます(4)。
充填
メタクリル酸メチルクロスポリマーは、充填剤としても使われています。
充填剤は、そのほかの有効成分の効能を原料の濃度のままで持続させた上で、質量そのものを増やすために使われます。
ポリメタクリル酸メチルと同様に充填剤としてパウダー製品にメタクリル酸メチルクロスポリマーを追加することで、粒子の接触点が増加して粒子を補強することができ、破断を防ぎやすくなります(3)。
パウダー製品にメタクリル酸メチルクロスポリマーを追加することで、粒子を補強することができ、破断を防ぎやすくなります。化粧品にとって衝撃は大敵になりますが、この補強効果によって商品そのものの割れを予防することができ、製品の耐久性を高めることが可能です。
その他の成分に対する表面処理剤として活用することによって、その成分が抱えている弱点を補うことができます。
メタクリル酸メチルクロスポリマーが使われる主な原料名は、以下の3点です。
・Silcrusta MK03
・プルセア OPZ-50
・プルセア OPZ-50-J
こういった原料名が表示されている場合には、メタクリル酸メチルクロスポリマーが成分の一部として使用されている可能性が高いです。
安全性について
メタクリル酸メチルクロスポリマーは、ポリアクリル酸アルキルという名前で医薬部外品として使われることがあります。
この成分は、医薬部外品原料規格2006に収載されており、外原規2006の規格を満たす安全な成分だということがわかりました。
皮膚刺激性や皮膚感作性(アレルギー性)については、過去にヒト試験が実施されています。この試験では106人の被験者に対して本成分をマスカラとして塗布していますが、いずれの被験者においても皮膚反応は確認されず、安全性が高いことが示されています。
眼刺激性については、インビトロ試験(試験管を使った疑似ヒト試験)が実施されました。この試験による眼刺激性スコアは0であり、非刺激性であることが確認されています。
個人差はあるにせよ、眼に入れたとしても、失明などの重大なリスクにさらされるとは考えられません。
さらにメタクリル酸メチルクロスポリマーは、これまでに多くの化粧品成分として採用されており、20年以上にわたって使い続けられています。この間に重大なトラブルが発生したとの報告は見当たらず、この点からも安全性を確認できます。赤ちゃんの肌についたとしても、問題ないといえるでしょう。
メタクリル酸メチルクロスポリマーは、あらゆる面から安全性が確認されており、使用上の注意点はとくに見当たりません。大人用のメイクアップ化粧品に使用されることが主であり、赤ちゃん向けの化粧品に採用されることはほぼありませんが、皮膚刺激などのリスクはありません。
参考文献
- https://fams-skin.com/famsbook/famsbook-3603/
- 松本油脂製薬株式会社(-)「マツモトマイクロスフェアーMシリーズ」技術資料.
- 堀田 肇(2001)「粉体特性からみたベースメイクアップ化粧品の使用性と機能」日本化粧品技術者会誌(35)(2),99-106. 化粧品成分カテゴリ
- 宇山光男、 岡部美代治、 久光一誠 (2015) 「化粧品成分ガイド 第6版」
メタクリル酸メチルクロスポリマーの配合目的
- 感触改良
- 充填
メタクリル酸メチルクロスポリマーの安全性情報
日本語論文
なし
英語論文
Lillian C Becker 1, Wilma F Bergfeld, Donald V Belsito, Ronald A Hill, Curtis D Klaassen, Daniel C Liebler, James G Marks Jr, Ronald C Shank, Thomas J Slaga, Paul W Snyder, F Alan Andersen
Affiliations expand
PMID: 21772027
[No authors listed]Int J Toxicol. 2008;27 Suppl 4:83-106. doi: 10.1080/10915810802550611.PMID: 19101833
Cosmetic Ingredient Review Expert Panel.Int J Toxicol. 2008;27 Suppl 1:1-43. doi: 10.1080/10915810802032388.PMID: 18569160 Review.
[No authors listed]Int J Toxicol. 2007;26 Suppl 3:31-77. doi: 10.1080/10915810701663150.PMID: 18080873 Review.
Safety of ingredients used in cosmetics.
Bergfeld WF, Belsito DV, Marks JG Jr, Andersen FA.J Am Acad Dermatol. 2005 Jan;52(1):125-32. doi: 10.1016/j.jaad.2004.07.066.PMID: 15627090
Final report of the safety assessment of cosmetic ingredients derived from Zea mays (corn).
Andersen FA, Bergfeld WF, Belsito DV, Klaassen CD, Marks JG Jr, Shank RC, Slaga TJ, Snyder PW.Int J Toxicol. 2011 May;30(3 Suppl):17S-39S. doi: 10.1177/1091581811403832.PMID: 21772025
Tuning the Activity of a Hybrid Polymer-Oxocluster Catalyst: A Composition-Selectivity Correlation.
Bragaggia G, Beghetto A, Bassato F, Reichenbächer R, Dolcet P, Carraro M, Gross S.Polymers (Basel). 2021 Sep 25;13(19):3268. doi: 10.3390/polym13193268.PMID: 34641087 Free PMC article.
Rapidly Separable Micropillar Integrated Dissolving Microneedles.
Jung CR, Lahiji SF, Kim Y, Kim H, Jung H.Pharmaceutics. 2020 Jun 23;12(6):581. doi: 10.3390/pharmaceutics12060581.PMID: 32585966 Free PMC article
Micro-Pillar Integrated Dissolving Microneedles for Enhanced Transdermal Drug Delivery.
Lee S, Fakhraei Lahiji S, Jang J, Jang M, Jung H.Pharmaceutics. 2019 Aug 10;11(8):402. doi: 10.3390/pharmaceutics11080402.PMID: 31405191 Free PMC article.
Straub S, Hirsch PE, Burkhardt-Holm P.Int J Environ Res Public Health. 2017 Jul 13;14(7):774. doi: 10.3390/ijerph14070774.PMID: 28703776 Free PMC article.
Su CY, Wang JC, Chen CY, Chu K, Lin CK.Materials (Basel). 2019 Feb 28;12(5):706. doi: 10.3390/ma12050706.PMID: 30823370 Free PMC article.