表示名称成分詳細
クロフサスグリ種子油
成分番号(JP number): 556153
- INCI
- RIBES NIGRUM SEED OIL
- 定義(Description)
- 本品は、クロフサスグリ Ribes Nigrum の種子の油である。Ribes Nigrum Seed Oil is the fixed oil obtained from the seeds of Black Currant, Ribes nigrum L., Saxifragaceae
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 黑茶镳子(RIBES NIGRUM)籽油
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): (none), Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 4.95
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 양까막까치밥나무씨오일
- CAS No.
- 68606-81-5 / 97676-19-2
- EC No.
- 271-749-0 / -
- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
-
原料情報
クロフサスグリ種子油 / RIBES NIGRUM SEED OIL
クロフサスグリ種子油(カシスオイル)とは
クロフサスグリ種子油は、一般的にカシスと呼ばれるスグリ科に属する植物であるクロスグリ(学名:Ribes nigrum)の種子から得られる植物性のオイルです。
クロスグリは、ヨーロッパが原産とされており、世界最大の産地はポーランドとなっています。北ヨーロッパやニュージーランドなどで栽培されており、日本でも青森県青森市で主に栽培されています(1)。
カシスの実は、オレンジの約3倍のビタミンCや同程度のビタミンA及びβ-カロテンなどが含まれており、特に青紫色の天然素材であるアントシアニンも含まれています。さらにビタミンEは、オレンジやいちごの約4倍も含まれています。
これらのビタミン類は、抗酸化作用があるため、抗酸化目的での使用やアントシアニンが持つ機能を活かした、目のピント調整機能目的で使用されています。
一方、種子から得られるクロフサスグリ種子油には、必須脂肪酸であるガンマリノレン酸が多量に含まれています(2)。
ガンマリノレン酸は、体内で合成できないため、人にとって重要な成分です。この成分は、クロフサスグリ種子以外では母乳やボラージオイル、月見草油などにしか見つかっていません。ガンマリノレン酸不足とアトピー性皮膚炎、湿疹、乾燥肌、表皮バリア機能低下などの障害に関連性が報告されています(3,4)。
実際に、ガンマリノレン酸を皮膚に塗布することで、皮膚炎の症状緩和や乾燥肌の改善、皮膚の滑らかさの増加など皮膚に関する問題の改善に役立つことが報告されています(5,6)。
また、種子には多価不飽和脂肪酸で必須脂肪酸でもあるオメガ6やオメガ3も含まれていることが知られいます。興味深いことに、含有されているこれら二つの割合は、WHO(世界保健機構)が推奨するオメガ6油:オメガ3油=4:1と一致しており、摂取するのに理想的な油であるとされています。
クロフサスグリ種子油は、空気中に放置されると固まり、弾性のある乾燥皮膜を生じるオイルである乾性油に分類されます。そのため、クロフサスグリ種子油は、乾燥性が高いと考えらるため、他の安定性の高い植物油と併用して使用されています。
安全性に関して
安全性の試験データから、皮膚や目への刺激性に関しては生じないと報告されています(2)。そのため、一般的な使用をしている範囲であれば、皮膚や目への刺激性が生じる可能性は低いと考えられます。 一方、皮膚への感作性に関しても、安全性の試験データからは生じないと報告されています(2)。よって、一般的に安全性は高いと考えられます。
参考文献
(1) 鈴木 洋(2011)「カシス」カラー版健康食品・サプリメントの事典,35.
(2) Cosmetic Ingredient Review(2017)「Safety Assessment of Plant-Derived Fatty Acid Oils」International Journal of Toxicology(36)(3),51S-129S.
(3) Campbell K.L(1990)「Fatty Acid Supplementation and Skin Disease.」Veterinary Clinics of North America: Small Animal Practice(20)(6),1475-1486.
(4) Melnik B, et al(1991)「Atopic dermatitis and disturbances of essential fatty acid and prostaglandin E metabolism.」Journal of the American Academy of Dermatology(25)(5 Pt.1),859–860.
(5) Ziboh VA, et al(1990)「Essential fatty acids and polyunsaturated fatty acids: significance in cutaneous biology.」Annual Review of Nutrition(10),433-450.
(6) Gunji H, et al(1996)「Clinical effectiveness of an ointment containing prostaglandin E1 for the treatment of burn wounds.」Journal of the International Society for Burn Injuries(22)(5),399-405.
クロフサスグリ種子油の配合目的
- 角質水分量増加
- 経表皮水分蒸散量抑制によるエモリエント作用
クロフサスグリ種子油の安全性情報
https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/PRS577.pdf
日本語論文
木村 俊之 , 山岸 賢治 , 鈴木 雅博 , 八巻 幸二 東北農業研究 (57), 269-270, 2004-12 日本農学文献記事索引
英語論文
[No authors listed] 2021 Sep 20. Drugs and Lactation Database (LactMed) [Internet]. Bethesda (MD): National Library of Medicine (US); 2006–. PMID: 29999722
Goffman FD, et al. J Agric Food Chem. 2001.PMID: 11170598
Linnamaa P, et al. Pediatr Allergy Immunol. 2013. PMID: 23980846 Clinical Trial.
Accumulation patterns of some seedoil components from wild sources of Turkey.
Özcan T. Nat Prod Res. 2013.PMID: 22233192
Bártlová M, et al. J Chromatogr B Analyt Technol Biomed Life Sci. 2006.PMID: 16597516