表示名称成分詳細
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー
成分番号(JP number): 556076
- INCI
- ACRYLATES/C10-30 ALKYL ACRYLATE CROSSPOLYMER
- 定義(Description)
- 本品は、アクリル酸、メタクリル酸又はこれらの単純エステルからなるモノマー1種以上とアクリル酸アルキル(C10-30)の共重合体をショ糖のアリルエーテル又はペンタエリスリトールのアリルエーテルで架橋したものである。C10-30 alkyl propenoate, polymer with propenoic acid, butenoic acidand/or alkyl propenoates, product with propenyl sucrose ether or propenyl 2,2-dihydroxymethyl-1,3-propanediol
- 日本の規制情報(Japanese regulation information)
- 中文inci(CN/中国名称)
- 丙烯酸(酯)类/C10-30 烷醇丙烯酸酯交联聚合物
- 中国の規制情報(Chinese regulation information)
- 【已使用化妆品原料目录(2021年版)】Maximum Historical Usage in Rinse-off Cosmetics(%): (none), Maximum Historical Usage in Leave-on Cosmetics(%): 12
- 韓国inci(KR/ハングル/성분명)
- 아크릴레이트/C10-30알킬아크릴레이트크로스폴리머
- CAS No.
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- EC No.
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- EUの規制情報(Restriction/Annex/Ref#)
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原料情報
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー / ACRYLATES/C10-30 ALKYL ACRYLATE CROSSPOLYMER
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーとは
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーは高吸水性高分子の一種であるポリアクリル酸に炭素数10-30のメタクリル酸アルキルを導入した共重合体であり(1)、高分子乳化剤です。
大きな親水基(アクリル酸部分)と小さな疎水基(メタクリル酸アルキル部分)を持ちますが、界面活性剤というより乳化剤と記載されることが多いです。一般の界面活性剤の大きな特徴である界面張力低化能やミセル形成能が低く、乳化機構も異なるためです。
医薬部外品においては「アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体」と表記されます。
高分子乳化によるゲル化
ゲル化の説明の前に乳化についての前提知識としてですが、乳化の性質を決める要素としてHLB値が重要になってきます。
親水基と親油基の強さを評価する手段として一般的にHLB値が用いられています。界面活性剤は分子中に親水基と親油基をもっているので両者のバランスが重要になります。 HLB値は、0~20の値を取り、0に近いほど親油性、20に近いほど親水性が高くなります。界面活性剤が水中に分散するためには3以上、溶解するためには10以上が必要で、HLB値は理論的なものではありませんが、HLB値によってその界面活性剤の性質や用途もある程度決定されます(2)。
その一方で、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーはO/W型高分子乳化剤(O/W型=oil in water は水を外部相とし、その中に油が微細粒子状に分散している状態)です。親油基部分が油/水界面に吸着し、親水基部分が水に膨潤し油滴の周囲に水和ゲル相を形成します。
これにより、HLBに関わらずシリコーン含む様々な油を安定に乳化・分散することが知られています(3)。
また、一般に安定なエマルション形成のためには2-5%程度の乳化剤が必要とされていますが、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーは、0.3%程度の少量でO/W型エマルションを調製できる特徴があります(3)。
これも、親油性部分を油滴の周囲に吸着させる一方で、親水性部分は膨潤して水和ゲルを形成し、エマルション中の油滴は水和ゲルによって安定に保持されるといったゲル化の性質を持つためです(3)。
さらに水と油の界面張力を低下させないため、塗布後の油膜は水になじむことなく耐水性の皮膜を形成するという特徴もあります(3)。
以上から、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、日焼け止め製品、クレンジング製品、洗顔料、マスク製品、ヘアケア製品、頭皮ケア製品、メイクアップ化粧品など幅広い製品に配合されます。
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体は、医薬部外品(薬用化粧品)への配合において配合上限があり、薬用石けん・シャンプー・リンス等、除毛剤、育毛剤、その他の薬用化粧品、腋臭防止剤、忌避剤で配合量は2.0となっています。
参考文献
(1) 住友精化株式会社(2019)「アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体とは」, https://www.sumitomoseika.co.jp/productarticles/inrpage.php?seq=12 2020年1月13 日アクセス.
(2) 野々村 美宗(2015)「親水性・親油性バランス」化粧品 医薬部外品 医薬品のための界面化学,35-39.
(3) 栗林 さつき(1998)「O/W型高分子乳化剤の機能と応用」Fragrance Journal(26)(8),79-83.
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー配合目的
・高分子乳化によるゲル化
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーの安全性情報
日本語論文
低濃度の脂肪酸からなるペースト状洗顔料の処方設計とその有用性
田中 一平 , 林 絵美子 , Cynthia Qi , 堀越 俊雄 日本化粧品技術者会誌 54(1), 42-47, 2020
英語論文
Kizeviciene E, Jonaitiene L, Peciura R.Acta Pol Pharm. 2017 May;74(3):937-943.PMID: 29513964
Texture analysis of cosmetic/pharmaceutical raw materials and formulations.
Tai A, Bianchini R, Jachowicz J.Int J Cosmet Sci. 2014 Aug;36(4):291-304. doi: 10.1111/ics.12125. Epub 2014 Jun 30.PMID: 24575934
Inactivation of chlorhexidine gluconate on skin by incompatible alcohol hand sanitizing gels.
Kaiser N, Klein D, Karanja P, Greten Z, Newman J.Am J Infect Control. 2009 Sep;37(7):569-73. doi: 10.1016/j.ajic.2008.12.008. Epub 2009 Apr 23.PMID: 19398245
Simovic S, Tamburic S, Milic-Askrabic J, Rajic D.Int J Pharm. 1999 Jul 20;184(2):207-17. doi: 10.1016/s0378-5173(99)00097-6.PMID: 10387950